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過日、成田エクスプレスから一眼レフで写真を撮った。カメラは家人が昔もとめたもので、ファインダー越しにウインウィンとピントをあわせる可愛いやつである。幾度も荒川を通ってきたけれど、撮影したのは初めてのことであった。朝日、陸橋、手ブレ、河川敷。私が大切にしていきたいものばかりである。
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働くも遊ぶも旅の姿かな。籠を片手に旅をするならば、中に何を入れて帰ろうかしらと微笑し、歩むのかもしれない。私の半生はあえて籠に何も入れずに過ごしてきた。だって空っぽの籠が魅力的に映るときもあるでしょう。しかし、気が付けばそこにひとから託された花々があった。私も散るまで預かろうか。
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この一葉は家人がだいぶまえに撮ったもので、かなりひき伸ばして書斎西側の窓辺に飾ってある。東の窓のうえには、野尻泰煌の隷書「橋姫」が額装して置いてある。東西で墨と花がお見合いしていると云えるかもしれない。そのあいだで私は執筆しているわけだが、時折、野暮に感じるのは氣のせいだろうか。
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静岡県の農福連携技術支援者育成研修で、磐田のTEN Green Factory株式会社にお世話になって久しい。第一期にGrand Farm株式会社の杉山明美代表が受講してくださったご縁で、このような貴重な機会をまいとしいただけている。ハウスに伺う度に思う。水耕栽培って綺麗だなと。
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まことに財力がある者は、金持ちの雰囲氣を少しもだすことがない。真に靈力がある者は、人前でそれを醸しだすことは一切しない。能ある鷹は爪を隱すというが、本当に能があるのであれば、爪ではなく、鷹であるという存在そのものを隱す。日々の暮らしの樂しみは、そのようなひとを見つけることである。
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陽のあたり方でふだんの道が輝いて見えるように、ひとの光のあて方ひとつで世界はたちまち輝きをはなつ。暗闇を凡て明るくし、可視化しようとするのではなく、闇を尊びつつ、微かな光でわずかに照らすくらいがよい。すると、同じ闇でも異なる香りが醸しだされ、昨朝とはちがった陽がまた昇るのである。
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