でかいレーズンパン毎週2つもいるの?!…夫へのツッコミシリーズ
私の夫は「コレが好き!」と思ったら、まるで判子を押したように、そればっかり買ってきて食べている。
思えばルーティンが好きな夫にとっては当たり前かもしれない。ルーティンが得意でない私も、好きなものが割と偏っているので、ハマるとそればかり食べてしまうことがあるので、「ま、そういうもんか。」と静観していたが…。
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夫も両親もレーズンパンやアイス等が好きで、よく食べている。私は昔からレーズンが苦手で、ドライフルーツケーキも今でこそどうにか食べられるが、子供の頃はドライフルーツをのけてよく食べていた。今もそんなに得意ではない。
ところが、あるディスカウントストアで売られている“ぶどうパン”は一つが人の顔サイズ程度大きく、かつおいしそうだった。
両親に初めて持っていった時に「おいしい!!」と喜んでるのを見て、私も食べたが「ホンマや!これ割とおいしいやん!」と苦手なものにも関わらず、おいしいと思って食べられた。
夫はもともと新しいものを試すのに躊躇する性格なので、いつも「少し食べて、イヤやったらもう食べへんかったらエエねん。」と言って少し分けるのだが、この時、
「僕の求めてるレーズンパンじゃない!!」と言い放った。
「あっそ。じゃあ無理して食べんでええやん。アンタの好きなやつ、これから買って食べたらええやん。」
と、私はあっさり了承した。この時、“夫は二度と食べへんやろなぁ”とさえ思っていた。
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ところが、しばらく私もこのパンにハマり、食べていたが、ちょいちょい夫から「ちょっと分けて欲しい。」と言ってくる時が出てきた。
「アンタ、要らん言うたやん!食べるんかいな。」と言いながら、分け与える。(←何だ、その言い方!)
私は基本“自分の分は自分が食べたい”タイプなので、最初から分けて食べようとか、少しなら良いのだが、毎回「ちょっと分けて欲しい。」とチビチビ取られる感じ、この一個丸ごと食べられない状況が実はストレスなのである。
自分が食べたければ、自分の分を買えばいいのに、買わずにいつも私のところから、ちょこちょこ分けてというのが、どうも気に食わないのである。(心が狭いと言えばそれまでだが。)子供なら仕方ないのだろうが、相手はいい年した夫である。
あまりにも続くので、「ようやくおいしいと思ったん?」と聞いてみると、
「そうだね、なんかそんな感じだよ。」
「じゃあ、今度からアンタはアンタの分で買ったら?私は私で食べたいから。」
「そうするよ。」
何だ、ようやく分かったのか。慎重派の夫はそういうのもジワジワとしか分からないのかもしれない。
そういって、それぞれ買うようになった。
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そのうち、私はそこのパンが、結構色々新しいものを出すのを見て、ぶどうパン以外の好きなものを買うようになった。物によっては入れ替えが激しいので、見た時が一期一会と思っておかなくてはいけない。
夫は相変わらず、在庫がある限り、ぶどうパンを買い続けている。
内心(よう、飽きひんなぁ~。)と呆れていたが、本人のお金で本人の好きなものを買っているので、時々ツッコミを入れるが、静観していた。
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そのうち、一週間に一個(注:結構デカいので、本来数日かけないと食べきれない)では足りなくなってきたようで、2個買いをするようになった。しかも気のせいか、初期より若干でかくなってる気がする。
ちなみに夫は少食で、ヤマザキのレーズンロール(6個入)を一週間かけて食べるような人だったのに、その倍以上は食べるようになった。そんなに食べても、胃腸が弱い方なのに、大丈夫なのだろうか?
「大丈夫だよ。」とケロッとしている。
どうなってんねん、夫の胃腸は??
一週間経っているのに、まだ先週買ったぶどうパンを食べているのを見て、
「えっ?それって先週の分じゃないの?ひょっとして多過ぎるんじゃないの?余ってきてるの?」と聞くと、
「違うよ。今日食べる分も計算して食べてるんだよ。だからこれでいいんだよ。」
「……。計算して食べてるねぇ…。」
計算して更に買ってきたものをおやつ代わりに食べているのは、そういうことなのかどうかよく分からないが、夫なりに計算して食べてることに、驚くと共に笑いが私の中で止まらない。
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ある時、「今度は2個まとめて売ってたんだよ!ちょっと安いし、これはいい!!」と言って、2個まとめ売りがある時は、大変喜んで買ってきた。
「へぇ、とうとうこんな売り方するようになったんやね。それにしてもアンタ、あんなに『僕の思っているレーズンパンじゃない!』って言ってた割に、えらいハマりようやね。」
「そうなんだよ。だんだん食べてたら、これじゃないとダメになってきたんだよ。」
いつの間にこんな中毒症状になったのだ!“変なク◯リじゃなくて良かったで”と一瞬思った。
そのうち、2個まとめ売りはなくなり、従来通り2個買って食べている。
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ある時、夫がコロナにかかり、買い物がいけなくて困っていると、友人が代わりにそこへ買い物に行ってあげようと言ってくれた。
「アレとコレと…。それでね、パンコーナーにぶどうパンって売ってたら、2つ買ってきて欲しいんやけど。」
「うん、分かった。」
と彼女は買いに行ってくれた。
ところが割とすぐに彼女から、電話がかかってきた。
「このぶどうパンさ、かなりデカいけど、これ2つもいるの?」
あぁそうよなぁ…。私は見慣れてしまったが、他の人からすると、「こんなデカいパン、二つもいるの?」と思われても仕方がない程、デカいので、彼女も念の為に確認してきた。
「そうやねん。それ主人が1週間かけて食べるから、その量がいるねん。本人楽しみにして、いつも食べてるから。」
「えぇ、これ旦那さんが一人で一週間かけてこの2つ食べるの?そうなんや…。分かったわ。あるから買って帰るね。」
「悪いけど、お願いします。」と言って電話を切った。
玄関で、彼女に短い挨拶をして、お金と買ってきたものを素早く交換し、「またね!」と言って、別れた。
彼女を見送った後、冷蔵庫にしまいながら確認すると、あるある、例のぶどうパンが…それもしっかり2個。
「あの子、さぞかしビックリしたやろなぁ…。」と若干脱力した。
そしてコロナ中でも、夫はしっかりぶどうパンを消費しているのであった。
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最近、夫はちょっとでもぶどうパンが少なかったり、見かけなくなったら「どうしよう?!もう無くなるかもしれない…。」と心許なさそうに、寂しそうにして言う。
あんなに拒否ってたぶどうパンが、今では夫にとってなくてはならないものになっている。
「無くなったら、しょうがないよねぇ。今、原材料も高騰しているし、現価格で売れなくなったら、小さくなったり、高くなったり、無くなるかもしれへんよねぇ。」
「そうだよね…。」としょんぼりしたように言う夫を見ていると、ちょっとかわいそうになってくる。
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先日はぶどうパンにお目にかかれず、寂しい一週間を過ごすハメになったが、翌週無事ゲットし、相変わらず食べていた。
この間、別の友人が私の家へ遊びに来た時に、例のぶどうパンを見せたら、「大きいねぇ!」とビックリしていた。
これを2個買って食べてる話をし、彼女にも味見をしてもらったら、
「旦那さんが楽しみにしてるパン頂くの悪いわね…。おいしいね!」とパン好きの彼女からお墨付きをもらった。
また、近々買い物に行ったら、きっとこの2個買いをしてしまうのであろう。
どうか、このぶどうパンを夫のためにも無くさないでほしいと、切に願っている、妻のらびっとなのであった。