見出し画像

#268 日経「Oneみずほの落とし穴」を読んで

4月6日日経新聞朝刊6面の「Oneみずほの落とし穴」という記事を読んで思ったことをメモ。


1、どんな記事?

システム障害を引き起こしたみずほ銀行について、危機管理能力の甘さが見受けられる理由について、親会社のみずほフィナンシャルグループが採用するカンパニー制の負の側面が影響しているのではないか、と指摘する記事です。

いくつか気になった部分を引用します。

一番重要なポイントは、いざトラブルが生じたときに適切に対処できない組織の弱さやガバナンスの不具合に違いない。発火点はシステム障害だったが、燃え上がらせてしまった原因は顧客をはじめとする関係者への対応のまずさ、感度の鈍さだ。
よくよく注意しないとカンパニー制が生み出してしまう負の側面を2つ挙げたい。いずれも「カンケツ」が失われる現象だ。
まずは簡潔。銀行や証券という既存の組織の縦ラインに、カンパニー制という横の軸が重なり合う。どれだけ縦と横の役割分担をうたっても、業務をとりまくややこしさや複雑さは明らかだ。
そして完結。かつてに比べて銀行は独立した組織として尊重されなくなった。頭取は銀行にまつわるすべての事柄を決める最終権限があるかといえば、そうでない。その裏返しとして、責任の所在もあいまいになりやすい。

ちなみに、カンパニー制、のイメージが付きにくいと思いますので、同フィナンシャルグループのディスクロージャー誌から該当部分を以下に転載します。

画像1

このように、銀行や証券などが縦にあるのに対して、顧客セグメントや市場ごとに「カンパニー」という横串が刺されている、という組織です。

記事は、カンパニー制そのものに問題があるのではなくバランスだと指摘した上で、どうすればよいかについて以下のように述べています。

縦に横にと組織を張り巡らせるだけでなく、コミュニケーションも縦横斜めに繰り返す。上意下達に偏らず、現場の息づかいをきちんと共有できなければ組織を的確に動かせるわけがない。みずほに限らず、陣容を広げようと陣立を見直すすべての銀行、あらゆる企業に当てはまる。


2、まとめ(所感)

いかがでしたでしょうか?

事業会社のカンパニー制というのは、部門を1つの独立した企業=カンパニーとして扱うことで、事業の採算性やコストマインドを高く持たせる、意思決定を早くできる、というメリットを取りに行くものが一般的だと思います。

みずほの組織はどちらかというと、「マトリックス型」ですね。

以前、以下の投稿をしたことを思い出しました。

この投稿自体は、複数の部門がある1つの企業をイメージしていましたが、今回記事に取り上げられているみずほフィナンシャルグループは、マトリックスとなっている企業で、より複雑化しています。

となると、中で働いている人間からすると、その企業の長も気にするし、所属するカンパニーの長も気にしなければなりません。同じ指示が来ればいいですが、違うものが来たらどう動けばよいか分かりません。

また、企業の長も、5つのカンパニーに横串を刺されていますので、そちらの指示も気になければいけせん。これは、記事にもあるとおり、「責任」が曖昧になる恐れが多分にあります。

となると、組織の縦割り、というより、組織が分解する力が働く気がします。
1つ1つの組織が、上も見て、左も見て、バラバラに動く、という意味です。

どんな組織であれ、結局はハコ、ではなく、運営が重要だ、ということですね。


最後までお読みいただきありがとうございました。

当たり前の結論で申し訳ありませんが、どこか参考になるところがあれば嬉しいです。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?