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今年一番最初の夏の歌

目覚まし時計のように

騒がしかった大雨がようやくやんだ

明けた朝日に爽やかな青空

洗い立ての建物に汚れを落としたアスファルト

雨雲の忘形見のような水溜りに

たんまりと雨粒の球体を浴びた草木の緑

猛り狂ったような濃厚な緑だ

あらゆるものが潤っていた

あらゆるものが今日と言う日を心待ちにしていた

雨上がりの空はすかっと晴れ渡っていた

見上げればまんまるな太陽も久しぶりに

活躍できるとあってやる気満々なご様子

そうしてそれは夏の始まりを告げる産声

昨日の雨降りがきっと合図だったのだろう

だからあれほど

どしゃどしゃと降りしきっていたのだ

眠りから醒させる為には地面の中にまで

響き渡らせる必要があったのだ

歌って踊って騒いで夏の扉を開けるには

欠かせない存在たちを目覚めさせたのだ

(蝉たちよ夏が来たぞ今こそ目覚める時だ!)

蝉の鳴き声を今日初めて僕は聞いた

一番最初に目覚めた一匹目の蝉による

今年一番最初の夏の歌

ソロ曲の贅沢なライブに僕は立ち会う事ができた

キラキラ輝く青い空の下で聞く夏の歌は

とても若々しく夢と希望と情熱に

満ち溢れたとても素晴らしい歌だった

天気予報によれば今日は今年初めての猛暑日に

なると言っていた

うっすらと汗ばんだ首筋

蝉の鳴き声を聞くと

身体の奥底が疼き出すのはなぜなのだろう

走り出したくなる衝動もそのままに

はじめはゆっくり

だんだんとペースを上げて

僕は気づけば走っていった

夏がもうすぐそこまで来ている

蝉の声が僕の背中を押してくれている

夏の扉めがけて飛び込んでいく準備はできている

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