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JW442 宇多秋宮
【崇神経綸編】エピソード17 宇多秋宮
第十代天皇、崇神天皇(すじんてんのう)の御世。
紀元前38年、皇紀623年(崇神天皇60)秋。
ここは、磯城瑞籬宮(しきのみずかき・のみや)。
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天照大神(あまてらすおおみかみ)(以下、アマ)の御杖代(みつえしろ)、豊鍬入姫(とよすきいりひめ)(以下、きぃ)が引退となった。
代わって就任したのは、倭姫(やまとひめ)(以下、ワッコ)。
崇神天皇こと、御間城入彦五十瓊殖尊(みまきいりひこいにえ・のみこと)(以下、ミマキ)は涙に暮(く)れる。
そして「きぃ」の母、遠津年魚眼眼妙媛(とおつあゆめまぐわしひめ)(以下、アユ)も、涙するのであった。
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アユ「そ・・・そんな・・・。私より先に引退しなくても、いいじゃない・・・(´;ω;`)ウッ…。」
ミマキ「早く、渟名城入姫(ぬなきいりひめ)こと『ナッキー』に会いたいということでな・・・。」
ワッコ「おじいさま。御安心くださりませ。私が、しっかりと御杖代の役目を全(まっと)う致しまする。『アマ』様の行きたいところ、どこまでも、お供する所存(しょぞん)にござりまする!」
ミマキ「そ・・・そうか・・・。そうなるか・・・。」
するとそこに、日嗣皇子(ひつぎのみこ)の活目入彦五十狭茅尊(いくめいりひこいさち・のみこと)(以下、イク)と、その妃、狭穂姫(さほひめ)(以下、さっちん)がやって来た。
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イク「僕の娘って言われても、ピンと来ないね。ホントに、僕の娘なの?」
ワッコ「そんな! 父上! 私の顔を見忘れたと仰(おっしゃ)られまするか?」
イク「見忘れるも何も、まだ生まれてないんだから、しょうがないでしょ?」
さっちん「ところで『ワッコ』ちゃん? 御杖代になったってことは・・・。」
ワッコ「その通りにござりまする。『アマ』様が遷座(せんざ)を望んでおられまする。」
ミマキ「なにぃぃ! またまた、お遷(うつ)りになるのか?!」
アユ「今回で、何回目なのよ!」
ワッコ「此度(こたび)は、菟田(うだ)に遷座致しまする。その名も、宇多秋宮(うだのあき・のみや)にござりまする。神武東征(じんむとうせい)のエピソード39に登場した、兄猾(えうかし)殿と弟猾(おとうかし)殿の御兄弟が、治めていた地にござりまする。」
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ミマキ「それくらい知っておる。されど『アマ』様の引っ越し癖(ぐせ)にも困ったモノじゃ。」
ワッコ「そして、鎮座(ちんざ)した地が、阿紀神社(あきじんじゃ)にござりまする。」
さっちん「奈良県宇陀市(うだし)の大宇陀迫間(おおうだはさま)に鎮座しているのですよね?」
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ワッコ「左様にござりまする。あと、おじいさまより、神戸大神宮(かんべだいじんぐう)の号を賜(たまわ)っておりまする。なぜ、神戸大神宮なのか・・・。ロマンにござりまするなぁ。」
ミマキ「さすがは、わしの孫じゃ。ロマンを巧(たく)みに扱(あつか)っておるのう。」
イク「それって、遺伝だったの?」
アユ「とにかく、これからは『ワッコ』ちゃんが、御杖代なのね? じゃあ、息子の豊城入彦(とよきいりひこ)こと『トッティ』には、申し訳ないけど、私も、今回で引退させてもらうわね。」
ミマキ「なに?! 汝(なれ)も『くらんくあっぷ』すると申すか?」
アユ「世界交代ってヤツね。」
さっちん「あ・・・あの? 世代交代では?」
アユ「そ・・・そうとも言うわね。」
こうして、菟田の地に天照大神は遷座され、「アユ」は引退したのであった。
つづく