彩る音色踊る炭酸水

彩る音色踊る炭酸水

ぷくぷくぷくと湧き上がってくる

可愛らしい泡粒を見るのが好きだ

水面まで上がってくるとぷくりと膨らみ

しゅわりと弾ける音が好きだ

コップの底に張り付いたままの

泡粒の球体を見るのも好きだ

弾ける炭酸を一口飲めば

喉元でぱちぱちと弾ける感覚が好きだ

鼻を抜ける痛みの後に訪れる開放感が好きだ

ペットボトルの蓋を開けた時の

しゅわりと言う音が好きだ

とくとくとくとコップに注いでいく際も

しゅわしゅわと重なり合う音が好きだ

耳にこしゅばゆいそんな音色が好きだ

見た目は透明で繊細そうなのに

一口飲めば分かるやんちゃで暴れん坊な

そのギャップが好きだ

汗をかいた時にこそ恩恵賜りたい

炭酸水の喜び

一気に飲み干して息が我慢できなくなるまで

喉を鳴らしてごくりごくり

ついには我慢しきれずにコップから口を離して

プハーっと息を吐き出す時の開放感がたまらない

我慢なんかしなくても良いのに

わざわざ我慢してしまうのは

この開放感の為なのだ

刺激的で致命的

中毒的で蠱惑的

脳みそが痺れてほどけて蕩けていく

何かを考えるには酸素が足りないが

酸素よりも喜びが欲しい

喜びで満たされたコップをまた傾ける

炭酸水の辛みも喜びも胃の淵にすべて流し込んで

溢れ出す喜びの声

貼り付ける顔

おかわりのお申し付け

夏の夕暮れ

昼間の熱気を忘れさせてもらえるくらいの清涼感

炭酸水一杯から始まる開放の儀式

あぁ身体の中で炭酸が弾けて

しゅわしゅわと音がする

パチパチと胸が躍る

心が踊る

弾ける感覚に心が囚われた瞬間だ