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読書note

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#最近の学び

【読書noteNo.14『春琴抄』】

【読書noteNo.14『春琴抄』】

禍を転じて福と為すとは、まさにこういう事なんですね。

今回、紹介する作品の登場人物である佐助。

彼は、大阪道修町(どうしゅうまち)のゆたかな薬種商の娘で、三味線の道を極めた盲目の女性、春琴につかえる丁稚(でっち)です。

ある夜、何者かによって、顔に熱湯をかけられて大やけどを追ってしまう春琴。

そんな春琴を見ないために、佐助は縫い針を自分の眼に刺し、春琴と同じく盲目となります。

盲目になっ

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【今月読んだ本(6月)】

【今月読んだ本(6月)】

1.『エロティシズム』ジョルジュ・バタイユ著
ちくま学芸文庫

「エロティシズム」とは、何かを考えさせられる本でした。私たちは、「エロ」という言葉を何気なく使っていますが、この本を読んで、安易に使ってはいけないんだな、と再認識させられました。この作品で、フランスの文学者マルキ・ド・サドにも言及されていて、サド論としても読めます。

2.『シュルレアリスムとは何か』巖谷國士著
ちくま学芸文庫

シュ

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【読書noteNo.12『サロメ』】

【読書noteNo.12『サロメ』】

今回、紹介する『サロメ』の一番好きなセリフ。

まだ、数える程度しか読んでいませんが、読む度に官能的なセリフだと感じます。

このセリフは、どういうセリフなのか?

ガリラヤの四分割領主(テトラルク)ヘロデは、後妻ヘロディアスの連れ子である王女サロメに「自分のために踊ってくれ」と懇願します。サロメは、ヘロデのために踊りを行い、その褒美に銀の皿を載せた「ヨカナーンの首」を要求。このヨカナーンとは、イ

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【読書noteNo.11『この人を見よ』】

【読書noteNo.11『この人を見よ』】

前回投稿した記事の最後に、次のように書きました。

ある哲学者とは、まさしくニーチェ先生です。

6月のはじめに訪れた『デ・キリコ展』。

この画家が、ニーチェの影響を受けていると知って、ニーチェをもう一度学びたい、と思ったのが再読するきっかけでした。

今回紹介する本は、ニーチェ最後の著作『この人を見よ』です。

この本は、以下の二つの点から楽しめます。

センチメンタルな哲学者ニーチェ

読書

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【読書noteNo.10 『シュルレアリスムとは何か』】

【読書noteNo.10 『シュルレアリスムとは何か』】

シュールですね~。

現実離れした意味として、「シュルレアリスム」の省略形として使われる言葉、シュール。

もちろん、この言葉は誤って使われています。

しかし、今回紹介する本の著者である巖谷(いわや)さんによると、シュールは、「シュルレアリスム」本来の意味から生まれた言葉ではないと断言しています。

本来の意味は、どういう意味なのか?

「シュルレエル」と「イスム」の二つの言葉に区切られます。ま

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【読書noteNo.8 『ぐろぐろ』】

【読書noteNo.8 『ぐろぐろ』】

※食事中には読まない事をオススメします。

何年も前から表紙が気になっていた本。

その時は、どんな内容の本か詳しく知りませんでした。タイトルからして、アブノーマルな本だろうな…とは思っていました。

なぜ、この本を手に取ろうと思ったのか?

少し前に読んだこちらの本に関係しています。

フランスの思想家ジョルジュ・バタイユ(1897年~1962年)が書いた作品。人間にとってのエロティシズムとは何

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【読書noteNo.7『養生訓』】

【読書noteNo.7『養生訓』】

30歳を過ぎて、そろそろ健康の事を考えないといけないなと思って手にした本が、この本だった。

はじめの方にこう書いてある。

さらに、著者は続けて、「およそ養生の道は、内欲を我慢するのを根本とする」と書いています。

ここまで読んで、健康について考える前に、まず自分自身が抱えている欲望を抑えないといけないんだな、と思ったのと同時に、今の自分は欲だらけじゃないかと呆れてしまいました。

禁欲しろって

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