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『エッセイのまち』の仲間で作る共同運営マガジン

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2024年2月の記事一覧

旧国道50号線沿い 。81歳のおばあちゃんが40年以上ひとりで握ってきた優しい優しいおむすび(後編)

【1250むすび】おおくらや(筑西市)まぜごはん 《連続1693日目!》 (前編はこちらに) おおくらやのおばあちゃんは、とてもお話好きだった。 「ここは本当にお米が美味しいの。この裏に流れている小貝川の水を引いた田んぼから良いお米が獲れるのよ」 「このお店は、実はカーステレオショップだったの。お店の電気なんかも当時のものなの」 「40年以上、ひとりでおむすびを握っているの。近くの企業で運動会とかあると、500個も握らなくてはいけなかったの」 「ほら、このお店のこ

旧国道50号線沿い 。81歳のおばあちゃんが40年以上ひとりで握ってきた優しい優しいおむすび(前編)

【1249むすび】おおくらや(筑西市)鮭 《連続1692日目!》 おむすびの出店ブームが続いている。 ここ1~2年の間に全国で200軒もの店がオープンしたらしい。 東京都内でも1年間で60軒ものお店がオープンしている。 物価高が進む中でお米の価格が安定していることや、海外からの訪日客がおむすびを食べに来てくれるなどいろいろな要因が考えられる。 今までにないような華やかな見た目だったり・・ 考えられないような高級な具材だったり・・ 本当に様々なおむすびを見かけるようにもな

雨の日の図書館とことばたち。

若い頃は本が嫌いだった。 唯一読めるのは谷崎潤一郎の『痴人の愛』 だけだった。 それが中学生のはじめの頃。 きっかけは、この原作をわたしが通っていた 卒業生の方が女優になられて演じたことが きっかけだった。 本を後に回して、キネマ旬報のシナリオから 読んだら、はまった。 字だけなのに映像がもう動いている世界って おもろいなって思って、夢中になって 学校から帰ると部屋にこもって読んでいた。 それから原作の『痴人の愛』をこっそり 買った。 わたしは家族の中で誰よりも

弘前城の「真冬にしか咲かない桜」を知っていますか?

《連続1689日目!》 「こんなに雪のない冬は、60年以上生きてきたけれど見たことがない」 タクシーの運転手さんが、津軽弁で話しかけてきた。 豪雪で知られる津軽地方も、この暖冬の影響は大きかったらしい。 平泉から始まった東北地方の史跡を周る旅。 終着駅に選んだのは、ここ弘前駅。 現存12天守のひとつである弘前城を雪景色の中で見るのが目的だった。 でも実は、もうひとつ目的があった。 それが、「真冬にしか見られない桜景色」を見に行くことだ。   「たしかに弘前城は桜

ある男の遺書(3)

前回↓ ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー- どうやら、橋爪の友人が遺書を残して亡くなったらしい。橋爪と同い年だというからまだ若かっただろうに。そして僕を驚かせたのは、この遺書を僕に読んでほしいと橋爪は言ってきたのだ。遺書を読んだことなど一度もないし、ましてや赤の他人の遺書なんてなおさらだ。別に読む気にもなれないのだが、橋爪もなかなか引かない。 橋爪が言うには、これは遺書というより手記に近いという。これを手記として読んでみた僕の感想を聞きたいというのが橋爪の願いら

公務員・転職組

僕は公務員に転職するまで、公務員って、試験受けて選ばれて、安定してるから辞めずにずっといるんでしょ・・そんなイメージを持っていました。 でも、入庁後に出会う職員と「私も転職経験者です」と話す機会が意外と多く、そのたびに「あなたも“転職組”でしたか」と親近感がわくものです。 実は、転職して公務員になった人、結構いっぱいいるかも・・。 例えば、仕事に関連する民間会社からの”転職組”がいます。建設系だったらゼネコンやコンサルといったカタカナ企業から転職していたりします。僕のよ

今ちょっと考えていること

セカンドオピニオン。 それを今ちょっと考えている。 IgA血管炎を患って約2ヶ月。今の治療に疑問があるわけではない。ただ、今の僕の症状が中途半端な気がしている。 腎臓が悪くなっているわけではない。 腹痛があるわけではない。 良くも悪くも、今の症状は紫斑だけ。 紫斑だけの症状に、強い薬(ステロイド)は使いにくい。だから別の薬で様子を見ているのだが、紫斑は特に改善しない。何となくずっと「待っている」ような状況だ。 良くなることを待っているのもあるし、変な話、悪くなるのを待って

PTAの役員を私に任せてくれた、ご近所のママ友たち

子どもたちが学校に通っていると、必ず役員決めの時期がやって来る。 3人いたら、3人分。 毎回そのたびに、私は申し訳ないような、複雑な気持ちになった。 我が家には3人の子どもがいる。 長女と二女とは3歳違いで、二女と末っ子の長男は6歳差だ。 つまり、長女の高校入学と、二女の特別支援学校の中学部入学と、長男の小学校入学が同時だった。 現在では3人とも成人しているが、彼らが学生時代は、常にこの「役員問題」がついて回った。 私の住む団地の一角は、同世代のご家族が比較的多い。

優しさの勝ち

「とっと、雪見だいふく一緒に食べよう」 夕食後、風呂から上がった8歳の息子が持ってきた。雪見だいふくは、1つのパッケージの中に大きなアイスが2つ入っている。それを1個ずつ分けて食べようという息子からの提案だ。 「あー…うん」 パックを開けようと、隣に座る息子。 着々と食べる準備が整っていく中でも、僕は少し迷っていた。 実は、雪見だいふくを食べると僕は高確率でお腹を壊す。なぜだか分からない。味は好き。でも個人的に、食べ物として相性が良くないのかもしれない。だから、基本的

【観劇感想】ミュージカル「明日への扉」2024(1)

2023年公演の感想はこちらです。 観劇日 2024/1/27 14:00の部 去年に続いて、今回も 東京スクールオブミュージック専門学校主催のミュージカル「明日への扉」を見てきました。 当初、1人で見に行くつもりでしたが 友達に都合を聞いたところ、大丈夫とのことだったので 一緒に見ました。 公演内容は去年と同じでしたが、セリフや演出など 要所要所に変更箇所があり 新たな気持ちで見ることができました。 ミュージカルナンバーもおなじみのナンバーで 「明日への扉」といえば

Day138→結婚相談所、大変みたいよ。

2月も下旬。春の訪れなのか否かという具合に、花粉が凄い。暖かくなるのは良い事だけど、花粉の舞いは勘弁願いたいところ。ここのところの暖冬傾向を見込んで、「水戸の梅まつり」も前倒しで行われているくらい。 以前は2月下旬からの開催だったのに、今年(2024年)は2月10日から。全く梅が咲いてなかったので延期したこともあったが、近年は逆にまつり終盤には完全に散っているくらいだから、前倒しが妥当なのだろう。 私は次の訪問地探しの一環として、某旅行サイトで安宿を探すのが楽しみなのだけ

インド旅を経てーバラナシー

2023年12月30日〜2024年1月6日 ずっと行きたかった北インドへ インパクトが強かった今回の旅 備忘録のため簡単にまとめておきます ニューデリー、バラナシ、アグラ、 ジャイプール4都市を巡った中で インドのハイライトはバラナシでした バラナシを流れるガンジス河は ヒンドゥー教の聖地 郊外に行くとサールナートという仏教の聖地も 宗教色が強く、そして インドらしい光景広がる場所 取り急ぎバラナシのまとめをnote バラナシの街 ヒンドゥー教の聖地バラナシ 3000年

【 note公式マガジンに収録されました 】 BOOKホテルにて

***** 💡noteの公式マガジンに収録されました💡 【 ホテル・旅館 記事まとめ 】 お題企画「 #泊まってよかった宿 」や関連する投稿の中から、ホテルや旅館など、さまざまな宿泊施設にまつわるすてきな記事をまとめるnote公式マガジンです。 ***** 以前、「自分へのご褒美」をテーマにしたエッセイを書いた際、こんなコメントをいただいた。 「私の場合、自分へのご褒美は1人の時間をつくることです。例えばBOOKホテルに行くとか。1人で何にも縛られずに自由にいれる

七段のおひなさまの前で祖父に会いたい

お雛さまをやっと飾った。節分の頃から出そう、出そうと思っていて、いまになってしまった。 このお雛さまは、双子の娘たち(6歳)のために購入した。コンパクトなものを選んだのに、家を建てたら毎年、飾る場所に困ってしまう。余白を大きく取れる壁があればいいのだけれど、残念ながら、ない。ということで、テレビボードの隣にお座りいただいている。 どの人形も柔和なお顔をしているのが気に入っている。幼い頃に見た、祖母のお雛さまを思い出させる上品で優しい表情だ。 父方の祖父母の家には、とても