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冬の寒さよおかえりなさい

有終の美を飾るかの様に

最後の力を振り絞って

冬の冷たさが際立って

感じられた土曜日の寒さ

吹きつけてくる寒風に

小雪が混じり

車のフロントガラスに

跳ねては弾けては

濡れては飛んでいく

空には重たそうな灰色の雲

あそこから溢れた雪の精霊が

今僕の住む街に

舞い降りてきているんだ

道路の脇に並ぶ街路樹が

ゆっさゆっさとその身をゆすっては

冬を焚きつけるものだから

それに応える様に

冷たい風が

びゅーびゅーと

興奮して吹き抜けていく

運転してる車のハンドルを

ぎゅっと握らないことには

危ないったらありゃしない

ふとすると横に流されて

中央線からはみ出してしまうから

ハラハラしてしまう

風が強い

三月に入り

もう冬も終わり

今年ももう雪は降らないだろう

結局スタッドレスタイヤに

今年も変えなかったなあと

思ってた矢先の事だったのに

季節が逆行したかの様に

春は薄まり冬は高笑い

暖かさは失われて

ビュービューと寒風吹き荒み

寒くて寒くてたまらない

だから

おかえりなさいとは

素直には言えない

だからってさよならと

言ったところで

思い通りにはいかない

亀の様にたてたコートの襟に

首を引っ込めて歩く人の姿

あぁ春の兆しが

吹き飛ばされた街の気配

すっかりまた世の中は

冬の装い

鼻を啜るのが

日常の景色よ

おかえりなさい

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