JW443 三輪一族
【崇神経綸編】エピソード18 三輪一族
第十代天皇、崇神天皇(すじんてんのう)の御世。
ここは、磯城瑞籬宮(しきのみずかき・のみや)。
崇神天皇こと、御間城入彦五十瓊殖尊(みまきいりひこいにえ・のみこと)(以下、ミマキ)の元に、ある一族が参内(さんだい)していた。
その一族とは、三輪(みわ)一族。
すなわち、三輪大田田根子(みわ・の・おおたたねこ)(以下、田根子)。
田根子の息子、大御気持(おおみけもち)(以下、ケモチ)。
ケモチの息子、大友主(おおともぬし)(以下、オート)。
もう一人の息子、大賀茂都美(おおかもつみ)(以下、かもつ)である。
ミマキ「おお! 田根子か。どうしたのじゃ? 汝(いまし)の息子に、孫と、全て初登場ではないか。もしや・・・。汝も『くらんくあっぷ』すると申すのではあるまいな?」
田根子「仰(おっしゃ)る通りにございます。ちなみに、私は、エピソード273以来です。」
ケモチ「お初にお目にかかります。息子の『ケモチ』にございます。」
オート「私は、孫にございます。」
かもつ「そして、私も、孫にございます。」
ミマキ「そ・・・そうか・・・。そうなるのか・・・。」
ケモチ「ちなみに、エピソード297で登場した、私の兄、田田彦(たたひこ)は、その後、特に活躍がありませんので、自動的に引退という運びとなりました。御了承ください。」
ミマキ「して、一族総出で、参内したということは、何か理由(わけ)が有るのであろう?」
田根子「さすがは、大王(おおきみ)。私の孫『かもつ』が勅命(ちょくめい)を受けるということで、参内致しました。では、その命をお伝えくださいませ。」
ミマキ「おお・・・。あれか・・・。うむ。では『かもつ』よ。汝(いまし)に、社(やしろ)の創建を命じる。社の名は、鴨都波神社(かもつばじんじゃ)じゃ。」
かもつ「かしこまりました。ちなみに、祭神は、事代主神(ことしろぬしのかみ)と下照姫命(したてるひめ・のみこと)にございます。事代主神は、大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)の御子神(みこがみ)です。エピソード114で『えびす様』として紹介されておりますね。」
オート「下照姫命も、大国主大神の娘ですので、事代主神とは兄妹になりますね。高天原(たかまのはら)より派遣された、天稚彦(あめのわかひこ)と結婚した神様にございます。」
ミマキ「大国主大神か・・・。出雲大社(いづもおおやしろ)の神様じゃな・・・。」
田根子「出雲のこと、聞き及んでおります。未だ、祭祀(さいし)をおこなっていないとか?」
ミマキ「そうなのじゃ。されど、こればかりは、どうにもならん。あちらが、決めたことゆえ・・・。」
ケモチ「しかし、大国主大神が、如何(いかが)、思し召し(おぼしめし)であるか・・・。」
ミマキ「わしらが悩んでも、仕方がない。ところで、鎮座地(ちんざち)は何処(いずこ)じゃ?」
かもつ「奈良県御所市(ごせし)の宮前町(みやまえまち)に鎮座致します。」
ミマキ「そうか・・・。そうなるか・・・。」
田根子「では、大王。これにて、私は引退とさせていただきます。」
ケモチ「憚(はばか)りながら、息子の私も引退とさせていただきます。」
ミマキ「そ・・・そうか・・・。そうなるのか?」
こうして、三輪一族も世代交代がおこなわれたのであった。
つづく
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