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超短編集

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自分の投稿した1~3分で読める読切超短編小説集。 黒色は暗めの、白色は明るめの話。 名前のない彼等の1頁。
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#空想

センベツ

子供たちが集められ、教壇にひとりの大人が上がる。 その大人はひらりと優雅に一礼し、子供た…

SAI
3年前

ナノ

そこには何もなく、僕たちはただ漂っていただけ。 もともと目的地などはなく、行く当ても存在…

SAI
3年前

キャントリーチ

アイアンブルーの時間が終わろうとしている。 私たちは隣り合って座り、ただそれを眺めていた…

SAI
3年前

とある雲人のお話し

魚は水の中でしか動けない 本当に? ほんとうに 私達は空に生きているから、逆に水の中で泳…

SAI
3年前

ファーストペンギンの生存率

世界にはつなぎ目がある。 人々にとってわかりやすいつなぎ目は、夕方から夜になるあの瞬間だ…

SAI
3年前
2

イエゴモリ

家でダラダラしていると思い出す祖母の言葉がある。 家の中でなーんにもしないでいるとね あ…

SAI
3年前
1

黒煙

多様性が叫ばれる世界は最終的にひとつに纏まり多様性がなくなるだろう。 友人の言葉が現実味を帯びてきたのは、友人が消えてから三年後のことだった。 友人がいたなら、今のこの状況をどう言葉で表すのだろう。 早すぎると驚くだろうか。 それとも遅すぎると嗤うだろうか。 そんなことを考える余裕などないはずなのに、なぜだか友人のことを思い出していた。 彼女が隣に来て一緒に窓の外を眺める。 下の方では暴動が起きているのか、黒煙が上がっている。 銃声などの音は聞こえてこない。

ぷかぷか

ぷかぷかと球体が浮かんでいる。 ぷかぷか、ぷかぷか。 でもぷかぷかだとその周りは水かなに…

SAI
3年前
1

イイワケデパート

私の部下である彼と彼女は二人そろって屁理屈がすごい人だった。 私なんかでは到底太刀打ちで…

SAI
3年前
3

大男

地面が揺れているのを感じて彼は立ち止まった。 彼が立ち止まると地面の揺れも止まった。 再…

SAI
3年前
1

瞳は黒色

  入れ替わるとしたら、何がいいと思う? 不意にそんな言葉をかけられて、僕は相手の居るで…

SAI
3年前

ブラックスター

布団に潜り込んで、寝る前の御話を聞いていた。 今日は両親ではなく、遊びに来ていたお母さん…

SAI
3年前

黒い水

黒い水はいつでも燃える準備が出来ている。 俺達の国はひとつの物を除いて資源が乏しい。 だ…

SAI
3年前

ある祭の起源

覚えていることは少ない。 あたしは気がついたらここにいて、それからずっとここにいる。 動けないのではなく、動かない。 どこかに行く必要を感じないからだ。 このざらついている砂に嫌悪感を覚えたこともないし、海流が激しいことにだって苛立ちを感じたことはない。 他のみんなはこんな環境が嫌だと言って去って行ったけれど、あたしはここが好きだ。 でも、あたし以外にここを気に入っている者はいないから、結果的にあたしは一人でこの場所にずっといる。 たまに放浪者とか物好きな観光者