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2024年4月の記事一覧
【朔 #88】この身体が三叉路になってくれないので
撮影時には気付いていなかった、己の写り込みについて。それは筒鳥の予感を纏った死体。直立せよ、命という字。膨張する胸のあたりには髑髏のもののけが音を立てて睨む。いつまで経ってもこの身体が三叉路になってくれないので、またも夏。
頬、頬。
頬と頬。
ほほとほほ。
ポポッ?
吉増剛造を楽しみにしつつ。
【朔 #85】耳、を硬くせよ
私が千里中央に降り立つと、
雨、雨、雨、
冷え。
荒れ。
廃園まがいの空き地。
灰、肺。
耳、を硬くせよ。
黄緑……。
喨々と、
窓は窓の色を知らない。
藤はやるせなく、
歯の軋み、樒。
ししししししし、と
不吉な平仮名を並べる。整列せよ、
ししししししし、と
窓辺でLINEを交換する。
と、艫綱。
今日(二〇二四年四月二十二日)は歯医者。
【朔 #80】スッスッスッ……
意味不明かもしれないが、ありのまま。
昨日の昼間、創作のために必要になって風車を工作した。紙と爪楊枝だけで作ったものの、よく廻る。そうそう、昨日の神戸は風が強かったのだ。窓辺にセロハンテープで設置して、それが廻るたび、スッスッスッ……と紙の擦れる音がする(空回りせよかざぐるまかざぐるま/櫂未知子)。
夜には春雷(春雷や暗き厨の桜鯛/水原秋櫻子)に大雨。その間もやはり廻る風車。窓外の闇に向かっ