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#281「ビジネス頭の体操」 今週後半のケーススタディ(4月22日〜4月23日分)

はたらくおとな向け。普段の仕事と無関係なケーススタティで頭の体操。
その日にちなんだ過去の事象をビジネス視点で掘り下げています。
普段の仕事を超えて、視野を広げ、ビジネスの頭の体操をするのにぴったり。
考えるための豊富な一次情報やデータもご紹介。

 →部分は、頭の体操する上での自分に対する質問例、です。


4月22日(木) 2019年に人間が出したCO2は○○ギガトン!?

1970年のこの日、アメリカの市民運動指導者で、当時大学生だったデニス・ヘイズが提唱した「アースデー(地球の日)」です。
この「アースデー」は、2009年の国連総会で制定し、翌2010年から正式に国連の記念日「国際母なる地球デー(International Mother Earth Day)」となっています。

この日に合わせて様々なイベントが開かれるようです。ご興味がある方はアースデイ東京の公式サイトをご覧ください。


地球。
テーマとしてデカすぎて困りますが、ここでは地球温暖化について調べてみました。もう、何度か目にした内容かもしれませんが改めて。

まず、温暖化って何?ということですが、気象庁のHP「温室効果ガスに関する基礎知識」から引用します。

工業化時代以降、特に20世紀に入ると急速に、二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、一酸化二窒素(N2O)、人工物質であるハロカーボン類などの温室効果ガスが増加しています。これらの増加がもたらす地球温暖化は、自然の生態系や人間社会に大きな影響を及ぼすことから、人類の生存基盤を揺るがす問題となっています。

では、具体的にどれくらいの気温上昇が起こっているのでしょうか?
同HPから世界平均地上気温の偏差を見てみましょう。ちょっとわかりにくいですが、0.8度程度上昇していることが読みとれます。

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その原因の1つである二酸化炭素(CO2)濃度の変動は以下の通り。よく見るやつですね。

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赤線が年間の平均値。増加トレンドであることが分かります。緑の線を見ると、季節変動があることが分かります。これは夏季は植物の光合成が活発となって二酸化炭素が吸収されることによるものです。

次に、1年ごとの二酸化炭素の増加量を見てみましょう。

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毎年の増加量には結構なばらつきがあることが分かります。これにはエルニーニョ現象と関係あるそうです。以下引用します。

エルニーニョ現象が発生すると、陸上生物圏では熱帯域を中心に高温・乾燥化することにより、植物の呼吸や土壌有機物の分解による二酸化炭素の放出の強化と光合成による吸収の抑制が起きます(Keeling et al., 1995)。また、その高温・乾燥化は森林火災を発生させやすくなり、二酸化炭素の放出が強まることも知られています。一方、海洋においては、太平洋赤道域の東部から放出される二酸化炭素の量が減少しますが、これは陸上生物圏による放出の増分より小さくなっています。結果的に、二酸化炭素濃度の年増加量は増大する傾向となります(WMO,2018)。

毎年の二酸化炭素吸収量とエルニーニョ現象の発生時期(ピンクの部分)を合成したグラフがこちらです。…関係あり、そうですね。

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二酸化炭素濃度上昇は主に人間の活動によるものだと言われています。だとすると、昨年からの自粛、ロックダウンによって減少してしているはずです。

実際、昨年の4月初旬まででCO2排出量が17%減、通年でも7%減少するとされています(出典:WIRED記事、日経記事)。

あれだけの自粛や経済活動の停止があって、たったの7%しか減らない、というのは、「カーボンフリー」という目標の高さが実感できます。


日経記事の中に、2019年のものになりますが、排出量と吸収量の実数がありましたので、ご紹介します。ppmなどより少しですが実感が出る気がします。

■ 人為的な排出 11.5ギガ(ギガは10億)トン
● 大気に蓄積   5.4ギガトン
○ 海洋で吸収   2.6ギガトン
○ 植物で吸収   3.1ギガトン


→オイルショックは原油コスト増を通じて日本の省エネ技術を飛躍的に高めた。二酸化炭素でも、排出権取引など市場を通じて効果を高めようとする取り組みが始まっている。排出権取引以外に市場原理を使って二酸化炭素削減の実効性を高める仕組みはどのようなものが考えられるだろうか?


4月23日(金) 消防車は全国に○○○○○台!?


日本の消防車の5割を生産する株式会社モリタが制定した「消防車の日」です。1907年の同社の創立記念日。

消防車。
全国に何台ぐらいあるものなんでしょうか?
令和2年版消防白書によると、令和2年4月1日現在の消防車両等の保有数は以下の通りです。

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消防ポンプ自動車、はしご自動車、化学消防車というところがいわゆる消防車、と考えると、約1万台の消防車があるようです。

こうした消防車、必要に応じて配備されている訳ですが、実は「消防力の整備指針」(平成12年消防庁告示第1号)に明確に基準が定められているのです。

例えば、消防署の数ですが、同告示第4条で「市街地の区域内の人口」ごとに設けるべき「署数」が定められています(例えば7〜10万人だと3つです)。

同様に、第5条では「消防本部又は署所の管理する動力ポンプの数」「消防団の管理する動力消防ポンプの数」がやはり人口ごとに定められています。今回のテーマですので以下に表の一部転載します(ちなみに表は30万人まであります)。

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この消防車、調べてみたところ、記念日を作ったモリタというメーカーのシェアが圧倒的です。同社のHPみると以下のようなページがあってちょっとワクワクします。

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さて、同社の決算資料に、消防車市場におけるシェアの推移がありました。

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すごい勢いで伸びてます。ちょっとみにくいですが、シェア6割です。

このきっかけになった製品がこちら。

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これは、薬剤と空気を水と混ぜることで、従来品の10分の1以下の水量で同じ消化効果が出せる(つまり節水型ですね)という優れものです。

直近の2020年度第3四半期決算説明資料から業績をみてみましょう。

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感染症の影響はあるものの、通期での売上高見込みは前年度比4%減、営業利益で同8%減と他の業界、企業に比べると落ち込みは抑えられています。

そして、売上高の6割を消防車両が占めていますが、通期見込みでは売上高で1%減、営業利益では3%増、となっており堅調です(下図)。

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ここ数年の業績を2019年4月から2020年3月期の決算報告書の財務ハイライト(連結)をご紹介します。ちょっと驚きの好業績企業です。

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ちなみに、消防車以外に3つの事業セグメントを持っており、昨年度の数字になりますが、以下のような構成になっています。

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消防車のトップ企業は優良企業でした。

→消防車は確かに一定の需要があるマーケットだが、財務的に余裕のない地方自治体が顧客である。人口も減っていく中で徐々に縮小していく中ではシェアを高めるのが1つだが、ほかにどのような成長戦略があるだろうか?


最後までお読みいただきありがとうございました。

「地球の日」、すでにご存知のことが多かったかもしれませんが、あえて改めて情報を集めてみました。

「消防車の日」、いやー消防車、かっこいいですね。そして隠れたニッチトップ企業。まだまだ知らない企業が多いことを実感しました。

どこか皆様の頭の体操に役立つ情報があれば嬉しいです。

昨年の7月から続けてきました。以下のマガジンにまとめておりますのでよければご覧ください。


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