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#114 「今やれていないこと」ばかり見るマネジメントは失敗する

昨日、社内ルールが複雑になることで、より変化と複雑性が増しているマーケットへの対応スピードが落ちてしまう企業があることを投稿しました。

しかも、社内ルールが複雑になるのは、複雑な外部環境に対応しようとした結果だ、という、なんとも皮肉なケースでした。

では、どうすればいいか、という点は、まとめでふわっと触れただけでしたので、今日はその点についてもう少しご紹介したいと思います。


1、その前に、なぜマネジメントは新たなルールを導入したがるのか?を検証。

昨日の投稿では、外部環境の急激な変化に危機感を持った経営陣が何か手を打たなくては、と考えて、新たなルールや手法を導入したり、報告を求めたり、ということで社内の「お作法」が増えてしまう、ということをご紹介しました。

この点をもう少し掘り下げてみましょう。

新たなルールや手法、報告を求める、ということは、その背景には、「現場はできていない」という考えがあります。

もっというと、経営は「現場ができていないこと」ばかり見ているのです。

ですから、やって欲しいことをやってもらうべく、新たなルールや手法、報告を求めるのです。

ここが非常に重要な点なのですが、

今、その企業で起こっていることは、現場の従業員が「やっていないこと」ではなく、「やっていること」の結果なのです。

にもかかわらず、「やってないこと」に着目して、そのための手を打つのです。

つまり、「今やっていること」を見ていない、「今やっていないこと」しか見ていない、ことがマネジメントが新たなルールを導入したがる理由なのです。


2、外部環境の変化にうまく対応しているケース

一方で、うまく対応している企業もありました。

何が違うのか?

まず、今、従業員がどのような行動をとっているか、そしてその行動をさせているのは何なのか?を把握しようとするところから始めていたのです。

つまり、従業員は今あるルールや評価体系のもとで最適化して行動しているはずであり、その力学をまず把握するのです。

その上で、何を変えればどの方向に動くのか、を考えて必要なところに関してだけ変更を加える、という方法をとっていたのです。

聞いてしまえば当たり前なのですが、先ほどご紹介した通り、「やっていないこと」を見てしまいがちな企業とは大きな違いになります。

例えば、ある小売りチェーンで各店舗の在庫を減らしたい場合を考えてみます。

☑️「やっていないこと」を見る経営陣の場合
→在庫の削減量を新たに目標に追加。
→効果なし。
→再度徹底を指示。
→在庫は減ったが売り上げも減少。
☑️「やっていること」を見る経営陣の場合
→「なぜ在庫を抱えるのか?」を調査。結果、売り上げで評価していたため、欠品による売り上げロスを恐れて在庫を多く抱える傾向にあることを把握。
→その背景として、発注しても納品は週2回、倉庫にないとさらに日数がかかることを把握。
→物流の見直しを行い、発注から翌日に納品する体制を整えた上で店舗には最低限の在庫のみとすることした。
(店舗に在庫を持たなくとも発注すれば翌日には納品されるので店舗で在庫を持つ必要がなくなったので店舗側も抵抗なく受け入れ)
→配送頻度は高まりコストアップになったが、在庫の減少によるメリットが上回る。加えて、商品の切り替えも在庫処分セールなどは不要になり利益率も向上。

「やってないことを見るマネジメント」と「やっていることを見るマネジメント」とでは、これだけの違いが生まれるのです。


3、まとめ

今、組織変更まで含む業務改善を担当しているのですが、出てくることといえば、「あれができてない」「それがイマイチ」という話ばかりです。

でも、「やっていること」はあるはずで、そこを見ないといけない、と認識を新たにしました。

危うく、「できてないから新ルール、新組織」となるところでした。


直接は関係ないのですが、今回のケースで、「やっていないこと」に目が行くのは、部下に対してもそうだなぁと改めて考えさせられました。

今の自分や部下を作っているのは、「やっていないこと」ではなく、「やっていること」なのだ、ということも、今一度認識しました。


最後までお読みいただきありがとうございます。

何かお役に立つことがあれば嬉しいです。

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