旧国道50号線沿い 。81歳のおばあちゃんが40年以上ひとりで握ってきた優しい優しいおむすび(後編)
【1250むすび】おおくらや(筑西市)まぜごはん
《連続1693日目!》
(前編はこちらに)
おおくらやのおばあちゃんは、とてもお話好きだった。
「ここは本当にお米が美味しいの。この裏に流れている小貝川の水を引いた田んぼから良いお米が獲れるのよ」
「このお店は、実はカーステレオショップだったの。お店の電気なんかも当時のものなの」
「40年以上、ひとりでおむすびを握っているの。近くの企業で運動会とかあると、500個も握らなくてはいけなかったの」
「ほら、このお店のことがそこの本に載っているわよ」
テーブルの上に本が一冊あった。
そこには、国道50号線の開発を中心に、この地域の歴史が詳細に載っていた。
このお店「おおくらや」のことが、その成り立ちなども含め、何ページにも渡って書かれていた。
おにぎりの金額は、開店当時は100円。平成に入ってからは110円。
そして、令和元年に消費税が上がったのを機に120円になったらしい。
今の物価高の中でこの価格で大丈夫なのかなあ。こっちが心配してしまう。
調理場を見せていただいた。
大きなガス釜でごはんを炊き上げるそうだ。
そのごはんを注文を受けてから、優しく優しく握っていくらしい。
おばあちゃんはこんな話もしてくれた。
「実は、ずっと連れ添ってきた夫を3年前に亡くしたの。本当に寂しくて寂しくて」
「でも、出来る限り毎日このお店を開けるの。そうするとお客さんがやってきて、声をかけてきてくれるの。それが生きがいなの」
「美味しいって言ってもらえることが、本当に嬉しくて」
「体は辛い時もあるけれど、まだお金の計算もできるし、仕入れもできる。まだまだ続けられそう」
お店には、おむすびの他に「まぜごはんのもと」も売られていた。
人参やゴボウなどを甘辛く煮つけたもので、近所の方たちがよく買いに来るとのこと。
そういえば、外の大きな看板にも書いてあったな。
これは絶対食べてみたい!
おばあちゃんに、まぜご飯のおむすびを握ってもらった。
ふんわり三角形のおむすび。
おしんことお茶もつけてくれた。
見ているだけで、よだれが出てくる。
いただきまーす!
がぶりっ
うーまーい!
小さく刻まれたニンジンにゴボウ。
甘辛く煮つけられたその具が、ごはんの中にたっぷりたっぷり入っている。
うんうん。
こういうおむすびを求めていたんだ。
懐かしいというか心が温まるというか。
最近のおむすびブームでは、どんどん派手なおむすびが増えてきている。
もちろん、それもいいのだけれど…
やっぱりこういう温もりを感じるおむすびもいいよなあ。
旧国道50号線沿い。
81歳のおばあちゃんが40年以上ひとりで握ってきたおむすび。
とても大切なことを教えてくれる優しい優しい味でした。
ご馳走たまでした!
地域の笑顔を作るお母さんたちのおむすびも、おかわりどうぞ。
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