『龍の遺産』 No.21
第三章 「龍は死なず!!」
風人一人、沼津からバスに揺られ、西伊豆の松崎町に出かけた。青木さんが車を出すと言ったのだが、今回はいつもの調査の他に、何かが起こりそうな気がして、遠慮してもらって一人旅となった。此処を訪ねるのは3回目になる。この町、松崎町が幕末前、表舞台では目立つことはなかった静かな港町だったはずだ。しかし、突如、造船所、見晴所が出来、多くの役人が来て陣屋が設けられて、外国船の脅威に備えることとなった。この時、時代の変化に敏感に反応したのが石田半兵衛の長男馬次郎