ＪＷ６７７　熊県の熊津彦

【景行征西編】エピソード48　熊県の熊津彦

第十二代天皇、景行けいこう天皇てんのうの御世みよ。

西暦88年、皇紀こうき748年（景行天皇18）3月。

景行天皇こと、大足彦忍代別尊おおたらしひこおしろわけ・のみこと（以下、シロ）は、還幸かんこう（天皇が帰宅すること）を開始した。

筑紫行幸参加者名簿

そして、一行は、夷守ひなもり（宮崎県小林市こばやしし細野ほそのの細野中学校周辺）にて、兄夷守えひなもり（以下、エッヒ）と、弟夷守おとひなもり（以下、オトピ）の歓待かんたいを受ける。

地図（夷守：宮崎県小林市細野）

そのとき、遠く離はなれた石瀬河いわせのかわ（今の岩瀬川いわせがわ）の畔ほとりに、妙みょうな集団が現あらわれたのであった。　

地図（石瀬河：岩瀬川）

シロ「『エッヒ』『オトピ』！　見みて参まいれっ。」　

エッヒ・オトピ「ははっ。」×２　

しばらくして、二人は、一人の女人にょにんと共に戻ってきた。　

シロ「ん？　何者なにものじゃ？」　

エッヒ「この御方おかたは、このあたりを治おさめる、諸県もろかたの君きみの泉媛いずみひめにござりまする。」　

シロ「諸県もろかた？　日向ひむかの豪族ごうぞくではないか！」　

モロキ「宮崎県国富町くにとみちょうを本拠地ほんきょちにしていたと、考えられておりまするな。」　

地図（諸県：宮崎県国富町）

夏花なつはな「のちに諸県郡もろかた・のこおりと呼ばれる地域となり、小林市こばやししも、諸県郡に含ふくまれるのだとか・・・。」　

小左おひだり「そうなると『エッヒ』や『オトピ』の上司じょうしのような存在とも言えるわけか・・・。」　

タケ「とにかく、遥々はるばる、夷守ひなもりまで参まいったというわけか？」　

泉媛いずみひめ「大王おおきみ・・・。タケ様・・・。『日本書紀にほんしょき』において、ここが、初登場の場面ですが・・・。」　

いっくん「ですが？」　

泉媛いずみひめ「話の流れからいって、既すでに御存知ごぞんじのはずですよ！」　

もち「日向ひむかの豪族ごうぞくなんやかいだから、当然、そうなるわなぁ。」　

シロ「す・・・すまぬ。これは、読者を慮おもんばかってのことじゃ。」　

ナッカ「でも、台本の『日本書紀にほんしょき』では、戻ってきたの『オトピ』だけになってるんすけど・・・。」　

オトピ「作者が面倒めんどうくさがって、こんな展開になっちゃいました。」　

リトル（7）「そんなことが出来できるのか！？」　

シロ「し・・・して、集まっていた理由わけは、何なんじゃ？」　

泉媛いずみひめ「大王おおきみに、召めし上あがり物ものを献上けんじょう致いたそうと、私たち一族が、集まっているのです。」　

オトピ「本当は、僕の台詞セリフなんですけどね・・・(´；ω；`)ｳｯ…。」　

エッヒ「とにかく、食べましょうぞ！　飲みましょうぞ！」　

こうして、ちゃっかり召し上がったのであった。

そして、一行は、更に歩ほを進めた。

西暦88年、皇紀こうき748年（景行天皇18）4月3日。　

シロ「して、ここは、何処いずこぞ？」　

えっさん「熊県くま・のあがたにあらしゃいます。」　

キャサリン「二千年後の熊本県人吉市ひとよしし周辺のことよ！」　

地図（熊県：熊本県人吉市）

シロ「そうか・・・。して、この地ちを治おさめる豪族ごうぞくは？」　

たっちゃん「熊津彦くまつひこという兄弟がおるようじゃな。」　

舟木ふなき「兄が、兄熊えくまで、弟が、弟熊おとくまにござりまする。」　

いっくん「そのまんまや、ないかぁぁい！」　

舟木ふなき「そのようなこと、言われましても・・・。」　

シロ「では、二人を召めそうぞ。」　

こうして、使いが送られ・・・。　

兄熊えくま「お初はつにお目めにかかりまする。兄熊えくまにござる。」　

シロ「おお！　兄熊えくま殿どの・・・。よう参まいられた。して、弟御おとうとごは？」　

兄熊えくま「弟は、参まいらぬと・・・。」　

百足ももたり「・・・ということは、斬きらねばならぬな。」　

おやた「そうじゃのう。」　

シロ「穏おだやかに、進めたかったが・・・。」　

兄熊えくま「これも定さだめと、諦あきらめまする。されど、これだけは言っておきとうござる。」　

シロ「何なんじゃ？」　

兄熊えくま「今回、初めて、兄あにの方ほうなのです。」　

野見のみ「ん？　兄あにの方ほう？」　

シロ「詳つまびらかに申もうせ。」　

兄熊えくま「はっ。神武じんむ東征とうせいにおいて、似にたような話があるのは、御存知ごぞんじですかな？」　

ワオン「ああ・・・兄磯城えしき、弟磯城おとしきの兄弟や、兄猾えうかし、弟猾おとうかしの兄弟の話ですな？」　

兄熊えくま「左様さよう。あれらの話は、ことごとく、弟が参まいり、兄が断ことわっておるのです。」　

カヤ「あっ！　此度こたびは、兄あにの方ほうが参まいっておるのですね？！」　

シロ「そういうことか・・・。不思議じゃのう。」　

タケ「して、大王おおきみ？　誰を斬きりに向かわせるのじゃ？」　

シロ「台本には、何なにも書かれておりませぬが、ここは、行きたそうにしておる、百足ももたりと『おやた』に向かわせましょうぞ。」　

百足ももたり・おやた「ははっ。」×２　

リトル（7）「俺も行くぅぅ！」　

シロ「何なにを申もうしておるのじゃ！　ならぬっ。」　

こうして、二人は、弟熊おとくまの元に・・・。　

弟熊おとくま「紙面しめんの都合つごうで、出てきてやったぞ。」　

百足ももたり「覚悟ぉぉ！」　

おやた「死ねぃ！」　

ザシュッ　

弟熊おとくま「この場面・・・『日本書紀にほんしょき』では、説明で済すましておるの・・・じゃぞ・・・。まことに要いり様ようだった・・・のか・・・グフッ。」　

こうして、熊県くま・のあがたが、ヤマトに加わったのであった。

つづく