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今半本店のすき焼き 1259日

今半本店のすき焼きの味がたまらなく恋しい

卵に絡めた程よく火の通ったお肉にぱくつけば

ジュワッと染み渡るうまさ

蕩ける柔らかさに唸る喉

その時の僕の身体は全身でその喜びに

打ち震えていた

大袈裟じゃないんだ

本当にそうなんだ

浅草は仲見世通りと新仲見世通りが交わる

あたりにそのお店はあった

すき焼きの名店老舗今半本店

ぱっと目の前に出てきた今半の看板をみてから

もう一度携帯の地図情報をみて

僕は静かにうなづき

暖簾をくぐってお店の中に入っていった

お店に足を踏み入れた

とたんにはなをくすぐる良い香り

ふんわりと漂うほのかな香り

食欲を刺激する香ばしい匂いに

はやくとよだれが垂れそうになった

顔が緩みかけてしまったが気を引き締めて

お店の人に案内されるままに

後ろからついていった

中庭を挟んだ離れの一室

静かな和室にお鍋が用意されていた

なんともはやこんな贅沢な場所で

ご飯を本当に食べて良いのだろうかと

田舎者丸出しの日和った心が顔をだしたが

すぐに黙らした

今日ぐらいは良いのだ

なにせ旅なのだ

そんな時にこそ贅沢せずしていつ贅沢をするのだ

ワクワクとドキドキと食欲がどんどん

すき焼きに対する期待値を高めていく

おばちゃんがすき焼きの具材と肉を

運んできてくれた

外国の人はさしが多い方が好まれるそうで

銘柄すき焼き、特選牛ロースすき焼きを

よく頼むみたいだったが

日本人はわりかしさしが少なめの方が

合うらしく上すき焼きがよく頼まれる

みたいなお話しをしてくれたので

僕も例によって上すき焼きを食べてみたいと

頼んだのだ

すき焼きの準備は最初だけはおばちゃんが

してくれるらしくテキパキとした手つきで

お鍋に材料を投入

お肉はあまり焼きすぎると固くなるので

割下の中でお肉がぷくぷくしてきたら

裏返してそうしたらすぐに出来上がるからねと

おばちゃんは教えてくれた

お鍋の中のお肉は程よくぷくぷくしてきた

さっとおばちゃんは慣れた手つきでお肉を

裏返して火が通ったのを見極めて

僕にOKのサインを送ってきてくれたので

いよいよその瞬間がやってきたのだ

ようやくありつけるのだ

ごくりと喉を鳴らしておそるおそる箸を

肉へと伸ばしていく

ぷくぷくと煮えるすき焼きの良い香り

卵を溶いた小皿にお肉を優しく乗せてから

とろりと黄身をお肉に絡めてから

はふっとかぶりついた

口いっぱいに広がるすき焼きの素晴らしさに

顔中が蕩けてしまった

肉のうまさ甘さ喜びの全てが

この一口に含まれていたのだ

噛み締めるたびに打ち震える感動

あっという間に蕩けてなくなってしまった肉が

もっと食べたいさらに食べたい

物足りないから早く次のが食べたい!

たった一枚のお肉を口に入れただけで

全身がどよめきたつ感動を

人生このかた味わった事がなかった

美味いってこういう事を言うのか!

おばちゃんは僕の感動に打ち震えてる姿を

見て笑っていた

僕は2枚目のお肉をふつふつと煮える

すき焼きの鍋の中にいれた

早く出来上がらないかなと期待満面

我が子の成長を見守る親の気分で

眺めていたらふつふつと煮たってきたので

おばちゃんがやったように

僕も真似して肉を裏返した

再び卵と絡めた肉を口の中に運び入れる

二回目だろうと喜びは薄れる事なく

ますます高まりあぁ美味いなあと

しみじみと染み渡るすき焼きの喜びを

噛み締め味わった

長ネギや豆腐だって負けちゃいない

割下の中で程よく火が通ってきた塩梅で

小皿によそった

割下は甘すぎずからすぎず

豆腐や長ネギの本来の旨さを

さらに美味しく高めてくれていた

はふはふと白い湯気を口の端から吹き出しながら

贅沢な時間を味わう事ができた

すき焼きをお店で食べるだなんて

初めての経験を今半本店でしかも

浅草といったらここ

みたいなすき焼きの名店で経験できたのは

本当に素敵な旅の思い出になった

肉を卵に絡める喜びに

ぱくつき噛み締めて

香ばしい香りにはなをふくらませ

胃袋や脳みそが期待していた以上に

すき焼きは僕にとってたまらなく

美味しい料理だった

すき焼きの素晴らしさを味わえたのが

この場所で良かった

蕩けるように消えていった肉の味が

たまらなく恋しい

また浅草に来た際には今半本店のすき焼きを

絶対に食べに来る

ありがとうございました

とても美味しかったです!

今半本店様!

また行きます!


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