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もちろん即、帰宅
長期休暇が終わってしまった。
それは仕方のないことだけれど、長期休暇明けの仕事ほど手につかないものはない。
どうせみな一様に欠伸を噛み殺しつつ己の業務にあたるのだ。
そして長期休暇前であれば普通の勤務時間がとてつもなく長く感じ、終業近くになると疲れが体に押し寄せてくる。
我先にと帰り支度をする者もいれば、終わらない業務故、したくなくても残業をする者もいる。
俺はというとさっさと帰る組である。
たとえ、仕事が終わっていなくとも帰る。
それについてぐちぐちと言う者もいるが、そんな声は全て無視だ。
終わらないほどの業務量を振ってくるリーダーが悪いのだ。
とはいえ、俺の場合は明日に持ち越しても問題のない業務だからさっさと帰るのだが。
期日がそこまでギリギリのものを受け持ったことがない。
というよりギリギリにならないように調整しているから当たり前なのだ。
逆に業務時間に業務が終わらない奴がどんな仕事の仕方をしているのかの方が気になるし、なんならその働き方を変えてから俺に文句を言えと言いたい。
もちろん、面倒なので言わないが。
とにかく俺は、さっさと帰って風呂に入って飯を食べて自宅でのんびりと過ごしたいのだ。
残業をして給料が増えたとしてもその分自分の時間が減ってしまうのでは意味がない。
俺はたとえ給料が少なくても自分の時間の確保を優先する。
だから長期休暇明けの仕事も、さっさと終わらせて帰る。
先程から上司がちらちらと俺の様子をデスクから窺っているようだが、絶対に残業はしない。
俺は帰ってダラダラしたいのだ。
冷凍しておいたピザを食べて、湯船につかりたい。
邪魔をするな、というオーラを意識して出す。
そもそも上司だってさっさと帰りたいだろうに。
それならいっそ帰ってしまえ。
長期休暇明けくらい残業せずに帰宅したって、誰も文句を言わないだろう。
むしろみんなで仲良くノー残業してくれ、毎日。
そのほうが全員のためになる。
帰って自宅でのんびり過ごそう、そうしよう。
それならみんな帰るだろう……知らんけど。
チラリと腕時計に目をやると、終業時間二分前だった。