JW466 走る動揺
【崇神経綸編】エピソード41 走る動揺
第十代天皇、崇神天皇(すじんてんのう)の御世。
ここは、磯城瑞籬宮(しきのみずかき・のみや)。
崇神天皇の弟、彦坐王(ひこいます・のきみ)(以下、イマス)と、子供たちによる解説は続く。
子供たちとは、神大根王(かむのおおね・のきみ)(以下、ノーネ)。
袁邪本王(おざほ・のきみ)(以下、ザホー)。
狭穂彦王(さほひこ・のきみ)。
そして、日嗣皇子(ひつぎのみこ)の妃、狭穂姫(さほひめ)(以下、さっちん)である。
さっちん「して・・・『ザホー』兄上に関わる社(やしろ)の紹介は終わったのですね?」
ザホー「そういうことになりますね。もうちょっと話したいんですけど、仕方ないですよね。」
ノーネ「では、次は、我(われ)の番! 三野後国造(みのの・みちのしりの・くにのみやつこ)!」
狭穂彦「されど『先代旧事本紀(せんだいくじほんぎ)』では『ノーネ』は三野前国造(みのの・みちのくちの・くにのみやつこ)とされておるぞ? 作者の勘違いではないのか?」
イマス「史料だけを読むと、そうなのじゃが『ノーネ』が祀(まつ)られておる社を見ると、三野後国造の方が、辻褄(つじつま)が合うのじゃ。その名も、伊波乃西神社(いわのにしじんじゃ)じゃ。ちなみに、鎮座地は(ちんざち)は、岐阜県岐阜市の岩田西(いわたにし)じゃ。」
ノーネ「父上、正解! 狭穂彦、不正解! 社の場所は、三野後国!」
さっちん「岐阜市の一部や、各務原市(かかみがはらし)を含む、各務郡(かかみ・のこおり)などの地にござりまするな? そこに鎮座しているので、三野後国ということなのですね?」
ノーネ「さっちん、正解! 狭穂彦、不正解!」
狭穂彦「おい! ノーネ! くどいぞ!」
イマス「そして、その社の傍に、我(われ)の墓が有るのじゃ。」
狭穂彦・ザホー・ノーネ・さっちん「えっ?」×4
イマス「その墓が、伊波乃西神社の元々の鎮座地じゃ。明治時代になって、我(われ)の墓が、宮内省(くないしょう)の所管(しょかん)となったゆえ、遷座(せんざ)したのじゃ。」
さっちん「そ・・・そんなことが・・・。」
狭穂彦「では、父上は、この地で『ノーネ』と共に、治水開発に携(たずさ)わり、そのまま、この地で亡くなられたということにござりまするか?」
イマス「その通りじゃ。それゆえ、此度(こたび)の解説で、我(われ)は引退となるわけじゃ。」
狭穂彦「作者の陰謀ですぞ? それで良いのですか?」
イマス「ん? 狭穂彦・・・。何が言いたい?」
狭穂彦「当今(とうぎん:今の大王)が死ねば『さっちん』は大后(おおきさき)・・・。父上は、次の大王(おおきみ)の義理の父になるのですぞ? 自ら権力を手放すと申されまするか?」
イマス「そのようなモノに興味は無い。『さっちん』が妃となったのも、作者おりじなる設定ではあるが『さっちん』の夢であったし、日嗣皇子が『さっちん』を気に入っただけのこと・・・。」
狭穂彦「我(われ)は納得がいきませぬ。我は、次の大王の義兄として、専横を振るいますぞ!」
イマス「愚かなことを申すでない。」
さっちん「兄上・・・。そのようなことを考えておられたのですか?!」
動揺が走る中、「イマス」は引退した。
そして、狭穂彦は、権力を握るのであろうか?
つづく
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