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サクッとやっちゃう元カノ【中編】

【前編はこちら↓】

ゾンビ犬の襲来

次のステージの扉を開けると、5〜6匹のゾンビ犬が襲いかかってきます。ウイルスは人だけでなく、犬の身体をも蝕むのです。

僕も彼女も生粋の犬好き。

彼女の口癖は「犬と共に暮らす日々を描いた的な映画は、100%泣いてまうから絶対見られへん!マジで無理やねんけど!」でした。

(口癖長いねん)

そんな愛犬家の彼女が、ゾンビ犬と対峙せねばならないタイミングが訪れたのです。

何も知らず、扉を開く彼女。
「ゔ!」と声が漏れます。

(屁?)

と、思ったのですが違いました。

目の前で唸るゾンビ犬を見て、激しく動揺していたのです。

ウイルスに侵され変わり果てた姿といえど、心から愛でているワンちゃん。

まさか、敵同士として出会うなんて。

抵抗しなければGAME OVER。
今までの努力が水の泡。
すべて振り出しに戻ります。

ジッと画面を見つめ、唇を噛む彼女。

「今日中にクリアとか有り得るかも!」とイキリ散らかし倒していた頃の威勢はどこへ行ったのでしょうか?

「犬と戦わなアカンのやったら止める」

彼女は、今にもそんな台詞を吐き出しそうでした。

葛藤に苦しむ姿を見ると、僕も胸が痛くなりました。

否。

...本当は胸が痛むフリをしながら心の中で笑っていました。

なぜなら、このステージはゾンビ犬を倒さなくてもクリアできる裏技が存在するからです。

それは、”タイミングを見計らい、出口までダッシュする”というシンプルな方法。

難しい操作は要らず、誰でも簡単にできます。

彼女はそれを知りません。

教えてあげようかな?
黙っておこうかな?

困惑する彼女を弄ぶ僕は悪趣味ですね。

晴天の霹靂

牙をむいて睨み付けてくるゾンビ犬。
彼女の身体は震えています。

さすがに不憫でした。

決めた。
裏技を教えてあげよう。

彼女の顔はパッと晴れるでしょうね。
喜びのあまり僕に抱きついてくるでしょうか。
もしくはホッとして泣き出すかもしれません。

イジワルしてごめんね(^o^)

「実はさぁ、タイミングを見計らって出口までダ...」

ダダダダダダダダダダダダダダダダダダ

僕の言葉を遮り、耳がちぎれるぐらいデカい音が鳴り響きました。

「...え?」

僕は目を見開きました。

彼女がゾンビ犬をブチのめしていたのです。


【続く】

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だっぷんする間(ま)に読む駄文
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