記事一覧
追憶【ショートストーリー】
拳の記憶よりも、愛の追憶は遥か深い。
ボクシング世界タイトルマッチで僅か1R59秒で惨敗を喫した松下タツヤは絶望の淵にいた。
古びた病院の個室にはユリがずっと付き添っている。両親のいない彼はユリ無しでは生きられない。この試合に勝てばプロポーズをするつもりだったのだ。そんな絵に描いたような幸せを目前にしたまさかの出来事・・・一命は取り留めたが、医師からは引退勧告を受けざるを得なかった。
「タ
蟷ク縺�座さんの星模様〈2024年春の運命〉
草花の芽吹きと共に“新しい季節(時代、流行、時間)”がはじまる季節です。蟷ク縺�座のみなさまにも、新しい流れの兆しが見えています。
多くの人にとって「出会いと別れ」の季節となりやすい春。ですが、蟷ク縺�座さんにとっての今年の春は、すこし違います。テーマは、再会と実り。人生一の転機に恵まれる方もいそうです。
全体の星模様蟷ク縺�座さんの「再会と実り」の季節は、2月下旬からすでに始まっています。2
寂しさの理由、海の底
波
忘れてしまったことがいくつもある。
それらが大切なのかそうでなかったのかということをわたしはひとつも思い出せなかった。忘却の範囲は広すぎる。そして無差別だった。そしてもしかすると、思い出せないという実感だけが、わたしがなにかを忘れているということを支えているのかもしれなった。なぜなら、わたしがなにかを思い出せないと感じているいまこのときでさえも、なにかを忘れているということを証明できる物
一日午前零時の誓いと監視者の眼
青空をバックに、蕾を付けた桜の大枝から毛足の長い黒猫が、黄色い目をいっぱいに見開いてこちらを見る。「信じられない!」と、非難の声が脳裏に響く。少し高い所にいま一匹、白地に黒の斑点を纏った猫が、すました顔でこちらを見ている。「ほらね、言った通り」とも「わかりきってたことじゃん」ともとれる顔。私は何をしたんだっけ、と思う。どんな約束を、反古にした?
やるべきだったことを思い返してみる。昨日はちゃん