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奇跡にも等しい確率のもと

始まりの形は球体的で

命が宿った卵の行く末は神のみぞ知る事柄

先行きがどうなるのか祈る事しかできないが

球体は球体なりに生きていく為に必死に

コロコロ動き始めていた

何が必要でどのように果たしていけばよいのか

その時の僕は何にも知らなかった

ただ生命体としての記憶によって

細胞は分裂して細分化

複雑化していく中で組織が出来上がっていく

手足ができたり脳みそが出来ていったり

心臓が鼓動を打つようになれば

紛れもなく生き物の仲間入りだ

母の腹の中で暮らした

数100日の事は全く覚えていないけれど

魚の夢を見たり恐竜の世界を旅したり

ものすごい勢いで過ぎていく

時間の中を旅していた

もしかしたらを考えたら僕はひっそりと

その命を終えていたかもしれないのに

何かが上手く噛み合い

奇跡にも等しい確率のもと

日の光の下に生まれる事ができた

注がれた優しさのおかげで

僕はこうして生きながらえ

めいっぱいに声を張り上げる事ができた

地球誕生から生命の進化の過程を経て

僕が辿り着いた人としての姿形

恐竜にも似た声で

僕は生まれてはじめての歌を歌ったんだ

僕を抱きしめてくれる母の温もりを

今度は外側から眩い日の光をあびながら

感じとり僕は再び眠りに落ちていく

球体だった頃の記憶は思い出せないが

球体だった頃から注いでもらっている

優しさだけは未だに変わらずに

肌身で感じとりながら

僕は今日も生きている

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