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浮かれているやつらが多くなるこの月の後半が嫌いになったのは、高校の頃だっただろうか。 そ…
透明になりたいと思ったことがある。 映画の透明人間とか、ドラマで不思議な力を持った人間が…
特に生きたいとも思っていなければ、特に死にたいとも思っていなかった。 彼と久しぶりにあっ…
私は自分が普通だと思ったことは一度もない そう断言していた彼女のことを不意に思い出した。…
下で両親が喧嘩している声が聞こえる。 それを聞きつけた僕たちは一緒に部屋から出て、階段の…
俺には嫌いなものがたくさんある。 食べ物も、人間も、服装も、もっともっとあげればたくさん…
みんなみんな、あの子のことを好きになる。 まるで何かの呪いにかかっているみたいに、あの子に会った人はみんなあの子を好きになる。 あたしだけが違うのは、あたしがあの子の双子の片割れだからなのだろうか。 双子と言っても二卵性なので、そこまで似ていないことも要因のひとつなのかもしれない。 とにかく、あたしとあの子は双子で、あたしはあの子が好きじゃない。 あの子があたしを好きかどうかは、正直どうだっていいことだった。 確かなことは、あの子があたしから周りの人たちを奪ってい
日が暮れるまでの間、蝉に休みはないらしい。 クーラーをつけなくてもいい地域に住んでいる僕…
深く眠っていると、時々自分の体ごとどこかへ連れ去られている感覚に襲われる。 眠っているの…
あの日は晴れていたと思う。 彼等が私に宣言をした日だ。 雲ひとつない晴天。 まるで彼等の…
三年前、僕の散歩コースには古い一軒家が立っていた。 そこを通る度に、今にも崩れてきそうだ…
近頃、あたしの周辺で奇妙なことが起こっている。 まず子供の頃になくしたシール手帳が、今現…
ネオテニーという特異な存在が世界に増えてきている。 彼等は体が成熟しない人間である。 年…
タイムマシンがあったらどこに行く。 この小さい頃に友達と語り合っていた夢のようなお話が、現実味を帯びてきたのは人類史でもごく最近のことだった。 あたしはこの夢物語を人生で三度、経験している。 一度目は小学生の頃で、あたしたちは全員がみな迷うことなく未来に行くと言っていた。 そりゃそうだ、まだ生まれて十年くらいしか経っていなかったのだから。 過去はまだ積み重なっておらず、無限に広がっているかに思える未来ばかりに目を向けていた。 二度目は高校の頃で、この時は過去と未来