唯一絶対の正解なんてないのだから、自分に合った方法を試してみよう(『荘子』天運篇)
今回取り上げるのは『荘子』天運篇からの言葉。
水の上を行くには舟を用いるのが一番良い、という意味。
逆に、陸の上を行くのであれば車や電車が良いでしょうし、空を行くのであれば飛行機が一番良いはずです。
つまり、物事にはそれぞれに適した方法がある、ということですね。
ここ数年で、
「〇〇すべきだ」
「みんな〇〇してる」
「〇〇しないなんて損してる」
といった刺激的な言葉を目にすることが増えました。
人間はメリットを得ることよりも、損をしないことを優先しがちな生き物なので、こういった言葉はとても人目を引きやすいです。
私もよく目にしては、「私はやってないけど大丈夫かな・・」と不安になることがありました。
一度気になりだすと、余計に心配になってしまうんですよね。
ですが、『荘子』の言葉を読んでからは考え方が変わり、前よりも不安を感じにくくなりました。
誰にも当てはまる唯一の正解なんて存在しないのだと気づけたからです。
「〇〇すべきだ」
「みんな〇〇してる」
「〇〇しないなんて損してる」
これらの言葉は特定の状況や環境においては真実ですが、だからと言ってすべての人に当てはまるものではありません。
人や環境、場所や状況によって、それぞれに適した方法は異なります。
ある情報で正しいとされていることであっても、私に必ず役にたつとは限りませんし、私がご紹介した古典の言葉でも、読み手の状況によってはあまり役に立たないこともあると思います
ですが、それはそれで良いのです。
人の数だけ「正解」は存在するのですから、無理に一つの解に固執することはありません。
大事なのは、いろいろな対応方法を知っておいて、その時々の状況に応じて使い分けることだと思います。
水の上を行くなら舟で、陸の上を行くなら電車か車で。
方法さえ知っていれば、どんな時でも柔軟に対応することができます。
唯一絶対の正解が存在しないVUCA時代では、その柔軟さが求められることでしょう。
その時々の状況を冷静に見極めて、より効果的な対応方法を実践することができるように幅広い教養を身につけていきたいなと思いました。
物事にはそれぞれに適した方法がある、という言葉。
ネットを見ていると強めの言葉に引っ張られてしまいそうになりますが、あくまでそれは一つの「正解」にすぎません。
複数の立場から書かれた意見に目を通し、自分の状況に合ったものを選択して実行するのが大切です。
情報が溢れる時代だからこそ視野を広く持ち、その時々に最も適した方法を選択していきたいですね。