JW660 隼人城と上井城
【景行征西編】エピソード31 隼人城と上井城
第十二代天皇、景行天皇の御世。
西暦82年、皇紀742年(景行天皇12)12月。
景行天皇こと、大足彦忍代別尊(以下、シロ)の一行は、熊襲を平定するため、襲国(今の鹿児島県)に来ている。
熊襲の川上(以下、カワ)と弟建(以下、おとたけ)は、それぞれの城に籠り、抵抗の姿勢を見せるのであった。
タケ「大王? 副将に任じられた『リトル』様は、どちらの城を攻めれば、よろしゅうござりまするか?」
シロ「そ・・・それが・・・。」
タケ「ん?」
もち「伝承には、詳しいことが書かれちょらんのです。副将に任じたこと、二つの城に立て籠もったこと、この二つしか、わからないんやじ。」
たっちゃん「では、どちらを攻めるか、全くわからぬと申すか?」
ナッカ「その通りっす。『カワ』と『おとたけ』っていう熊襲についても、本来の伝承には登場しないっす。」
シロ「そうなのじゃ。それゆえ『カワ』や『おとたけ』と申す者たちは、本来の登場ではない場面に出ておることになる。」
野見「大王・・・。わからぬとはいえ『リトル』様を副将に任じた上は、攻める城の割り振りは、要り様にござりまするぞ。」
シロ「そうじゃのう・・・。では『リトル』と『タケ』先生、ならびに『たっちゃん』は、手前の城を攻めてくだされ。」
タケ「手前の城・・・。隼人城じゃな?」
シロ「左様にござる。」
夏花「ちなみに、鹿児島県霧島市の国分上小川にある、城山公園が、隼人城であったと言われておりまする。」
いっくん「こっちの城には『おとたけ』が籠ってる設定になってます。」
シロ「して、我々は、後ろの城を攻めるぞ。」
モロキ「上井城にござりまするな?」
シロ「そうじゃ。」
舟木「ちなみに、霧島市の国分上井にある、国分南公園の左側の山に、城があったと言われておりまする。」
おやた「こっちの城には『カワ』が立て籠もっておりまする。」
シロ「うむ。では、各々方、城攻めをおこなうぞ。心して、かかれっ」
影媛「では、私と『カヤ』殿は、後方にて、お妃様を守っておりまする。」
シロ「うむ。二人とも『やぁちゃん』のこと、頼むぞ。」
カヤ「御意。」
やぁちゃん「大王・・・。武運長久を祈っておりまする。」
シロ「うむ。」
こうして、城攻めが開始されたのであったが・・・。
百足「ダメじゃ! ビクともせんぞ!」
ヤヌシ「やっぱり、城攻めは大変なり!」
ワオン「死人も、多く出ておる・・・。」
えっさん「占い師の我まで、担ぎ出されて、いい迷惑にあらしゃいますよ!」
モロキ「大王! ここは一旦、退くべきかと・・・。」
小左「『モロキ』の申す通りにござる。敵は、地の利を心得ておる様子・・・。闇雲に攻めても、埒が明きませぬぞ。」
シロ「やむなしか・・・。皆の者! ここは退くぞ!」
結局、城攻めは、失敗に終わったのであった。
タケ「なかなか、手強いのう・・・。」
シロ「よもや、ここまでとは思いませなんだ・・・。」
ウナ「されど、これより、如何なされまする?」
シロ「そうよな・・・。どうしたものか・・・。」
モロキ「大王! 我に策がござりまする。」
シロ「策? 汝は、この伝承には登場せぬのじゃぞ? なにゆえ、策が有ると申すか?」
モロキ「ま・・・まあ、伝承では、誰が献言したのか、詳らかなことは書かれておりませぬ。それなら、我が申すべきと思うたまで・・・。」
シロ「策の前に、汝が申すべきと考えた理由を聞かせよ。」
モロキ「ははっ。大王は、エピソード423を覚えておいでですか?」
シロ「エピソード423? たしか、汝の兄、多の臣の建借間こと『カシマ』が、己が死んだと見せかけ、賊をおびき出した話であったな?」
ナッカ「七日七夜を歌い踊り、敵が出てくるように、誘ったんすよね?」
モロキ「左様にござる。あれを、こちらでもやろうかと・・・。」
シロ「なるほど・・・。おもしろそうじゃ。」
タケ「では、神楽を奏じるというのは、如何かな?」
シロ「おお! そうしましょうぞ! 直ちに、神楽の支度を致せっ。」
神楽に釣られて、敵は出てくるのであろうか?
次回につづく
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