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『エッセイのまち』の仲間で作る共同運営マガジン

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2022年5月の記事一覧

サクッとやっちゃう元カノ【後編】

【前編・中編はこちら↓】 操作ミス?一瞬そう思いましたが、それは違います。 ダダダダダダダダダダダダダダダダダダは、マシンガンの発砲音です。 それまで彼女が装備していたのは、小ぶりなハンドガン。 彼女は、わざわざ攻撃力倍増のマシンガンに持ち替え、ダダダダダダダダダダダダダダダダダダと己の意思でブチのめしたのです。 茫然自失の僕に、彼女は言いました。 「先に殺らなイカれる思て  笑」 "シャバNG"の眼をしていました。 パッキパキでした。 極限状態におかれ、彼女

サクッとやっちゃう元カノ【中編】

【前編はこちら↓】 ゾンビ犬の襲来次のステージの扉を開けると、5〜6匹のゾンビ犬が襲いかかってきます。ウイルスは人だけでなく、犬の身体をも蝕むのです。 僕も彼女も生粋の犬好き。 彼女の口癖は「犬と共に暮らす日々を描いた的な映画は、100%泣いてまうから絶対見られへん!マジで無理やねんけど!」でした。 (口癖長いねん) そんな愛犬家の彼女が、ゾンビ犬と対峙せねばならないタイミングが訪れたのです。 何も知らず、扉を開く彼女。 「ゔ!」と声が漏れます。 (屁?) と

サクッとやっちゃう元カノ【前編】

20代の頃。 彼女と『バイオハザード』をしました。 ウィルスに侵された無数のゾンビを倒すTVゲームです。 ゲームの持ち主は僕。 彼女は初めてのプレイでした。 怖がりのキュートな彼女キャラクターは警官なので銃を持っています。 小ぶりなハンドガンです。 まずは、彼女に操作方法の説明から。 いきなりゾンビがひしめくエリアへ突入しても、たちまちGAME OVERです。 ということで、ゾンビのいない安全な場所に移動。 壁に向かって銃を撃つ練習から始めました。 弾丸の数に

父と母の50年前の交換ノートをつまみに飲む

「おもしろいもの見つけたんだけど、見る?」 先日、実家でビールを飲んでいると、父がそう提案してきた。そのくせ「でもどうしよっかな…やめようかな…」とモジモジし始める。 何なの、気になるから見せてよとお願いすると、父はひとしきり葛藤したのちに、数冊の古そうなノートを持ってきた。近所に住むわたしはしょっちゅう実家に帰るが、そんなノートを見るのは初めてだ。 「まだまだあるけど、これが最初の1冊」 手渡されたのは、父と母が高校生のときに交わしていた交換ノートだった。 「うそ

堕ちた先で、這い上がれないことだってある。

「あー、やっと同じところまで堕ちてきてくれたのに。」 それが、ナギちゃんの本心だと分かったから、ただ黙って耳を傾けることしかできなかった。 「コロナ禍になって、正直ホッとしたんです。 こんなこと言っちゃいけないかもしれないけど。 私ね、障がいを持ってから、ずっと世界から置いてきぼりにされたような気がしていたの。 下半身の感覚は全くないから、ずっと車椅子で過ごす。気軽に外に出られない。 排泄したいかどうかもわからない。定期的にトイレに行って管を入れて、溜まったのを出す。

noteを書くに当たっての決意表明。

好きなこと。元々、文章を書くのは好きだった。 その反面、言葉を喋るのが苦手でおしゃべりなんかもその場のコミュ二ケーションがうまく取れなかったり上手に伝えることが出来ず、小さい時から苦労していた。 それを補うためか、わからないけども、結果的に文章がうまくなった。 ただ、いくら文章がうまくても、たとえ国語の通信簿が5だとしても…社会に出れば、例えば「自分の考えや意見を伝える」ことや、コミュニケーションやら組織の大原則である“報・連・相”がとても苦手で悩んだりすることも多く、若い

通学中の電車で本を読む時間が、案外好きだということ。

 4月から本格的に対面授業が始まった。キャンパスには「こんなに人がいたのか」と驚くほど、人で溢れていた。お昼になると、学食が激混みして長蛇の列になっていたことに驚いた。  人生を物語に例えるなら、大学での生活は、冒険物語だろう。良くも悪くも、おもしろいところだ。  最近、学校までの移動時間に、読書をしたりnoteを書いたりするようになった。4月に入って、それは大きな変化だった。  電車の中で書く文章は、机の前よりも「ついで」という感覚が大きい。そのおかげか、肩の力が抜けて

行きつけのカフェができると毎日がもっと好きになるということ。

最近大きなことに気づきました。 行きつけのカフェができると毎日がもっと好きになるということ。 私が住んでいるお家から徒歩30歩ほどの場所に、ほぼ毎朝行くカフェがあります。 私の人生にとって初めての「いきつけのカフェ」です。 あまりにも近所なので、今のお家に引っ越してきてすぐに見つけたカフェでした。 ご夫婦で運営されているカフェで、1階と2階が奥さんがやっているカフェになっていて、その上が旦那さんがやっている活版印刷を体験できるスペースになっています。 普段私の仕事は11

推しが不祥事を起こしても応援し続けられる?

「今度コンサートで東京行くから予定空けといて」 珍しく母から連絡がきた。 私は家族と滅多に連絡を取らない。実家に帰省する前や両親の誕生日、母の日、父の日に一言二言メッセージを送るくらいだ。母も以前、「便りの無いのは良い便り」なんて言葉を笑いながら話していた。 そんな母からの連絡。私が福島から上京して初めてのことだった。 一体、誰のコンサートだろう。 久しぶりに母と再会 当日、集合時間に駅へ向かうと、丁度母も到着したようで改札口からヒョコっと現れた。早歩きでやってきた

もう食べられないお味噌汁

母方のジジ(おじいちゃん)はお調子者。 ん?お調子者…?誰にでもすぐ声かけちゃうし、明るくて、かまってちゃんで、すぐちょっかいだしてきて…なんて言い表せばいいんだろう。 小さい頃の私の周りにはいないタイプの人だった。ジジといると調子が狂う。小学生ながらにそんなことを思っていた。でも、嫌いなわけじゃない。むしろ大好きだった。それを言葉にしたことはないけど。 いい加減で適当に見えるのに、実は器用で几帳面。お母さんが言うには、「アイロンはジジが一番うまかった」そう。ご飯も作る

引っ込み思案な僕にバイバイ #こんなこどもでした

 幼い頃は、色が白くて小児喘息で体も弱く引っ込み思案な子供だった。友達と遊んでいてもリーダーにはなれないタイプ。周りに追従するタイプ。体も弱かったので運動も得意ではなく、かけっこでは後ろの方ばかりを走っていた。ただその分本をよく読んでいた。小学校に入ると図書室には毎日のように行っていたし、貸本屋さんにも毎週通っていた。最も、貸本屋さんで借りるのは漫画本ばっかりではあったが。  持って生まれた性格もあるのだとは思うが、小さい頃はそんなに目立たずに成長していったんだと思う。そう

微睡む時間を手放せない

朝、起きた後の30分。 この30分こそ、一日の中で至福の時間だと思っている。 大して見るものも無いのに、手持ち無沙汰でとりあえずスマホを眺めてしまうのも、この微睡む時間帯での恒例行事。 起き抜けの気怠い体を少しづつほぐして、枕を片手に携えて微睡んでいるときなんて、この時間がずっと終わらなければ良いのにとさえ考えてしまう。 しかし、無常にも時計のアラームは何度も鳴り響き、出勤の時刻まである時間の猶予は刻一刻と少なくなっていく。 なぜ朝、家を出発するまでの時間は、あんなに

鍵って実は凄いのかもしれない

最近、ふと気づいたことがある。 誰もが知っていて、日常的に使用している「鍵」 大事な物や貴重なものを保管するための道具。 日々、当たり前のように扉を開け閉めしているツールではあるけれど、実際のところ、どういう仕組みなのかはほとんどの人が理解していない。 この「鍵」って めちゃくちゃ偉大な発明なのではないか? なぜなら、鍵が存在しなければ、盗まれる心配をすることなく自由に外を歩くこともできなかっただろうし、身の危険を感じることなく自身のプライベートな空間を確保することも

ミステリーが好きで良かった

小説には様々なジャンルがある。 ファンタジー、SF、サスペンス、ホラー、日常物、恋愛、群像劇、ハードボイルド、青春小説、などなど。 そんな数多あるジャンルの中で、昔から今の今までずっとずっと好きだったのが「ミステリー」というジャンルだった。 「ミステリー」と聞くと、不可解な事件が起きた際にどこからともなく探偵が現れて、謎を解決する場面を想像する人が多いのかもしれない。 しかし、自分は「ミステリー」とは もっとシンプルな話だと思っている。 必ずしも探偵が登場する必要は