斉藤真理子『隣の国の人々と出会う』p66より
「ハン・ガンは、社会と個人が体験する傷と、その回復の過程を描いている作家だ。ハングルの森、クルの森にこの作家はいて、その森は閉じていない。翻訳するためにその森に入っていくとき、私は無意識にもうひとつの扉も開けておくようだ。マルにもクルにもなる前の、それでも日本語とちがっている骨、朝鮮語の骨みたいな何かを、感知しておきたいので。
人間には、マルにもクルにも託せないものがあって、ハン・ガンはそのことを知っているからこそ小説を書いているのだと思う。マルとクルの奥にひそんでいるものがたくさんあるからだ。」
斉藤真理子『隣の国の人々と出会う』p66より
マルとクルは朝鮮語で、マルは言葉、クルは文字。
隣の国のマルは、なんていいマルなんでしょう。
写真は、済州島漢拏山。標高1,947 m、韓国最高峰。
photo いわいあや
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