#映画評
『ジュラシック・ワールド/炎の王国』が食い荒らす名作の遺産
『Jurassic World: Fallen Kingdom』★・・・。(4ツ星満点中、1ツ星。)
作品性と採算性が一致しないケースは、驚くほど多い。かつての名作ブロックバスターの「遺伝子組み換え作品:第二弾」とも言うべき「炎の王国」は、興行的成功とは裏腹な完成度を見るに、その顕著な例だと言っておくのが正解。
「作品単体への課金」という常識さえも覆りつつある現代。ともすれば映画興行のあり方を
『犬ヶ島』の職人芸的ストーリーテリング
『Isle of Dogs』★★★★。(4ツ星満点中、4ツ星。)
これ以上ないほど「アンダーソン節」に満ちたストップモーション・アニメーション最新作は、同監督のファンでなくとも必見。その上で、物語の人種的な偏りに過剰反応する声があることは心に留め置くべき賛否混在の一本。結果的に看過しても良いのだけれど。
ウェス・アンダーソン監督の最新作『犬ヶ島』は、英語圏のプレス回りで二分した評価を受けている
『レディ・プレイヤー1』という、マーケティング的オーバードーズ作品
『Ready Player One』★★・・。(4ツ星満点中、2ツ星。)
ルール:「答え合わせ」は「作品」と「個人」を切り離します。話すのは前者についてのみ。後者への批判は目的にないです。
2011年に出版された同名の原作を、スティーブン・スピルバーグが監督・プロデュース。日本発のアニメやゲームを含む80年代のポップカルチャーをふんだんに盛り込み、2045年の近未来人たちが唯一自由を享受できる
濃厚で、精緻な人物研究『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』
『The Darkest Hour』★★★・。(4ツ星満点中、3ツ星。)
ルール:「答え合わせ」は「作品」と「個人」を切り離します。話すのは前者についてのみ。後者への批判はしません。
2017年は偶然にも、ウィンストン・チャーチルにまつわる映画が立て続けに公開された。本作はもとより、クリストファー・ノーラン監督作『ダンケルク』や、ロネ・シェルフィグ監督作『人生はシネマティック!』もあった。歴史
のけ者たちへのアメリカ的な応援歌『シェイプ・オブ・ウォーター』
『The Shape of Water』★★★☆。(4ツ星満点中、3ツ星半。)
ルール:「答え合わせ」は「作品」と「個人」を切り離してます。話すのは前者についてのみ。後者への批判は目的になし、です。
『パンズ・ラビリンス』『ヘル・ボーイ』『パシフィック・リム』のギレルモ・デル・トロ監督の最新作は、かつて数々のモンスターを題材にしたユニバーサル映画を彷彿とさせる時代物のファンタジーだ。BAFTA
現代を象徴する愛の形をつぶさに描く傑作『君の名前で僕を呼んで』
★★★★。(4ツ星満点中、4ツ星。)
ルール:「答え合わせ」は「作品」と「個人」を切り離してます。話すのは前者についてのみ。後者への批判は目的になし、です。
アンドレ・アシマン原作の同名小説を、『日の名残り』脚本のジェームズ・アイボリーと『ミラノ、愛に生きる』『胸騒ぎのシチリア』監督のルカ・グァダニーノが映像化した恋愛映画。1983年の北イタリアの田舎町を舞台に、イタリア系の少年と、アメリ
『アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル』は無知と恥知らずという「罪」を容認するのか
『I, Tonya』★★★★。(4ツ星満点中、4ツ星。)
貧困が招く無知蒙昧と厚顔無恥は、もはやそれだけで「罪」だ。そのことを、『アイ、トーニャ』は容認しているかのよう。作品的には感嘆しきりだが、存在そのものが倫理観の瀬戸際に立つ映画でもある。
アメリカのフィギュア・スケート界で初めて、そして世界では日本の伊藤みどりにつづいて2番目にトリプル・アクセルを成功させた元オリンピック選手、トーニャ・
史実同様しっちゃかめっちゃか『オール・ザ・マネー・イン・ザ・ワールド』
『All the Money in the World』★★★・。(4ツ星満点中、3ツ星。)
ロサンゼルスの西側、405号フリーウェイ沿いの山の上から下民たちを見下ろす私立美術館「ゲティ・センター」。パサデナにも「ゲティ・ヴィラ」の名を冠した巨大な施設を最初に建立したのは、石油王、J・ボール・ゲティその人だ。本作は「世界中の金」を手に入れたゲティの孫息子のひとりがイタリアの路上で誘拐され、身代金
イギリス人の頭の中のウェスタン。『スリー・ビルボード』
『Three Billboards Outside Ebbing, Missouri』★★★・。(星3ツ/4ツ星満点)
『セブン・サイコパス』のイギリスおよびアイルランド人劇作家、マーティン・マクドナーによるオリジナル脚本・監督作のタイトルは、長い。字面通り3枚の大型ビルボードを中心に展開する田舎町のサスペンスを描く本作には、マクドナーと馴染みの深いキャストとスタッフが集結している。予告編を見
荒々しい冒険作『スター・ウォーズ 最後のジェダイ』
★★★・。(星3ツ/4ツ星満点)
シリーズ生みの親、ジョージ・ルーカスを抜きにして再出発した『スター・ウォーズ』。前作『フォースの覚醒』のあと、2年の刻を経て製作された「エピソード8」は『BRICK ブリック』『LOOPER/ルーパー』の若手ライアン・ジョンソンが監督のみならず、脚本も担当。『帝国の逆襲』の脚本を手がけたローレンス・カスダンが提示したプロットを廃案にして、自らシナリオを仕上げたと
尖った監督で仕切り直す『マイティ・ソー:バトルロイヤル』
尖った監督の手腕で、面白みのないキャラクターをクールでお茶目に大変身。シリーズ仕切り直しのテコ入れ作。
『Thor: Ragnarok』★★★☆。(星4ツで満点。白☆は1/2個。)
マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)17作目のスーパーヒーロー映画は、2011年と2013年公開の『マイティ・ソー』シリーズ3作目。『マイティ・ソー』はケネス・ブラナーによる無難な「イントロダクション・ム
商売根性だだ漏れ。『アナと雪の女王 / 家族の思い出』
『Olaf's Frozen Adventure』★☆・・。
ピクサーの新作『リメンバー・ミー』の頭につく定番の短編は、ディズニー・アニメーション・スタジオのドル箱フランチャイズ『アナと雪の女王』の新エピソード。2015年にも『アナと雪の女王/エルサのサプライズ』が公開されたが、あちらは総尺7分のバイトサイズなショートフィルムだった。本作は、米映画芸術科学アカデミー規定では「短編」の部類に入るも
傑作だが忙しない『リメンバー・ミー』
『Coco』★★★☆。(4ツ星満点中、3ツ星半。)
ピクサー19作目の長編映画は、メキシコの伝統行事「デイ・オブ・ザ・デッド(死者の日)」を下地にしたファンタジー・ アドベンチャー。『トイ・ストーリー3』のリー・アンクリッチ監督に加え、ピクサーでストーリーおよびストーリーボード・アーティストとして活躍してきたエイドリアン・モリーナが共同監督を担当。邦題に採用されたテーマ曲「リメンバー・ミー」は、