朝、食パンをパンナイフで食べやすいサイズに切る。 一定のリズムを、まな板とパンとナイフが刻む。 自分が今より小さい頃、食パンはいつも母親がホームベーカリーで焼いたものを食べさせてもらっていた。 だからパンの味も、分厚い木のまな板やナイフもずっと同じ。 ずっと同じ、朝の音。 久しぶりにその音を聴いた時、なんともいえない心地よさを感じた。 なんだかとっても豊かな気持ちだ。 そう思いスマホに「パンを切る音」とメモを取った。 最近、よく働いている。 働いているの基準は曖昧だが
7ヶ月ほどの旅から日本に帰国して1ヶ月経った。 この日々を過ごす中で感じた手応えをことばに置き換える。 考えたから書けるのではなく、書いているから考えられる。 だからこうして書く。 あんまり大したことをしていないような気がするというのは、ある意味それだけでこの1ヶ月を表している感覚なのかもしれない。 何か一つ成し遂げたことがあるというよりかは、粒々とした何かが偶に目の前に流れてきて、気が向けば手に取ってみたりして、それがどう見えるのかを気ままに眺めていたような、なんとも
ルート日本→アメリカ→メキシコ→グアテマラ→エルサルバドル→(ホンジュラス)→ニカラグア→コスタリカ→パナマ→コロンビア→エクアドル→ペルー→ボリビア→チリ→スペイン→モロッコ→エジプト→ネパール→インド→ラオス→ベトナム→タイ→日本 日数 : 234日2023年7月26日~2024年3月16日 総費用 : 約130万円航空費:約38万円 1日平均(飛行機以外の交通費込み):約3931円 アメリカアラスカ Stay(宿泊場所) 知人の家 Spots(滞在中に特に行っ
なんだかずっと文章を書く気にならなかった。 もちろん旅自体に集中というか、時間を割きたかったのはあるけれど、こうやって自分の感じたことなんかを綴って残したりするのも自分の旅の一部ではあったこともあるはずで。 でも書こうとか残そうとか意気込んで言葉を置いていこうとすると、頭の中や舌の上で思いついた考えや感じたことをコネコネしている感覚が消えなかった。多分それは自分の中からすんなり出てきたものではなくて、無理に考えて造り出そうとしているのではないか。そんな気持ちがしてから、そ
世界一周中、中南米縦断が終わりそうな段階での荷物紹介です! 旅を楽しみにしながらご準備されている方の役に立てれば幸いです! 一覧 メインバックパック(44L、 タテ46.5cmxヨコ33cmxマチ14cm) バックパックカバー(付けとくだけで盗難防止、防水) サブバックパック(16L, 若干防水) 帽子(Keen、キャップ) 靴下x2(ワークマン、丈夫なやつ) 靴(Keen Newport) 下着x3(乾きやすさ重視) ジーパンx1(Levi's) ベルトx1 短パ
泳いでいた視線。 気が付かないくらいのスピードですれ違う。 じろじろと眺めてはいけないような気がして、 そーっと巻き戻すように探し合う。 見つける、 と同時に見つかっている。 その瞳の奥。 握手するようにがっちりと。 瞬きから瞬きまでの間。 いざ数え始めてしまったら終わってしまうようなその刹那に、 両者だけが時を共にする空間が生まれる。 静止画だと思っていたら映像だった時のような、 周囲の何もかもが止まっていたような瞬間。 感じられるのはいつだってそれが終わった後だ。
言葉になり切れていなかった感情や現象が、 誰かの手でぴったりの呼び方をつけてもらっていたりすると、 その表現力を羨ましく思ったりする。 先を越されてしまったような悔しさに襲われることもある。 あまりにも言い得ているから驚き感動することもある。 この感情を言い表す言葉を僕はいくつか知っているぞ。 この味を美味しいという一言で終わらせない表現も知っているんだ。 一捻り加えて自分なりの表現を生みだせたときはとても気持ちがいいしどこか誇らしい。 新しい言語を学んだら、そこにはこ
自分で決めた、旅をするということ。 でも自分が決めたなんて、そう思っているだけなのかもしれない。 もしかしたら、そんな決断は全て自分の周りに仕向けられていたことなのかもしれない。 なんて思ったり、思わなかったり。 いずれにせよ、 自分が今、ここにいない未来もきっと存在したんでしょう。 運命もタラレバ。 いろんな人と繋がって 今、ここまで来れた。 自分をここまで連れてきてくれた全てに感謝。 文字通り、全てに。 好きなものも、嫌いなものも、 好きな人も、嫌いな人も、 もち
写真を撮りながら、世界を旅している。 カメラは新しい世界の見方を教えてくれる、そう感じる。 寝る時とシャワーを浴びる時以外、GRⅢというコンパクトデジタルカメラを肌身離さず持ち歩いている。 ただ自分がGRⅢにどれほど惚れこんでいるのかをこの文章では紹介するのを避けることにする。このカメラが魅力的過ぎることに加えて、自分がまだ素人すぎることで文章がとんでもなく長いことになりそうだから。 街へ繰り出す。 右手にカメラを握らせて。 撮るためではなく、まず街を味わうために。 そ
グアテマラ共和国のアンティグアという街に滞在している。 この街の名前を日本で聞くことがあるとしたらコーヒー豆の品種として、かもしれない。 これまでの自分にとってのコーヒーは勉強のお供、スイーツのお供、語らいのお供、といった立ち位置の飲み物。いや飲む物というよりカフェ滞在のために注文する物だった。 コーヒーは好きだが大好きと言えるほど詳しくもなかったし、味わう姿勢に真面目さがない時点でコーヒー好きと名乗るには程遠かったのではないかと振り返って思う。 そんな自分がコーヒーの世
日本を出て2ヶ月が経った。 メキシコに来て1ヶ月が経った。 サンクリストバルデラスカサスに来て3週間が経つ。 ここまでマイペースにほぼ予定通りの旅程を経てきた自分だったが、この街でそのペースは変わった。 生活のペース、とでもいうのだろうか。時間の流れ方が自身の体内と肌で感じる体外とでは異なるのを理解するも、それをどうにもはっきりと掴み取ることができない。自分が持ち合わせた語彙ではその違いを言い当てることができない。もどかしい。 生活、というものが睡眠や食事という営みで構
この国が好きであることは、足を踏み入れる前から知っていたような気がする。 今更形容のしようもないけれど、元から期待は他の国よりも数倍高かった。 ここ最近で一番の胸の高鳴りを覚えながら飛行機を降りる。 始めに訪れたのはグアナファト。 おもちゃ箱をひっくり返したような街並みと評される観光地だけれど、感覚としてはおもちゃ箱に自分が投げ入れられたみたいだった。まっすぐ進んでも、脇道に逸れても次から次へとカラフルな景色が続く。自分が好きな配色はどれかを探していると迷路に飲み込まれる。
アラスカに来てから3週間が経った。 日々何をしているんだと聞かれれば、何もしていない。 でも本当の本当に何もしていないというのはまあ理屈が通っていないわけで、実際には何かをしているはずだということになるよね。じゃあ何をしているのかと言うと、基本寝たり、お腹を満たしたりしてて。でも多分これらはこの質問の答えとして期待されたようなものではないはずでそれには気が付いているよー!自分そんなに面倒くさい奴じゃないですよー!ということをここで文字に起こすことで釈明しておきたい。 車
ふと通路反対側の窓に目をやる。 溢れんばかりの陽が手前から奥へ次々と機内を射していく。 カウントダウンのようでなんか面白い。 予定より少し早い22時手前。 機体が滑らかに下降を始めた。 アラスカに到着。 別名がThe Last Frontierでありながら、記念すべき(?)最初の滞在地。 空港到着口に降り立つと同時に、纏わりついていた生暖かいサンフランシスコの空気がカラッとした新鮮な風に流されていくのを感じた。 そうそう、こんな感じこんな感じ、とその空気感の違いを見分け
「世界一周」という言葉の響き方はきっと人それぞれによって違う。 自分のいる場所から東か西かどちらかの方向に向けて進み、反対側から戻ってくる。 強いて言うとすればそれが「世界一周」の定義みたいなもののはずで、というか最早いつ自分は「世界一周」という言葉を知って、いつからそれを一つの旅の形としてカテゴライズしていたのかすら忘れてしまった。 初めてその「世界一周」を身近に感じたのは2020年の秋で、それはまさにTABIPPO主催の「世界一周コンテスト」に出場した時。 それま