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営業はいらない、と言われる時代に営業をマネジメントする〜②まずできること〜

いま、営業を統括する立場のマネージャーは、様々な変化、プレッシャーで悩みは尽きないでしょう。しかも営業はいらない、とまで言われる時代に…

営業の研修講師をしていた関係で、上記に関する相談が増えています。
そうした相談内容をケースに分けてメモしています。

前回は、一生懸命部下を助けようとするあまり目線が下がってしまったケースをご紹介しました。

今回は、営業のプロセスに関して共通認識がなかったことが問題の発見を難しくしているケースをご紹介します。


1、「異常値」というのは「基準」があるから分かる

「どこから手をつけたらいいか分からない…」

これが相談でした。

聞けば、部下によって不調の原因がバラバラで一体なにが本当の原因か分からない、ということです。

どのような不調の原因が出ているのかというと、

☑️ 新規のアポイントが入らない
☑️ 商談はスムーズに行くのだが、最後に断られる
☑️ 競合の新商品に商品性(あるいは価格)で負ける

確かにバラバラです。

とはいえ、どれもよくある原因ではあります。

「通常と比べてどれくらい悪化していますか?」と質問すると、

「かなり」

との答え。

これでは、一体どれくらいリカバリーすべきなのかが分かりません。


2、「不調」というのは「順調」があるから分かる

さらにいくつか質問をして分かった最大の問題は、

☑️ 営業プロセスが標準化されていない

ということでした。

もちろん、全くないわけではありません。

しかし、各プロセスについて、名前はついているものの、各担当者で認識が違うのです。つまり、同じ言葉を喋っているものの、その指す意味が異なるのです。

最も大きな問題は、その状態を認識しているにもかかわらず相談者であるマネージャーがそのままにしてきたことです。

彼自身、営業は相手があることなので、プロセス通りいかない。大事なのは臨機応変に顧客に合わせることだ、という認識です。

これは大きな間違いです。

基本形がない臨機応変は単に「出たとこ勝負」です。

「出たとこ勝負」の問題点は以下のようなものがあります。

☑️ うまくいったときも、いかなかったときも、要因分析ができない
☑️ 分析ができないのでチーム内で共有しても、再現性がない、単なるテクニックに留まる
☑️ 育成ができない
☑️ 数字が読めない

特に、うまくいっているときはいいのですが、今回のような事態でうまくいかなくなったときに課題発見が難しく、的確な打ち手が打てずダメなスパイラルに入り込みがちです。


3、まずやれること

ほとんどの場合、営業のプロセスはあるでしょう。

それに基づいて日報などで何らかの報告はされているでしょう。

まずは、そこから分かるデータで状況を分析してみましょう。

定義がズレている、とか、十分なデータがない、とかあるかもしれませんが、分かるものだけで構いません。

できれば、直近3ヶ月と前年同時期の3ヶ月のデータを分析してみましょう。

チーム全体での傾向と、個々人との傾向を比べれば、かなりのことが分かります。

① チーム全体で、どのプロセスでどれくらい変化していて、そのうち最も変化が大きいプロセスは何か
② そのプロセスの個々人のデータを確認し、全体の落ち込みほど落ちていないメンバーを探す
③ そのメンバーに、なにをやっているかをヒアリング

それほど落ち込んでいないメンバーに何かヒントがあるはずです。

そのとき注意することは、そのプロセスだけでなく、他のプロセスも含めて何か違うことをしていないかも確認することです。

例えば、成約率が全体に比べて高い、という場合、成約したときのプロセスよりも、そこに至るまでのプロセスで何かポイントとなることがある可能性が高いのです。


実際、ご相談頂いたマネージャーの方も、完全に納得はされていなかったようですが、分析をした結果、解決策が見えてきた、とのご連絡をいただきました。

特に、連続して記録したデータがなく、日報から自分で手を動かして拾ってデータを集計したそうですが、その過程で多くの気づきがあった、ということをおっしゃってました。

その結果、日報のフィードバックの観点も変わり、それにより、メンバーの動きも変わってきたそうです。


4、まとめ

いかがでしたでしょうか?

ここまで「昭和な」営業組織はもうあまりないと思います。

一方で、

☑️ 営業プロセスは決まっているが、実際に個々のメンバーがしていることは微妙に違う
☑️ 活動報告はデータベース化されているが、それを使った有効な指導などはされていない
☑️ 活動報告は細かく入力を求められるが、それが営業に役立つ実感を持てない
☑️ 育成は誰に教えてもらうかで変わってしまう

といったことは今でもよくみられるのではないでしょうか?

とはいえ、プロセスの定義を統一しにいくことなどは大変な割に得られるものは少ないものです。

それよりは、マネージャーが活動報告の見る観点を変え、フィードバックを変えることで、メンバーの動きは変わりますし、知りたいデータを入れてくれるようになります。

なぜなら、人はなにを見られているかで動きが変わるからです。
(フルコミッションの営業組織はこの限りではありませんが)

つまり、マネージャーが変われば、メンバーの動きも変わり、結果も変わります。

「まずできること」だけでもかなりの効果が出る場合がほとんどです。

もし、同じような状況でお悩みであれば試してみて頂ければ。


最後までお読みいただきありがとうございました。

本日は、営業プロセスが標準化されていないケースの「まずできること」でもかなりの効果が出ることをメモしてきました。

明日は、後回しにした営業プロセスの標準化をすべき理由とその方法についてご紹介したいと思います。

お役に立つところがあれば嬉しいです。


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