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こまくさweb

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駒草出版のウェブマガジン、こまくさwebです。新刊、そして既刊の関連記事やためし読みのほか、オリジナル記事も展開予定です。
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記事一覧

樹海ミステリー 生を紡ぐ森と生を終える者 第十話

樹海ミステリー 生を紡ぐ森と生を終える者 第十話

【初めて遭遇した自殺遺体】【まるで彫刻のようだった】

私が初めて目撃した自殺遺体は白骨化したものではなく、体が残っているものだった。

 本格的な夏が近づく6月中旬。
都心などでは暑さが徐々に強くなる頃だが、樹海の中はまだ涼しさが残っている。
10メートルほど先に見える自殺遺体は、静かに立っていた。

 「静かに自然に還る」
遠目で見ている限りはそのようなイメージだった。

 だが、初めて自殺遺

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神仏探偵・本田不二雄が案内する 「TOKYO地霊WALK」 vol.12

神仏探偵・本田不二雄が案内する 「TOKYO地霊WALK」 vol.12

雑司ヶ谷鬼子母神堂の秘密と
謎めく禁足地の迷宮【護国寺~雑司ヶ谷編・後編】

「雑司ヶ谷マンダラ」(仮称)の“神セブン”へ さて、前編に引き続き、清土鬼子母神堂から弦巻通りに戻り西へ、つまり、旧弦巻川をさかのぼる形で、雑司ヶ谷の鬼子母神堂へと向かいます。

 この通りは昭和の初期に暗渠化(現在は地下に下水道が流れている)された道なのですが、かつての谷川を思わせるゆるやかな曲線をなし、昭和の時代、た

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樹海ミステリー 生を紡ぐ森と生を終える者 第九話

樹海ミステリー 生を紡ぐ森と生を終える者 第九話

【死臭の先にあった首無し遺体】

【人生で一番怖かった出来事】

皆さんは自身の体験の中で

「あの時の出来事は人生で一番怖かった」

「あんな体験は二度としたくない」

というようなことはあるだろうか?

何を怖いと感じるかは人それぞれだが、怪談や人間の持つ恐怖など、世の中には様々なジャンルの怖い話が存在している。

YouTubeやTikTokなど、動画サイトで「怖い話」と入れて検索すればいく

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神仏探偵・本田不二雄が案内する 「TOKYO地霊WALK」 vol.11

神仏探偵・本田不二雄が案内する 「TOKYO地霊WALK」 vol.11

御開帳の観音像を刮目し
鬼子母神出現の謎に迫る【護国寺~雑司ヶ谷編・前編】

期待感を募らせる護国寺の参道「御開帳」。
 信徒はもとより、仏像好きをザワザワとさせる魅惑の3文字です。
 ふだんはお堂の厨子に納められている仏像が、その御扉を開いてお姿を顕すわけですね。
 場所は文京区の護国寺。徳川5代将軍綱吉の生母・桂昌院の発願によって創建された、お江戸を代表する巨刹のひとつですが、近年、毎月18日

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樹海ミステリー 生を紡ぐ森と生を終える者 第八話

樹海ミステリー 生を紡ぐ森と生を終える者 第八話

【樹海と宗教と消えた頭蓋骨】日本三大パワースポットと呼ばれる富士山、その麓にある富士の樹海。樹海から消えた頭蓋骨を持ち去ったのは宗教団体か? それとも人体収集家や人骨マニアだろうか?

【富士山周辺の宗教施設と陰謀論】

富士山は日本の象徴であり、世界的にも有名なパワースポットでもある。

絵画や写真など、身のまわりで富士山を目にする機会はとても多い。

絵や写真からでもそのエネルギーは強いパワー

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神仏探偵・本田不二雄が案内する 「TOKYO地霊WALK」 vol.10

神仏探偵・本田不二雄が案内する 「TOKYO地霊WALK」 vol.10

最先端の街にそびえる大観音と
裏原宿の地霊スポット【青山・原宿編】

最先端のストリートと霊木の根株「君は麻布大観音を観たか?」
 今回は、こんな呼びかけから始めたいと思います。
 
 起点は、東京メトロ「表参道」下車すぐの表参道交差点。ここから青山通りを渡って、根津美術館方面へ進みます。通称みゆき通り。さすが南青山とばかりにハイブランドのフラッグシップ・ストアが建ち並んでいて、目移りしまくりです

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樹海ミステリー 生を紡ぐ森と生を終える者 第七話

樹海ミステリー 生を紡ぐ森と生を終える者 第七話

【富士の樹海と宗教施設】

【樹海の奥深くにある宗教施設】

前回、前々回と富士の樹海の都市伝説について話してきた。

今回もまたその都市伝説の一つ

「樹海の奥には謎の宗教施設がある?」

こちらについて話していこう。

皆さんはこんな言葉を聞いたことはあるだろうか?

「樹海の坊主を侮るな!」

自殺の教科書と言われている『完全自殺マニュアル』(1993年:太田出版刊)の目次の項目のひとつだ。

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神仏探偵・本田不二雄が案内する 「TOKYO地霊WALK」 vol.9

神仏探偵・本田不二雄が案内する 「TOKYO地霊WALK」 vol.9

稲荷信仰のメッカを詣で
猫稲荷の謎に挑む【赤坂・後編】

赤坂の歴史を物語るふたつの寺院 前編につづき、日枝神社の丘を下り、外堀通り(かつての外堀)を渡って赤坂の街を入ってみましょう。
 ゆるやかな上りに3本の道が横断し、それぞれ飲食店が軒を連ねています。
 かつて一帯は花街(花柳界)を形成。最盛期は料亭100軒、芸妓は400人を数え、政治家や軍人が足しげく通っていたそうです。いまは往時の面影はあ

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樹海ミステリー 生を紡ぐ森と生を終える者 第六話

樹海ミステリー 生を紡ぐ森と生を終える者 第六話

【富士の樹海の都市伝説 後編】

【一度入ったら二度と出てこられない迷いの森】

この噂は、富士の樹海について調べると一度は聞いたことがあるだろう。

樹海の中に一歩でも足を踏み入れると、二度と出てこられなくなるという都市伝説だ。

「樹海」という名前は、山頂から眺める様が、広大な森が風に揺られ、海原でうねる波のように見えたことから付けられたという。

地図で見るとわかるが、富士の樹海は広大である

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神仏探偵・本田不二雄が案内する 「TOKYO地霊WALK」 vol.8

神仏探偵・本田不二雄が案内する 「TOKYO地霊WALK」 vol.8

赤坂のふたつの“尾根”をめぐり
古代のミステリーと出会う【赤坂・前編】

赤坂のまちが発展したきっかけとは「赤坂」とは、現在の赤坂見附から四谷方面に上る外堀通りの坂の古称で、その上り口ふきんに建てられた江戸城の門に赤坂の名が冠され(赤坂御門/赤坂見附)、やがてこの一帯の地名になったといわれています。
 古地図の左上をよく見ると、「赤坂御門」のほか、「アカ坂一ツ木丁」「アカサカ表デンマ丁」などの文字

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樹海ミステリー 生を紡ぐ森と生を終える者 第五話

樹海ミステリー 生を紡ぐ森と生を終える者 第五話

【富士の樹海の都市伝説】【コンパスは狂うのか?】
上記で述べたように、樹海にまつわる都市伝説は数多く存在する。

「コンパスは狂うのか?」は、樹海の都市伝説で最も有名で、知りたいことでもあるだろう。

「The 樹海都市伝説」と言っても過言ではない。

やはり多くの人が興味を持っているのだろう。
 
私もこの質問を何度もされてきた。

結論から言う。

森の中でコンパスが狂うことはない。
 
これ

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神仏探偵・本田不二雄が案内する 「TOKYO地霊WALK」 vol.7

神仏探偵・本田不二雄が案内する 「TOKYO地霊WALK」 vol.7

お江戸の鬼門ラインに連なる
最恐&最強の守護神めぐり

ムクノキの古樹に祀られた疫病治癒の「元宮」 今回の起点は、最近リニューアルして改札の向きが変わったJR御茶ノ水駅・聖橋口。 まずは、横断歩道を渡ってすぐの場所へ。
 崖地に立つ古樹の幹に「太田姫神社 元宮 旧名 一口神社」という札が掲げられ、その上に「太田姫稲荷神社神符」を納める神棚が据えられています。
 
 何でしょうかコレ。通行人の多くが

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樹海ミステリー 生を紡ぐ森と生を終える者 第四話

樹海ミステリー 生を紡ぐ森と生を終える者 第四話

【自殺の日】
9月1日は、夏休みも終わり新学期が始まる日である……。

2023年における若年層(20歳代以下)の自殺者は1298人。

そのうち小中高生は507人で、2021年(514人)に次いで過去2番目に多かった。
(男子は259人、女子は248人)

自殺の主な原因は「健康問題」、「学校や職場環境の問題」、「経済・生活問題」などさまざまだが、その中でも学生を中心とした20歳未満の死は「いじ

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神仏探偵・本田不二雄が案内する 「TOKYO地霊WALK」 vol.6 

神仏探偵・本田不二雄が案内する 「TOKYO地霊WALK」 vol.6 

上野の謎めく神仏と出会い
大寺院・寛永寺の記憶を歩く【後編】

これ以上落ちようがない大仏さま (前編からつづく)
 花園稲荷をあとに、大通り(旧寛永寺の参道)を北に進むと、左に上野大佛の看板あり。「大仏山」と呼ばれる小高い丘につづく石段を登ると、なぜかインド風の仏塔が建っています。そしてふいに左に目を移すと、インパクト絶大な御尊顔が――。
 何と、顔だけの大仏さま(青銅製、像高150センチ)です

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