KIMAMA BOOKS

宮崎市の楠並木通りにある小さな本屋です。

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宮崎市の楠並木通りにある小さな本屋です。

最近の記事

11月4日

読書家でない本屋の店主  店先の歩道にある植栽の縁石に座って店を眺めることがあります。この時期は17時ごろから暗くなりはじめ、店の明かりが暗い歩道をきれいに映します。  11年間ずっと変わらない景色は、もちろん新鮮な感じはなくなったけど、なぜか懐かしいとか見慣れたなとも思わない。説明しづらいとても不思議な感覚で眺めている時があります。  でも、その不思議な時間は気持ちをリセットするのにちょうどよくて、暇な時に縁石に座ってはぼーっとして気持ちを落ち着かせ、いろんなことを考えた

    • 秋雨ですね

      玄関マットが新品みたいにきれいになりました。 お帰りなさい、緑バージョン。白バージョンはお休みです。 新しくてもこもこしてると足踏みしたくなります。 なかなかよい踏み心地。 今日は秋雨で、傘をさささずに細い白糸の雨にあたっていると、もやもやしていた気持ちが緩んで、なんだかリラックスしていました。 雨雨ふれふれもっとふれ わたしのいい人つれてこい 八代亜紀の『雨の慕情』を歌いたくなりますが、 雨降ったら出歩きたくなくなるから、 雨がいい人を連れてくる可能性は結構低いはずな

      • 加藤泰三『霧の山陵』

        今日のおすすめは、加藤泰三さんの本です。 加藤泰三さんは、1911年生まれ、宮大工の父の影響で木彫を学び、東京美術学校(現在は東京芸術大学)へ。20歳で、デザインや装幀の仕事をし、短歌、詩、画文、随筆などを発表。24歳から美術の教師をはじめながら、『山と高原』『山小屋』といった雑誌に寄稿。1941年30歳のときに朋文堂より『霧の山陵』刊行。1944年33歳で西部ニューギニア・ビアク島にて戦死されています。 存命中にできた本は『霧の山陵』の一冊だけなのですが、その後、彼の作品

        • 10/26読書会

          先週の10/26に読書会をしました。 メンバーの方からいただいた福岡のお土産めんべいを食べながらの会、 今回もみなさんおすすめの本を持ってきてくださり、わいわい盛り上がりました。 20冊弱おすすめしていただきましたが、どれも被らず、バラエティ豊か。各々の個性が出ていて、どれも読みたい本ばかり。いろんな本を実際に手に取り、メンバーの興味深いお話を交えながらの本の紹介は、読書会ならでは。 今回は、夜食べるご飯のほっとする美味しさ、着物の面白さ、動物と自然の美しさ、コミュニケー

          10月28日

          統一感があるような、ないような。そんな店内が理想です。意識するととても難しいです。自分の好き嫌いで決めているのでどこまで伝わるかはわかりません。気に入ってくれたらいいなとは思うけど。自分が好きな本が売れない時ももちろんあります。それはそれでいいんです。店の本棚にずっとあるっていうのも愛着が湧いていいものです。古本なんかだとたまに手に取って読み返してみたりダストカバーをはずして細かいところをチェックしてみたり。それが意外と至福の時だったりします。 もうすぐオープンして11年にな

          神武さま

          今日はKIMAMA BOOKS近くの橘通りで、神武さまがお通りしています。 昨日から、じんむさま、という単語を聞くけれども、宮崎移住したばかりのわたしには、はて?ということで、wikipediaで調べましたら、 「宮崎神宮の大祭(みやざきじんぐうのたいさい)は10月26日に催行され、例祭後最初の土曜日・日曜日に御神幸祭が宮崎市内で行われる。特に御神幸行列と神賑行列から成る御神幸祭は神武さま(祭神の神武天皇の意)と称され、宮崎県下最大の祭事として親しまれている。御神幸祭は五

          余白珈琲さんの珈琲豆

          神戸に引っ越した友人から余白珈琲さんの珈琲豆が届きました。 レターパックライトをいそいそ開けたら、珈琲のいい香り。 桃色のお手紙から、忙しそうな日々を過ごしている様子と、彼女のあたたかさが伝わりました。 余白珈琲さんは『台所珈琲の手びき』という本を出されています。わたしも愛読していて、珈琲を淹れるとき参考にしています。珈琲の手びき書であるのはもちろん、安穏に暮らすヒントも書かれていて、これはわたしを支えてくれる哲学書だ、と思い、付箋を貼って、一息つきたいときに開いています。

          余白珈琲さんの珈琲豆

          BOOK MEETS FUKUOKA初日、行ってきました!

          BOOK MEETS FUKUOKA初日、行ってきました! わたしもなぜか、「本好き達人の激オシ本」に参加、高田晃太郎さんの『ロバのスーコと旅をする』をオシました。 本好き達人には、誰やねん的なわたし以外には、角田光代さんやくどうれいんさんなどのすごい人だらけ、わたしの棚の下に、モトムラタツヒコさんがいらっしゃる…いいのですか…!?ほんとにスーコ、大役よろしくお願いしますな気分です。スーコ、すごく愛しくて一気に読めちゃいますので、みなさま是非!提出したおすすめ文、最後載せてお

          BOOK MEETS FUKUOKA初日、行ってきました!

          今日のおすすめ/はちみせ『4162024830PM』

          今日のおすすめは、はちみせ発行『4162024830PM』です。 はちみせさんは、世田谷区桜上水にあるセレクトショップ。 HPには、「オリジナル&大好きなアーティスト・ブランドの作品を1100種以上取り扱っている個人運営のショップです。 オンラインがメインですが、不定期不定期(月1,2ていど)で店ポも営業しています。」 とあり、たくさんの作家さんの作品がひしめくお店のようです。 HPのお取り扱い作家さんの名前を見ていると、本に寄稿されている方々ばかり。95人分ものお話が集ま

          今日のおすすめ/はちみせ『4162024830PM』

          関口良雄『昔日の客』p33より

          「人の手から人の手へ、古本の運命も生きている人間同様、数奇の運命を宿している。」 関口良雄『昔日の客』p33より 写真は、フェリー太古で読んでいた本の、帯の裏に書かれた画家のサイン photo いわいあや #関口良雄 #昔日の客 #小津安二郎

          関口良雄『昔日の客』p33より

          万城目学『万感のおもい』p62より

          「十月は「ガム」の色。 ふと公園の入口で足を止め、敷地を埋め尽くす緑を見回したと 「ああ、色褪せたな」 とはっきりと感じた。 はち切れんばかりにそこかしこから緑が自己主張し、生命力に溢れ返っていた八月は過ぎ、同じ緑でも、どこかくすんだ色合いが敷地を覆っている。 秋が来たのだ。」 万城目学『万感のおもい』p62より 写真は霧ヶ峰にて photo いわいあや #万城目学 #万感のおもい

          万城目学『万感のおもい』p62より

          斉藤真理子『隣の国の人々と出会う』p66より

          「ハン・ガンは、社会と個人が体験する傷と、その回復の過程を描いている作家だ。ハングルの森、クルの森にこの作家はいて、その森は閉じていない。翻訳するためにその森に入っていくとき、私は無意識にもうひとつの扉も開けておくようだ。マルにもクルにもなる前の、それでも日本語とちがっている骨、朝鮮語の骨みたいな何かを、感知しておきたいので。 人間には、マルにもクルにも託せないものがあって、ハン・ガンはそのことを知っているからこそ小説を書いているのだと思う。マルとクルの奥にひそんでいるものが

          斉藤真理子『隣の国の人々と出会う』p66より

          今日のおすすめ/万城目学『万感のおもい』

          今日のおすすめは、万城目学『万感のおもい』です。 万城目さんは、大阪生まれ。こちらのエッセイ、関西弁ですばらしいつっこみが満載、久しぶりに声を出して笑ってしまいました。 「(笑)わない作家」p12のお話で、わたしは一気にファンになってしまいました。万城目さんの本は一冊も読んだことないのですが…これは読まなきゃ損だと思いました。 あと、是非「頭痛のはなし」p125を読んでいただきたい。笑った笑った…。関西の方は、やはりちゃんとオチまで気を抜かないのだなと、感服いたしました。

          今日のおすすめ/万城目学『万感のおもい』

          今日のおすすめ/KIMAMA BOOKS古本コーナーより、食のエッセイ本3冊

          今日のおすすめは、KIMAMA BOOKS古本コーナーより、食のエッセイ本3冊です。 茂出木心護『洋食や』、宇佐美辰一『きつねうどん口伝』、阿奈井文彦『アホウドリの朝鮮料理入門』です。 茂出木さんは明治44年の1911年生まれ、宇佐美さんは大正4年の1915年生まれ、阿奈井さんは昭和13年の1938年生まれと、明治、大正、昭和、その時代の空気をずっしりと含んだものが読めるのは、古本ならでは。そして、食に関しての本なので、いろいろと比較しやすく、ちかしいので興味が湧きます。

          今日のおすすめ/KIMAMA BOOKS古本コーナーより、食のエッセイ本3冊

          今日のおすすめ/高瀬隼子『新しい恋愛』

          今日のおすすめは、高瀬隼子『新しい恋愛』です。 高瀬さんは『おいしいごはんが食べられますように』で芥川賞受賞されています。 なんとなくもやっとするけど、気にしないふりをしてスルーしていることに、目を逸らさず物語にしてしまう高瀬さん。 『新しい恋愛』も、読んでいると、わたしの中にある偏見を剥き出しにされて、普通に共感して読んでたはずなのに、あれれ?なんだかおかしい…わたし考え方まずかったかも…と頭の中がグルグル。これは、まさに新しい読書体験。ネタバレになってしまうから、説明がと

          今日のおすすめ/高瀬隼子『新しい恋愛』

          今日のおすすめ/作:庄野雅治 絵:平澤まりこ『コーヒーの絵本』

          今日のおすすめは、作:庄野雅治 絵:平澤まりこ『コーヒーの絵本』です。 庄野さんはコーヒー焙煎人で徳島で「aalto coffee」「14g」を開店されています。 aalto coffeeのコーヒー豆はなかなか入手困難。いつか庄野さんのコーヒーを飲んでみたい…。 今日はなんだかイライラしてるから、ゆっくりコーヒー豆を挽いて、こぽこぽ丁寧に淹れて、窓辺の洗濯物のひらひらを見ながらぼーっと飲みたい…。 そんなときに、そっとアドバイスしてくれるのが、こちらの絵本。イラストでシン

          今日のおすすめ/作:庄野雅治 絵:平澤まりこ『コーヒーの絵本』