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頭痛持ちの彼女は今日もまた、右のこめかみに手を当てていた。 あー、なーんか嫌なことが起き…
子供たちが集められ、教壇にひとりの大人が上がる。 その大人はひらりと優雅に一礼し、子供た…
彼は何もない真っ暗な空間に横たわっていた。 上も下も真っ暗、真っ黒で、何もない。 彼はそ…
放課後。 美術室。 私は一人で絵を描いている。 いつもの定位置で日が暮れるまでずっと描き…
旅人が世界から消えてしまい、季節が巡らなくなってしまった。 ある場所は春で止まっている。…
この星に生まれた者は物心のついたころから梯子を作り始める。 どこまでも続く高い空に向かっ…
私はこんなところにいるべき人間ではないはずだ。 そんな思いがここ数年、私の中にゆっくりとでも確実に蓄積されていた。 気が付いたらその思いは、もうすぐ破裂しそうな風船のようになっている。 どうしてこんなになるまで放っておいたのだろう。 まだ小さなうちなら難なく消し去ることが出来たというのに。 ここまで膨らんでしまったものは、どう手を施しても私自身も周りも無傷では済まないだろう。 八つ当たり、周りはそう思うのかもしれない。 でも私からしてみればこれは、八つ当たりなん
僕は全くうまく動いていない頭で、ウラン235の連鎖反応について考えていた。 中性子を飲み込…
エネルギーがない。 だから今年の電気代は高い。 彼だったか彼女だったか忘れたが、誰か…
ここはどこだろう。 見たことのない場所に、上下左右というか全体的に夜に包まれてるようなへ…
あの日、俺は敗北感を始めて知った。 俺の想像が到底及ばない、そんな人間が存在するなんて思…
1999年。 夏。 某所。 少年達は残り少ない夏休みを満喫していた。 その中の一人に平凡な少…
季節を巡らせる旅人がきて、今年も冬になってしまったのは一ヵ月ほど前のことだ。 今回街にや…
ぺちぺちと頬を叩かれて僕は目を覚ました。 気持ちよく眠っていたのに、誰だよ、なんだよもう。 睡眠を邪魔されたという認識だったので、僕は頭を起して周りを確認したのだが誰もいない。 確かに誰か、もしくは何かに頬を叩かれたはずだった。 しかし僕の回りには誰もいない。 その事実が寝起きの不機嫌を加速させる。 くそが…… 小さく悪態をつき、もう一度布団に潜り込む。 右に寝返りを打ち、布団を頬の上まで引き上げる。 これでもう見えない何者かに頬を叩かれることはない。 そ