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超短編集

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自分の投稿した1~3分で読める読切超短編小説集。 黒色は暗めの、白色は明るめの話。 名前のない彼等の1頁。
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#日常

差し出す

放課後。 美術室。 私は一人で絵を描いている。 いつもの定位置で日が暮れるまでずっと描き…

SAI
3年前

ヴューポイント

僕は全くうまく動いていない頭で、ウラン235の連鎖反応について考えていた。 中性子を飲み込…

SAI
3年前
1

半透明の自分

ぺちぺちと頬を叩かれて僕は目を覚ました。 気持ちよく眠っていたのに、誰だよ、なんだよもう…

SAI
3年前
1

平日も休日も

三時のおやつはホットケーキだった。 甘いものが得意じゃないのにどうして彼女はホットケーキ…

SAI
3年前

スノー

君はすぐになんでも諦めるよね 彼女はそう言って僕から目を逸らし、遠くのビル群を眺めた。 …

SAI
3年前
1

もちろん即、帰宅

長期休暇が終わってしまった。 それは仕方のないことだけれど、長期休暇明けの仕事ほど手につ…

SAI
3年前

350ミリ缶

便利な世の中になったよねぇ 君はそう言って350ミリ缶を呷った。 しかし中身は既に空だったようで、軽く左右に振ってからぐしゃりとそれを握り潰す。 冷蔵庫まで歩いて新しい缶を引っ張り出し、カコンと気持ちの良い音を出して口に運ぶ。 喉が三回動いた。 僕は黙って君の言葉を待つ。 もうさー、あれだよね、二十四時間年中無休、すごいよ、ほんとに 飲み物も、食べ物も日用品だって揃えてる、こんな店があるなんて数十年前は考えられなかったよねぇ まー、そのおかげであんたもわたしも

お節介の勝利

彼女は彼女なりによくやっていたと思う。 余計なお節介と言われようが幾度も折れずに、本当に…

SAI
3年前

飾り付けが好き

仕事納めが12月25日になるなんて何年ぶりだろう。 そもそも仕事納めの日をいちいち覚えていた…

SAI
3年前
1

求、ユキフラシ

雪が降らない季節なんて冬じゃない あの子はそう強く言ってテーブルに拳を叩きつけた。 ちょ…

SAI
3年前
2

落ち葉拾い

寒い。 紅葉も終わる頃、私は姉となぜか公園で降って来る木々の葉を競ってキャッチしていた。…

SAI
3年前
2

夢介入

カチカチカチと規則正しい音が部屋に響いている。 なんてことはない、ただの壁掛けアナログ時…

SAI
3年前
2

ブロックカレンダー

私の妹はこまごまとした物を集めるのが好きだ。 気に入ったガシャポンがあれば、全て手に入れ…

SAI
3年前
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迷魚

最近急に寒くなったよね、なんて言葉が通学途中に交わされている。 よくある雑談のひとつだ。 内容はからっぽだけど、それを楽しむのが普通のことらしい。 周りの普通が苦痛に感じる。 それはいつものこととして通学路を一人で歩く。 目の前をいくつかのグループが点在して歩いていくのが目に映る。 この人たち全員ちゃんと学校に行くんだなあ、なんて呑気に考える。 僕ももちろん、学校に行くからこの道を歩いているわけだけれど。 なんとなく、大量の魚群が同じ方向に向かって泳ぐ姿を思い