マガジンのカバー画像

アート・美術、美術館・博物館・ミュージアム、展示

85
アート・美術、美術館・博物館・ミュージアム、展示に関する情報や鑑賞記録など。
運営しているクリエイター

2022年3月の記事一覧

「木村伊兵衛と画家たちの見たパリ 色とりどり」目黒区美術館:写真と絵画で見る20世紀フランス

「木村伊兵衛と画家たちの見たパリ 色とりどり」目黒区美術館:写真と絵画で見る20世紀フランス

写真家の木村伊兵衛(1901-74年)が1954-55年に取材でヨーロッパを訪れた際、小型カメラ(ライカ)と国産のカラーフィルムで撮影したパリの写真を展示する展覧会。

木村は写真家のアンリ・カルティエ=ブレッソンやロベール・ドアノーらとも交流したという。

木村によるカラーのスナップ写真131点と、1910-50 年代にパリ留学した画家たちの絵画を展示する。

薄汚れた(!)街角や、やせた子ども

もっとみる
『絵を見る技術 名画の構造を読み解く』秋田麻早子著:美術の造形的な見方を解説する本

『絵を見る技術 名画の構造を読み解く』秋田麻早子著:美術の造形的な見方を解説する本

題名の「名画」が示唆するように、主に西洋美術のいわゆる「オールドマスター」(ある定義では1300~1800年のアーティストを指す)と19世紀の絵画を取り上げている(ほかの時代の絵やイラスト、日本画なども少しあり)。

その時代の絵画は、時代ごとの主流に基づいた描き方をすることが多いため(原題では「伝統的」とされるような描き方)、同じ「見方」で構図などを分析できる、ということで、主に絵画の構図や構造

もっとみる
『視覚心理学が明かす 名画の秘密』三浦佳世著:科学的視点を取り入れた人間味あふれる美術エッセイ

『視覚心理学が明かす 名画の秘密』三浦佳世著:科学的視点を取り入れた人間味あふれる美術エッセイ

古今東西の絵画を取り上げて、「なぜそう見えるのか」といった不思議を、科学実験や心理実験を紹介しながら、ひも解いていく本。

著者は心理学者、研究者だが、専門的知識がなくても読みやすい。もっと学術的な内容かと予測していたが、もちろん専門的な知見による文章ではあるが、著者の体験が語られるなど、親しみやすい書き方の本だった。

サロン展「松濤クロニクル1981→2021」松濤美術館

サロン展「松濤クロニクル1981→2021」松濤美術館

白井晟一が設計した、渋谷区立松濤美術館。

石と木の外観は、船か石棺を思わせる。内観は、ところどころに和室の風情もある。建物の中央は吹き抜けで、噴水がある。

渋谷から歩いて来られる距離なのに閑静な住宅街にたたずむ美術館は開館40周年を迎え、過去の展覧会を振り返る展示を開催している。観覧料は無料。

57点を展示。展示空間は狭いが、昭和の時代にタイムスリップしたような場所で(開館は昭和56(198

もっとみる
『ヴィジュアルを読みとく技術―グラフからアートまでを言語化する』吉岡友治著

『ヴィジュアルを読みとく技術―グラフからアートまでを言語化する』吉岡友治著

著者は比較文学・演劇理論を専攻して、アメリカ大学院の修士課程を修了し、塾講師を経て、小論文のインターネット講座を主宰。ロースクールやMBA志望者、企業を対象にライティングを教えている。

前半の「I 基礎編」は、グラフや入試問題、アート作品を題材に、ヴィジュアルの言語化の方法や例文を提示。ちょっとつまらないと思った。

後半「II 応用編」では、各章で1つのアート作品を取り上げて、1つのテーマを切

もっとみる