JW687 魚の名は
【景行征西編】エピソード58 魚の名は
第十二代天皇、景行天皇の御世。
西暦88年、皇紀748年(景行天皇18)5月。
景行天皇こと、大足彦忍代別尊(以下、シロ)の一行は、還幸(天皇が帰宅すること)と銘打って、筑紫(今の九州)の巡幸(天皇が各地を巡ること)をおこなっていた。
ここは、熊本県長洲町の腹赤にある、深田浦という池。
御腰の石に坐る「シロ」に、漁夫の朝勝見(以下、かつみ)が、魚を献上したのであったが・・・。
百足「鱒に似ておりまするな。」
モロキ「海人の長である、汝でも、わからぬのか?」
百足「わからぬ。」
かつみ「あのう? そんなに、名前が気になるのであれば、大王が、名付けてくれませんか?」
シロ「ん? 我が、名付けよと?」
かつみ「はい。」
シロ「この魚は、ここでは、よく獲れるのか?」
かつみ「たくさん獲れますよ。」
シロ「ふむ・・・。」
ナッカ「なんか、いい案が浮かんだんすか?」
シロ「うむ。物の多いのを『ニベサニ』と言う。この魚も、多いのであれば、『にべ魚』と言うべし。」
かつみ「に・・・にべ魚?」
シロ「そうじゃ。良い名であろう?」
いっくん「それは、どうかと思いますよ。」
シロ「なっ!? 何を申すか! 我が、決めたことに『ケチ』を付けるのか?!」
いっくん「実は・・・『風土記』では『にべ魚』なんですけど・・・。」
もち「同じ長洲町の名石神社の社伝では『ハラアカ』と名付けられたとなっちょりまして・・・。」
シロ「何じゃと!?」
リトル(7)「父上? これが、ロマンなのか?」
シロ「そ・・・そういうことになるのう・・・。」
野見「ちなみに、名石神社の鎮座地は、長洲町の上沖洲にござりまする。」
真白「ワンワン!」
タケ「ふむ・・・。元々は、名石神社も、腹赤に鎮座しておったそうじゃ。」
ルフィ「キキキッ!」
タケ「ふむ・・・。その後、いつの御世か、わからぬが、上沖洲に遷ったと申しておるぞ。」
かつみ「と・・・とにかく、我らは、これより『にべ魚』とか『ハラアカ』と呼ぶように致します。」
シロ「う・・・うむ。」
たっちゃん「では、大王。次は、熊本県玉名市に向かいまするぞ。」
シロ「そこに伝承が有るのですな?」
たっちゃん「御意。」
かつみ「では、みなさん、お気を付けて!」
こうして、一行は、次の伝承地へと向かった。
一方、そのころ、日向国(今の宮崎県)では・・・。
日向国造となった、豊国別皇子(以下、豊国)が、驚きの声を上げていた。
豊国「母上! ダメ、ゼッタイ!」
そこには、豊国の母、日向の御刀媛(以下、ハッカ)の姿が・・・。
ハッカ「なにゆえです?」
豊国「母上の大王を慕う、お気持ちは、よくわかっておりまする。されど、母上は、我の後見人なのですぞ? お忘れにござりまするか?」
ハッカ「わかってるわ。でも、私は、大王の、お傍に行きたいの!」
豊国「母上・・・。女一人では、危のうござりまする。お諦めくださりませ。」
ハッカ「豊国? 母は、一人ではありませぬよ。供の者がおります。」
豊国「供の者? 我々のほかに『キャラ』がおりませぬぞ? もしや・・・『オリジナルキャラ』を出す、おつもりか?」
ハッカ「オリジナルではありませぬが、この女ですよ!」
豊国「女?」
ハッカ「采女の『キャサリン』です!」
キャサリン「はぁぁい! 『キャサリン』よ!」
豊国「なっ!? 汝は、エピソード681で、海に飛び込んだのでは、なかったか?」
キャサリン「そうなんだけど、また出演することになったのよ。」
豊国「そ・・・そんなことをして、良いのであろうか・・・。」
ハッカ「良くも悪くも、母は『キャサリン』と共に、大王の跡を追います。止めても無駄ですよ。」
豊国「わかりました。では『キャサリン』・・・。母上のこと、頼むぞ。」
キャサリン「任せといて!」
こうして「ハッカ」と「キャサリン」は、日向から旅立ったのであった。
つづく
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