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こまくさweb

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駒草出版のウェブマガジン、こまくさwebです。新刊、そして既刊の関連記事やためし読みのほか、オリジナル記事も展開予定です。
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記事一覧

樹海ミステリー 生を紡ぐ森と生を終える者 第十六話

樹海ミステリー 生を紡ぐ森と生を終える者 第十六話

【年々増える樹海探索家】警察による自殺遺体の一斉捜索がなくなったこともあり、樹海内で見つかる遺体の数は減った。

特に2024年は警察が自殺防止に力を入れていたこともあり、例年に比べても自殺遺体の発見は少なかったのではないだろうか?

とても喜ばしいことである。

SNSの影響もあり、近年はYouTuberやインフルエンサーが樹海を探索することが増えてきた。

富士の樹海は自然公園法の特別保護地区

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樹海ミステリー 生を紡ぐ森と生を終える者 第十五話

樹海ミステリー 生を紡ぐ森と生を終える者 第十五話

【遺留品から読み取れる自殺者の背景】【自殺者の気持ちになる】鳴沢風穴の入口にある売店、森の駅「風穴」

店の前のベンチには、名物の「とうもろこしソフトクリーム」を食べながら、楽しそうに雑談する観光客の姿がある。

そんな楽しそうな姿を横目に見ながら、 売店の横に設置されている自販機でペットボトルの水を購入した。

水をバックパックに入れ、洞窟を見にくる観光客に混じって遊歩道を進んでいく。
50メー

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神仏探偵・本田不二雄が案内する 「TOKYO地霊WALK」 vol.15

神仏探偵・本田不二雄が案内する 「TOKYO地霊WALK」 vol.15

武蔵国の辺境に息づく
流行神と反逆者たちの記憶荒川区・南千住【前編】

武蔵国の北東辺境にして要衝の地「マージナル」な場が気になる――。
 マージナルとは、「縁」や「境界」を意味する言葉です。なお、江戸人の境界観では、北は隅田川、南は目黒川で内と外が区切られていました。地名でいえば北は千住、南は品川にあたります(時代ごとに諸説あり)。
 そんな辺境・周縁の場であればこそ、生まれた歴史あり、語られた

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樹海ミステリー 生を紡ぐ森と生を終える者 第十四話

樹海ミステリー 生を紡ぐ森と生を終える者 第十四話

【樹海内の遺体と遺留品】【樹海の奥深くには首吊りの大木がある?】「樹海の奥深くには首吊りの大木がある」という都市伝説が存在するほどだ。

樹海に興味を持つ人の多くが、木にロープを巻き付けて「首吊り」をしている姿をイメージするのではないか?

首吊りの大木は存在しないが、樹海内にある自殺遺体のおよそ8~9割は首吊りによるものだ。

私が初めて聞いた樹海の怪談も、首吊り遺体の話だった。

深夜に肝試し

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樹海ミステリー 生を紡ぐ森と生を終える者 第十三話

樹海ミステリー 生を紡ぐ森と生を終える者 第十三話

【新年を迎えられなかった者たち】【新年を迎えることのない者たちの心の内】新年を迎えて早くも十日が過ぎようとしている。

今年はあなたにとってどのような一年になるのか?

新たな目標を立て、志を高くする人も多いだろう。

そのような中、無事に新年を迎えられなかった人もいる。

5月に続いて自殺が多い月が12月である。自ら死を決意して、新しい年を迎えたいとは思わない人がいるということだろう。

年末に

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神仏探偵・本田不二雄が案内する 「TOKYO地霊WALK」 vol.14

神仏探偵・本田不二雄が案内する 「TOKYO地霊WALK」 vol.14

三宝寺池に“ヌシ”が実在した!?
豊島氏ゆかりの社寺をめぐる練馬区・三宝寺池編【後編】

池面にダイブする“蛇体”あらわる さて、 練馬区・三宝寺池編【前編】から更新が遅くなって相すみません。その【後編】です。
 前編では、石神井公園の西エリア・三宝寺池に浮かぶ厳島神社とその奥宮を詣でました。奥宮の通称は「穴弁天」。そこに、三宝寺池の“地霊”が密かに祀られていたのです。
 その奥は現在見ることがか

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樹海ミステリー 生を紡ぐ森と生を終える者 第十二話

樹海ミステリー 生を紡ぐ森と生を終える者 第十二話

【樹海の奥深くに存在するという「樹海村」。なぜ、霊能者は樹海を嫌うのか】【自殺志願者の村】富士の樹海の奥深くには、自殺を思いとどまった者や死にきれなかった者たちの「自殺志願者の村」が存在する。

富士の樹海の都市伝説の一つだ。 

もちろん、そのような村は存在しない。

しかし、2ちゃんねるを中心に一時期話題となった村がある。
映画「樹海村」のモデルになったといわれている、富士河口湖町にある「精進

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樹海ミステリー 生を紡ぐ森と生を終える者 第十一話

樹海ミステリー 生を紡ぐ森と生を終える者 第十一話

【遺体発見後、様々な霊障が私を襲う】【樹海の帰り道に起きた霊障】思い返すと違和感はあった。
高速の入口でETCバーが開かなかったのだ。
後に検査してみたが、車載のETCは故障していなかった。
なんらかのエラーが起きたのだろう。

自殺遺体を見つけたあと、私は自分に都合のいい解釈をしていた。
進むはずだった方向と逆から死臭がしてきたことは、遺体の主が見つけてもらいたかった、そう思っていた。

実際は

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神仏探偵・本田不二雄が案内する 「TOKYO地霊WALK」 vol.13

神仏探偵・本田不二雄が案内する 「TOKYO地霊WALK」 vol.13

石神井の地霊(池霊)スポットに伝わる
伝説の姫神と蛇体の女神練馬区・三宝寺池編【前編】

 西武池袋線・石神井公園駅で下車。駅南から商店街を通ってさらに南下すると、石神井池(通称ボート池)に出ます。そして池畔の道を西に進むと、道路を挟んで「石神井公園」の西側に展開する三宝寺池エリアがあらわれます。
 昭和の戦前に人工的に造られた石神井池に対して、三宝寺池は、武蔵野台地の地下水が湧き出してできた池。

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樹海ミステリー 生を紡ぐ森と生を終える者 第十話

樹海ミステリー 生を紡ぐ森と生を終える者 第十話

【初めて遭遇した自殺遺体】【まるで彫刻のようだった】

私が初めて目撃した自殺遺体は白骨化したものではなく、体が残っているものだった。

 本格的な夏が近づく6月中旬。
都心などでは暑さが徐々に強くなる頃だが、樹海の中はまだ涼しさが残っている。
10メートルほど先に見える自殺遺体は、静かに立っていた。

 「静かに自然に還る」
遠目で見ている限りはそのようなイメージだった。

 だが、初めて自殺遺

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神仏探偵・本田不二雄が案内する 「TOKYO地霊WALK」 vol.12

神仏探偵・本田不二雄が案内する 「TOKYO地霊WALK」 vol.12

雑司ヶ谷鬼子母神堂の秘密と
謎めく禁足地の迷宮【護国寺~雑司ヶ谷編・後編】

「雑司ヶ谷マンダラ」(仮称)の“神セブン”へ さて、前編に引き続き、清土鬼子母神堂から弦巻通りに戻り西へ、つまり、旧弦巻川をさかのぼる形で、雑司ヶ谷の鬼子母神堂へと向かいます。

 この通りは昭和の初期に暗渠化(現在は地下に下水道が流れている)された道なのですが、かつての谷川を思わせるゆるやかな曲線をなし、昭和の時代、た

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樹海ミステリー 生を紡ぐ森と生を終える者 第九話

樹海ミステリー 生を紡ぐ森と生を終える者 第九話

【死臭の先にあった首無し遺体】

【人生で一番怖かった出来事】

皆さんは自身の体験の中で

「あの時の出来事は人生で一番怖かった」

「あんな体験は二度としたくない」

というようなことはあるだろうか?

何を怖いと感じるかは人それぞれだが、怪談や人間の持つ恐怖など、世の中には様々なジャンルの怖い話が存在している。

YouTubeやTikTokなど、動画サイトで「怖い話」と入れて検索すればいく

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神仏探偵・本田不二雄が案内する 「TOKYO地霊WALK」 vol.11

神仏探偵・本田不二雄が案内する 「TOKYO地霊WALK」 vol.11

御開帳の観音像を刮目し
鬼子母神出現の謎に迫る【護国寺~雑司ヶ谷編・前編】

期待感を募らせる護国寺の参道「御開帳」。
 信徒はもとより、仏像好きをザワザワとさせる魅惑の3文字です。
 ふだんはお堂の厨子に納められている仏像が、その御扉を開いてお姿を顕すわけですね。
 場所は文京区の護国寺。徳川5代将軍綱吉の生母・桂昌院の発願によって創建された、お江戸を代表する巨刹のひとつですが、近年、毎月18日

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樹海ミステリー 生を紡ぐ森と生を終える者 第八話

樹海ミステリー 生を紡ぐ森と生を終える者 第八話

【樹海と宗教と消えた頭蓋骨】日本三大パワースポットと呼ばれる富士山、その麓にある富士の樹海。樹海から消えた頭蓋骨を持ち去ったのは宗教団体か? それとも人体収集家や人骨マニアだろうか?

【富士山周辺の宗教施設と陰謀論】

富士山は日本の象徴であり、世界的にも有名なパワースポットでもある。

絵画や写真など、身のまわりで富士山を目にする機会はとても多い。

絵や写真からでもそのエネルギーは強いパワー

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