JW638 帝踏石
【景行征西編】エピソード9 帝踏石
第十二代天皇、景行天皇の御世。
西暦82年、皇紀742年(景行天皇12)9月。
ここは、福岡県田川市夏吉。
この地を治める魁帥(首長のこと)、神夏磯媛(以下、カンナ)と、四人の男たちが語らい合っていた。
四人の男とは、すなわち、多の臣の武諸木(以下、モロキ)。
国前の臣の菟名手(以下、ウナ)。
物部の君の夏花。
崗県主である。
カンナ「麻剥の残党も、討ち滅ぼすことが出来たわね。」
モロキ「うむ。福岡県福智町の弁城に、岩屋権現が有るのじゃが、その辺りの洞穴に潜んでおった。」
ウナ「ことごとく誅殺出来たが、やはり、土折猪折を逃したのは、痛いのう・・・。」
夏花「仕方ござらぬ。のちの伝承に、登場するそうではないか。」
県主「それまで、待つほか無か。」
モロキ「ともかく、賊の鎮定は成った。大王に、言挙げ致そうぞ。」
こうして、景行天皇こと、大足彦忍代別尊(以下、シロ)の元に、報せが届き、大王一行は、筑紫に上陸したのであった。
シロ「久々の登場じゃのう。」
やぁちゃん「して、陸に上がった地は、何処になりまするか?」
タケ「朽網にござる。」
たっちゃん「上陸の折、葛の網を敷いたのござるが、のちに、それが、朽ちてしまったことにより、付いた地名との由。」
ナッカ「福岡県北九州市の小倉南区に有る地名っす。二千年後の地図を見ると、朽網東と朽網西という地区に分断されてるっす。」
シロ「ん? おかしなことになっておるな? なにゆえ、このようなことに、なっておるのじゃ?」
ナッカ「これが、ロマンすよ!」
シロ「そ・・・そうか・・・。」
もち「ちなみに、朽網西二丁目には、帝踏石が有るっちゃ。」
シロ「帝踏石?」
そこに「モロキ」、「ウナ」、夏花、崗県主、「カンナ」の五名がやって来た。
モロキ「大王。お待ちしておりもうした。」
シロ「おお! 汝らか! 賊の討伐、大儀であった。」
ウナ「勿体ない言の葉にござりまする。」
夏花「して、この御仁が『カンナ』殿にござりまする。」
カンナ「アタイが『カンナ』よ。よろしくね。」
シロ「うむ。賊の討伐に、並々ならぬ働きがあったとの由、聞き及んでおる。礼を申すぞ。」
カンナ「そ・・・そんな・・・。いいのよ。アタイたちこそ、謝し奉らなきゃいけないんだから・・・。」
シロ「うむ・・・。して、汝が、崗県主か?」
県主「ははっ。御尊顔を拝し奉りましたる段、恐悦至極に存じ申し上げ奉りまする。『おい』が、県主ばい。」
シロ「うむ。『モロキ』たちが、世話になったと聞き及んでおる。汝にも、礼を申さねばな・・・。」
県主「ありがたき言の葉・・・。かたじけのうござりまする。」
もち「ところで、帝踏石について、解説したいんやが・・・。」
ウナ「帝踏石?」
県主「大王が、土蜘蛛討伐の際に、石の上で戦勝祈願したと、言われとうよ。」
影媛「土蜘蛛?」
ヤヌシ「今回、討ち取られた、賊たちのことを呼ぶ蔑称なり! 下に見た、呼び方なり!」
影媛「あなた? それって、おかしいんじゃありません?」
ヤヌシ「どういうことなりか?」
シロ「我は、土蜘蛛討伐に臨んではおらぬ。討ち取られたのちに、筑紫に参ったのじゃぞ?」
ヤヌシ「よく考えると、おかしいなり! ビックリしたなり!」
いっくん「熊襲について、祈願したんとちゃいますか?」
シロ「そうかもしれぬのう・・・。」
舟木「して、我らは、このあと、何処に向かったのですか?」
シロ「うむ。南へと進んだぞ。」
小左「豊国の長峡県に移ったとの由。」
ワオン「福岡県行橋市の長尾と言われておりまする。」
カンナ「では、皆様方、お気を付けて・・・。」
県主「崗国にて、祈念しておりますばい。」
シロ「そうか・・・。『カンナ』と県主は、此度で、退場となるのじゃな?」
カンナ「名残惜しいですが・・・。」
県主「仕方無か・・・(´;ω;`)ウッ…。」
こうして、二人は去っていった。
シロ「では、我らも向かおうぞ。」
リトル「うぎゃう! うぎゃい!」
シロ「ん? リトル? 如何致した?」
タケ「ん? 他にも、説が有ると?」
シロ「ん? 『タケ』先生は、赤子の申すことが分かりまするのか?」
タケ「そういう設定に、されてしもうた・・・(;^_^A。」
別の説とは?
次回につづく
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