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映画評/書評

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観た映画や本の感想を載せております
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記事一覧

山椒魚は悲しんだのか?

山椒魚は悲しんだのか?

 井伏鱒二の『山椒魚』を読む。
 正直言って、私は文学に詳しくないし、井伏鱒二が何を伝えたかったのか、この作品が文学的にどんな意味があるのか、さっぱりである。その上で感想を語るのであるが、要するにこれは私の感想に過ぎない。それが正しいのか誤りなのかなど、はっきりと言えばどうでもよいのである。無論、それを主題とする者もいるだろうし、文学論争のようにどちらの主張が正しいかを言い争うのも、私は価値あるこ

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『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』に観る「女性らしさ」の変遷

 昨日ね、『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』っていう映画を観てきたんですよね。これが中々よく出来てました。全体的な印象は王道のヒューマンドラマ映画って感じだったかな。僕は女優には詳しくないので、長女メグ役のエマ・ワトソンぐらいしか分からなかったけど、主演の女優さん(いま敬愛すべきWikipediaさんで見てきたら、シアーシャ・ローナンという女優さんらしいですね。そうか。『ラブリー・

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チェイサーは王道少年漫画である!

チェイサーという漫画をご存じだろうか?

僕がいまもっとも好きな漫画である。
ざっくり言うと「マンガの神様・手塚治虫と同時代を生きた架空の漫画家が、手塚を追跡(チェイス)するようにライバル視してマンガ黎明期時代を生き抜く」というようなもの。
その独特の設定から、「手塚治虫をライバル視する漫画家」という部分だけが取り上げられて、ニッチな作品だと思われがちだけど……。

実はそうではない。
このマンガ

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私の坂口安吾

私の坂口安吾

 坂口安吾『堕落論』を読んだ。友人に薦められてのことである。私はそれまで坂口安吾の著作を一冊も読んだことがなかった。『堕落論』は、その名が示すように、どこか退廃的な、破滅的な、暗い論理が書かれているのだろうと思って読んだ。

 いやはや、驚きである。確かに堕落論の骨子は「人は皆、堕落する」であり「むしろ堕落するべきだ」というひと言に尽きるが、このエッセイ集(ちなみに私は角川文庫版を読んだ)を全て読

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中島らもに乾杯

中島らもに乾杯

 中島らもの『今夜、すべてのバーで』を読了した。爽やかな、甘酸っぱい、青春の味を思い出させるアル中小説だった。

 中島らもを読んだのは初の試みだ。私はらもに詳しくない。ある人かららものことについて色々と教わった。

 それによると、らものこの小説はかなり事実を基にしていて、半自伝的小説であるらしい。らもも主人公と同じ歳にアル中で入院しているし、エピソードもそのままそっくり使っている箇所が多い。

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誰の心にもウェルテルは居る

誰の心にもウェルテルは居る

 ゲーテの名作古典『若きウェルテルの悩み』を読了した。これについては以前からその存在は知っていたが、いまいち手が伸びず、ずるずると先送りになっていた小説である。

 今回、友人が読むということを聞きつけて、ならば私もと読んでみることにした。

 内容はひと言でいえば「青年ウェルテルが婚約者のいる女性を好きになってしまい、許されない相手への愛に悩みまくり、ついには自殺してしまう」というものである。

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映画評『素晴らしき哉、人生!』

こちらもAmazonプライムで視聴した映画です。

1946年公開『素晴らしき哉、人生!』

アメリカではクリスマス・イブの日にはテレビ放映される映画としてなじみ深い映画のようです。
監督はフランク・キャプラ。
正直言って、公開時はそれほど興行収入が振るわなかったとか。
しかしその後、数十年が経ってテレビ放映されるようになりました(現在はパブリックドメイン)。
若い世代にフランク・キャプラの名を浸

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『人生、ブラボー!』

『人生、ブラボー!』

Amazonプライムで映画を観た。

『人生、ブラボー!』というコメディ映画である。

実はこの映画を観るのは2度目だ。
以前、どのネット配信だったかは忘れたが、1度観た記憶がある。
ちなみにこの映画はカナダの映画だ。
人気を誇ったために、ハリウッドでも『人生、サイコー!』というタイトルでリメイクされている。
ちなみにハリウッド版も僕は観た。
要するに、それだけ僕は、どうやらこの映画がお気に入りの

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