JW653 南へ
【景行征西編】エピソード24 南へ
第十二代天皇、景行天皇の御世。
西暦82年、皇紀742年(景行天皇12)10月。
景行天皇こと、大足彦忍代別尊(以下、シロ)の一行は、ついに、土蜘蛛を平定した。
ここは、禰疑野。
二千年後の地名で言うと、大分県竹田市の今や菅生の辺り。
シロ「では、国摩侶よ。これからも、この地のこと、頼むぞ。」
国摩侶「かしこまって候。」
ナッカ「ちなみに、後の世のことになるんすけど、この地で、大王を祀る社が建つんすよ。」
シロ「何? それは、まことか?」
夏花「その名も、禰疑野神社にござりまする。」
モロキ「大王だけでなく、我が伯父、健磐龍命こと『たつお』殿も祀られておりまするぞ。」
シロ「ん? 伯父?」
いっくん「何、言うてんねん。『たつお』殿って、神武天皇の孫やで?」
えっさん「時の流れが、おかしくなってますなぁ。」
モロキ「大王の方が、おかしいのでは?」
シロ「これも、ロマンということか・・・。」
野見「して、鎮座地は、何処にござる?」
夏花「二千年後の地名で申せば、竹田市の今じゃ。」
シロ「そうか・・・。とにもかくにも、阿蘇開拓の神と共に祀られるとは、誉なり。」
百足「ちなみに、社から北の地に、行宮の跡地も有りまする。」
シロ「今、解説しておる処じゃな?」
百足「御意。」
シロ「では、来田見宮に戻るぞ。」
えっさん「二千年後の宮処野神社にあらしゃいます。」
シロ「うむ。して、柏峡の大野に布陣する、義兄上(武彦(以下、たっちゃん)のこと)にも、戻るよう伝えねばな・・・。」
こうして、一行は、来田見宮(竹田市久住町仏原)に帰還した。
シロ「おお! 『リトル』! 息災であったか?」
リトル「うぎゃう! うぎゃ!」
真白「ワンワン!」
ルフィ「キキッ!」
シロ「おお! 真白! ルフィ!」
やぁちゃん「此度の勝ち戦、おめでとうござりまする。」
シロ「うむ。つつがなく、帰って参ったぞ。」
タケ「見事な差配であったと聞いておりまするぞ。」
シロ「お恥ずかしゅうござる。『タケ』先生に、お褒めいただく日が来ようとは・・・。」
たっちゃん「いや、いや、見事でありましたぞ!」
シロ「義兄上! もう戻っておられましたか!」
たっちゃん「勝手に、北で、戦が始まり、勝手に、敵が滅んでしまいましたからのう。」
シロ「お伝え、遅くなり、申し訳ござらぬ。」
たっちゃん「案ずることはありませぬ。戦とは、機を以て、動くもの・・・。」
シロ「目先のことに、囚われていただけにござる。」
たっちゃん「いやいや、我が、南に布陣しておったからこそ、敵も無闇に逃げることが出来なかったのじゃ。これもまた策なり。」
シロ「そう申して、くださりまするか?」
たっちゃん「大将が、そのようなことで、どうなされまする。気を強く持ちなされ。」
シロ「は・・・はぁ。」
小左「ところで、大王? このまま、南へと進みまするか?」
シロ「う・・・うむ。宮にて、疲れを取った後、高千穂を目指そうぞ。」
小左「かしこまりもうした。」
一行は、休息を取り、疲れを癒してから、南へと出発することとなった。
そして、出立の日・・・。
はやや「おおきに! 大王! これで、安心して暮らせるっちゃ。」
シロ「うむ。『はやや』も、息災でな。」
はやや「勿体なき言の葉っちゃ。」
一行は「はやや」と別れ、ついに、宮崎県に入った。
シロ「では、今日は、この地に泊まろうぞ。」
おやた「二千年後の地名で申せば、何処になりまする?」
もち「宮崎県延岡市の西階町やじ。」
ワオン「古代の駅伝制に使用された、川辺駅の跡地と言われておりまするな。」
シロ「駅伝制?」
ウナ「全国に張り巡らされた、情報伝達手段にござりまする。」
ヤヌシ「駅から駅へ、馬が走って、伝える仕組みなり。」
舟木「ちなみに、西階公園の辺りとの由。」
シロ「馬か・・・。我らの御世には、まだ、馬に乗る習わしが無いのであったな・・・。」
ナッカ「仕方ないっすよ。俺たちは、徒歩で行くしかないっす。」
シロ「そうじゃのう・・・。」
影媛「あのう・・・大王?」
シロ「ん? 如何した?」
影媛「大王なのですから、私たち、女のように、輿に乗られては?」
シロ「それは出来ぬ! 我は、丈夫ぞ!」
一行の旅はつづくのであった。