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【詩】青空の帽子
ある日、あの人は
帽子を拾った
青空のような帽子を
ためらわず
その帽子をかぶると
風が吹いた
春のような風が
さわやかに
駆け抜けた
目をつぶってごらん
青と白が
泳いでいるよ
ぼくたちは
そんな春に包まれ
流れるように
空を泳ぐんだ
そして心地よい
風になる
青と白になった
ぼくは
いつまでも
春を追いかける
もしその帽子を
君が拾ったのなら
君にあげるよ
気に入ってくれると
いいんだけどね
ああ、あの青空を
描けたのなら…
優しい空を
君は見出すだろう
ある冬の日、
ぼくはそんなことを思った
どんなに辛く寒い冬が
続いても
ぼくは優しい青空を
心に宿していたい
ぼくはどこかに
帽子を置いてきたよ
君が気に入ってくれたのなら…