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JW662 三つ目の候補地

【景行征西編】エピソード33 三つ目の候補地


第十二代天皇、景行けいこう天皇てんのう御世みよ

西暦82年、皇紀こうき742年(景行天皇12)12月。

景行天皇こと、大足彦忍代別尊おおたらしひこおしろわけ・のみこと(以下、シロ)の一行は、熊襲くまそを平定するため、襲国そのくに(今の鹿児島県)に来ている。

地図(襲国)
筑紫行幸参加者名簿

前回は、城にこも熊襲くまそち、オリジナル設定で、かしらとなった、川上かわかみ(以下、カワ)と弟建おとたける(以下、おとたけ)が降伏したのであったが・・・。 

カワ「それで? これから、どうするの?」 

シロ「うむ。船路ふなじを進もうと思うておる。」 

いっくん「なんで、そうなりますのん?」 

シロ「なぜなら、伝承がっておるからじゃ。」 

やぁちゃん「まだ、熊襲くまそあばれているのですか?」 

シロ「いや、そうではない。いろいろと祭祀さいし記事きじが有るようでな・・・。」 

ナッカ「それに、くわしい伝承は無くとも、残党ざんとうがいたと思うんすよね。」 

モロキ「残党ざんとうりにござりまするか?」 

ナッカ「そんな感じっす。」 

カワ「とにかく、僕たちが舟を支度したくするよ。」 

おとたけ「おまえら、徒歩かちで来てるだろ?」 

シロ「おお! かたじけない!」 

えっさん「『カワ』殿どのも、『おとたけ』殿どのも、ええ人にあらしゃいますなぁ。」 

おとたけ「早くなくなってほしいだけだよ!」 

影媛かげひめ「そういう『ツンデレ』なところ、可愛かわいらしいわね。」 

おとたけ「はぁ(*´Д`)? なに、言ってんだ?」 

ヤヌシ「影媛かげひめ! 忘れちゃいけないなり! われも『ツンデレ』なり!」 

影媛かげひめ旦那様だんなさま・・・。別に求めてないから・・・。無理しなくていいのよ?」 

リトル「うぎゃう! うぎゃう!」 

タケ「ふむふむ・・・。それより、早く出帆しゅっぱんしようともうしておるぞ。」 

シロ「で・・・では、これより、出航しゅっこういたす!」 

こうして、一行は海に出た。

そして・・・。 

シロ「よし! あちらに舟をけよ!」 

野見のみ「して、上陸した地は、二千年後の地名でもうすと、何処いずこになりまするか?」 

シロ「鹿児島県肝付町きもつきちょう内之浦うちのうらじゃ。」 

地図(内之浦)

夏花なつはな「そこに、行宮かりみやもうけたのじゃ。」 

野見のみ「ん? 行宮かりみや?」 

小左おひだり「その名も、高屋宮たかや・のみやじゃ。」 

もち「エピソード654で、割愛かつあいさせてもらった、三つ目の候補地こうほちやじ。」 

シロ「ここで、三つ目の候補地が出てくるのか・・・。」 

ウナ「天子山てんしやまに、行宮かりみやもうけたと伝わっておりまする。」 

地図(天子山:高屋宮)
天子山の高屋宮跡

シロ「して、あちらの山は?」 

おやた「ああ・・・あれは、国見山くにみやまにござりまする。」 

地図(国見山)

シロ「なにやら、神がまつられておるようじゃな。」 

ワオン「さすがは、大王おおきみ! 国見山くにみやまいただきにて、彦火火出見尊ひこほほでみ・のみことまつられておりまする。」 

えっさん「山幸彦やまさちひここと『ヤマピー』にあらしゃいます。」 

シロ「そうか・・・。では『ヤマピー』の御霊みたまをおむかえし、行宮かりみやそばに、やしろを建てようぞ。」 

百足ももたり「こうして、建てられたのが、高屋たかや神社じんじゃにござる。」 

高屋神社(鳥居)
高屋神社(拝殿)

舟木ふなき「して、鎮座地ちんざちは?」 

百足ももたり「鹿児島県肝付町きもつきちょう北方きたかたにござる。」 

地図(高屋神社)

シロ「うむ。くにやすかれの想いで、やしろを建てたのじゃ。」 

いっくん「そないな、伝承に無いことうて、ええんですか?」 

シロ「これくらい、良いではないか。」 

カヤ「とにかく、こちらの行宮かりみやを本拠地として、各地の残党ざんとうほろぼしていかれたのですね?」 

シロ「くわしいことは書かれておらぬが、そういうことであろうな。」 

ナッカ「『カヤ』様? やっぱり、熊襲くまその人々がたれていくのは・・・。」 

カヤ「こころぐるしいものがありまする。市乾鹿文いちふかやこと『ふうか』姉上あねうえが、心を鬼にしてしたことも、みずあわとなってしまったのかと思うと・・・(´;ω;`)ウッ…。」 

シロ「『カヤ』・・・。そう、悪く考えるでない。」 

カヤ「えっ?」 

シロ「伝承には、つまびらかなことが書かれておらぬが、われに味方した熊襲くまそ・・・もとい、隼人はやとたことはたしかじゃ。そうでなければ、この地まで来ること、あたわなんだであろう。」 

やぁちゃん「そうですよ。それに、私たち、おなご随行ずいこうできているのも、味方してくれる方々かたがたがいるからでは?」 

カヤ「おきさきさま・・・(´;ω;`)ウッ…。」 

シロ「これらのことは『ふうか』のこころざしいだものたちがあかしではないか?」 

ナッカ「そ・・・そうっすよね・・・(´;ω;`)ウッ…」 

カヤ「大王おおきみ・・・皆様方みなさまがた・・・かたじけのうございます・・・(´;ω;`)ウゥゥ。」 

ひとしのびながら、涙にくれる一行なのであった。

つづく

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