#149 「結果オーライ」の落とし穴
昨日の日経新聞19面に「コロナ退治とデフレ退治」という記事(コラム?)がありました。コロナとデフレを例に取っているものの、「結果オーライ」の落とし穴という視点は他にも当てはまるなぁ、と思ったのでメモ。
1、どんな記事?
国際比較すれば日本のコロナ退治の成績は悪くないものの、その理由ははっきりとは分からず、専門家も「ファクターX」と呼んでいること、夏の第2波が終わった際の、官邸スタッフの「泥縄だったけど結果オーライ」という発言を紹介。
似た話として、8年前の政府日銀の消費者物価を前年比上昇率を2%引き上げる、異次元緩和を紹介。マイナス金利政策まで導入したが物価は一向に上がらない。この理由ははっきりしないが、株価は上がり、雇用も増えた、ので「結果オーライ」なのか、と指摘しています。
不都合な真実は誰もが見たがらない。結果オーライの落とし穴はコロナ退治にもデフレ退治にもある。
と結んでいます。
2、「結果オーライ」の落とし穴
いかがでしたでしょうか?
コロナの第1波、第2波までを抑えられた理由は、専門家もわからない「ファクターX」。でも「結果オーライ」と思っていた。
その結果、第3波に右往左往している。
消費者物価も2%引き上げることで物価は上がり景気も良くなる、ということで「異次元」とも言われる緩和策を導入したが、物価は上がらず。でも、株価が上がり、雇用が増えたことで「結果オーライ」と思っていた。
その結果、金利機能の喪失(ゼロですからね)、銀行経営圧迫(貸出金利が下がったので)という副作用が起こっている。
こういうこと、普段でもないでしょうか?
私は思い当たります。特に仕事で…
例えば、営業で、あるプロモーションを投入。事前に想定し狙った通りの結果ならいいのですが、大抵はブレます。
下にブレた時には理由の追求は厳しいのですが、意外と上にブレたときは「よかったよかった。大成功!」で、まさに「結果オーライ」で済まされることが多くありました。
私は気持ち悪いので理由を調べようと聞いて回るのですが、めんどくさいこともあって誰も真剣に考えてはくれません。
でも、未知の「ファクターX」を見つけるチャンスですし、きちんと捉えることができれば、次のプロモーションはその「ファクターX」に焦点を絞ることで、もっと大きな成果が得られるかもしれないのです。
あるいは、環境が変わって、その「ファクターX」が、大きくマイナスに働くかもしれないのです。
結果がどんなに良かったとしても、想定とブレがあるのであれば、絶対に検証は必要なのです。
それをしないことが、「結果オーライ」の落とし穴、なのです。
3、まとめ
勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし
という言葉があります。
この言葉、『負けには絶対に負けた理由があるはずなので理由の分析が必要だが、勝ちには運もあるので分析はいらない』というように解釈されることが多いように思います。
でも、違うと思います。
勝った、負けた、は確かに大事。
でも、必ずまた勝負しなければならない時が来るはずです。
その時のために、勝っても負けてもその理由を検証すべきです。
つまり、勝っても「不思議の勝ち」だったのかもしれない、と考えて、その中に含まれる、負けるかもしれなかった要素をより詳しく検証すべきだ、ということです。
確かに、大変な事態をなんとかして乗り切れたらホッとします。
思いがけず大成功すれば、お祝いしたいでしょう。
その後でいいので、なぜ乗り切れたのか、なぜ、「大」成功できたのか、検証、忘れないようにしたいものです。
意外と、負けの分析は責任回避と言い訳で本当の理由が隠蔽されたりするので、勝った時こそ真の理由が分析できる、というのもありますしね。
最後までお読みいただきありがとうございました。
なにかお役に立つことがあれば嬉しいです。