#41 特別支援教育:子供が叩く理由とは?対話を通じて行動の根本を探る
誰かに叩かれたと、訴えがあった時の対応その③
前回の内容はこちらです↓
今回は、事例紹介です。
A「先生、Bさんが私のこと叩いてきました。」
B「はあっ?Aのことなんか叩いてないし」
この二人の言い分をそのまま受けとると、どちらかが嘘をついてることになります。
間違っても、
「正直に本当のこと言いなさい!」
などと指導してはいけません。
どちらも嘘をついてないことがほとんどです。
では、なぜこんなにも意見が食い違うのでしょうか?
こんな時、みなさんならどのように対応しますか?
これは「叩く」とはどのような行為なのか、定義付けが必要となります。
叩くとは、分かりやすく言うと、
「意図的に手で相手の体の一部を殴るまたは、打ちつけること」
と言えます。
サッカーの「ハンド」のルールがわかるとしっくりくるかと思います。
さて、ここで問題なのは、意図的か否かです。意図的であれば、なぜ叩いたのかという理由があります。
意図的であった場合には必要ありませんが、意図的でない時には、再現させて、現場検証が必要です。
サッカーであれば、まさにVAR判定です。
学校ではVAR判定できませんので、担任が再現させながら確認をします。
T「じゃあ、Aさん、Bさんがどんな感じで叩かれのか先生にやってみてくれる?」
A「ええと、こんな感じです」といいながら、
肘を体の一部にうちつけます。
B「えっ?そんなことやってないよ」
A「でもさっき腕をぐるぐる回してたじゃん。そのとき叩かれたんだよ」
T「ということは、Bさんは、腕をぐるぐる回してたのは覚えてる?」
B「まあ、覚えてる」
T「そのとき自分の腕のどこかが、Aさんの体に触ってしまった可能性あるんじゃない?」
B「確かに当たったかも。」
T「でもそれは、わざとじゃないんだよね。」
B「うん」
A「……」
T「でもわざとじゃなくても、当たった方は痛いから、叩かれたと思ったのかもしれないよ。わざとじゃなくてもあたってしまったのだから一言ごめんって謝った方がいいよね」
B「ぶつかっちゃってごめん」
T「Aさんも、Bさんがわざとたたいたわけではないってわかったかな。」
A「うん」
特別支援において、トラブルの終焉は謝罪です。
これがないと、支援を要する子たちは、納得しません。
なぜか?
それが特性だからです。
曖昧な終わらせ方をしても理解できません。それを知らないと少数派を追い詰めることになるので注意が必要です。
そして、これはあくまでもトラブルが生じた時の対症療法であって、お互いにとってプラスには作用しません。
一応お互い納得させるという形で謝罪をしていますが、本当に心から悪いと思って謝っているわけではないからです。
その特性理解こそが、学級経営の肝にもなります。
特別支援の理解なく、学級経営はできません。
こうしたトラブルは、空間認知力に関係があり、
学校現場では
「距離感がつかめない子ども」
とよく言われてます。
相手が近くにいることに気付かないで手をぐるぐる回す子。
自分の通りたい道筋しか見えてなく、真っ直ぐすすんだら人とぶつかることに気付かない子。
なぜかわざわざ、人のいる方向に向かってくる子。
先生と話をする時、ものすごい近くまで顔を近づけてくる子。
このような距離感つかめない子どもは、ぶつかることも多く、叩いてきたと勘違いされることがあります。
担任が説明して、時には検証して、誤解を解いてやる必要があります。
こうした指導を継続していくうちに、クラスの子の誰かが担任と同じ目線で支援できる子がでてきます。
参考になる方がいたら幸いです。