JW652 禰疑野の戦い
【景行征西編】エピソード23 禰疑野の戦い
第十二代天皇、景行天皇の御世。
西暦82年、皇紀742年(景行天皇12)10月。
土蜘蛛討伐を目指す、景行天皇こと、大足彦忍代別尊(以下、シロ)の一行は、まず、青と白を討ち取った。
ここは、稲葉川上流。
大分県竹田市市用の辺り。
シロ「つつがなく、青と白を討つことが出来た。次は、打猨、八田、国摩侶の三人じゃ。」
ナッカ「速攻を仕掛けるんすね?」
シロ「その通りじゃ。我らが、北に現れたことに、敵は、慄き、慌てふためいておるであろう。この機を逃してはならぬ!」
一行は、三人の土蜘蛛を討つため、直ちに山を越えた。
あと少しで、三人の拠る、竹田市今、菅生という頃合いで・・・。
打猨「ふははは・・・。夜麻登の諸君・・・。何処へ行こうと言うのかね?」
シロ「ん?」
国摩侶「いさぎいなあ。」
おやた「何処から聞こえておるのじゃ?」
八田「さあ! 矢の雨を贈ってあげるよ!」
夏花「あっ! 横から、矢が飛んで参りましたぞ!」
えっさん「待ち伏せにあらしゃいます!」
シロ「わかっておる。防ぐのじゃ!」
兵士(い)「ウグッ!」
兵士(ろ)「ぐはぁ!」
ヤヌシ「大王! 横矢を防ぐのは厳しいなり!」
百足「ここは、一旦、退くべきかと・・・。」
シロ「ぐぬぬ・・・。やむなし! 退くぞ!」
もち「退けぇ! 退けぇ!」
奇襲作戦は失敗し、一行は、城原に退却したのであった。
シロ「城原とは、二千年後の地名で申せば、何処になるのじゃ?」
ワオン「大分県竹田市の城原にござりまする。」
えっさん「して、占いに依りますと、川の畔に陣を布け・・・とのことにあらしゃいます。」
野見「では、行宮を設け、前線基地と致しましょう。」
シロ「そうなるのか?」
舟木「ちなみに、この行宮は、後に社となりもうしたぞ。」
シロ「そうなるのか?」
モロキ「その名も、城原八幡社にござりまする。鎮座地は、竹田市米納にござる。」
シロ「鎮座地が、城原ではないのじゃな?」
モロキ「二千年の間に、いろいろあったのでしょうな。」
小左「して、これより、如何なされまする?」
シロ「うむ。敵の動きを掴み、攻め易き地を求めねばならぬな。」
ウナ「大王! 客人が参りましたぞ!」
シロ「客人?」
そこに現れたのは、土蜘蛛の一人、国摩侶であった。
国摩侶「お初にお目にかかるっちゃ。わしが国摩侶じゃ。」
ナッカ「なっ! こんな展開、『日本書紀』には、書かれてないっすよ!」
国摩侶「そげん、おらばんでん、よかろうがえ。」
シロ「して、何用で参ったのじゃ?」
国摩侶「実は・・・わしは『日本書紀』にて、討たれたとも、何とも、書かれちょらんのです。」
いっくん「どうなったか、わからんってこと?」
国摩侶「じゃあ。なし、何も書かれちょらんのか、ようわからんけん、ほんなら、降ろうち思うたんじゃあ。わしを、かたらしちょくれ。」
いっくん「どうします? 大王?」
シロ「来る者は拒まずじゃ。受け入れようぞ。」
国摩侶「おおきに! ちゅうろくてんに、終わらせちゃる。」
ウナ「どけぇするんじゃ?」
国摩侶「各個撃破するんじゃ!」
こうして、一行は、先に、八田を攻めた。
八田「あれれ? 国摩侶さん? どういうこと? なんで? どうして? おかしいよ?」
国摩侶「しゃぁしい! いいくれぇにしちょかんと、終いには、怒らるるぞっ。」
八田「うへぇぇ・・・グフッ。」
国摩侶「敵将、討ち取ったり!」
ウナ「国摩侶無双になっちょる!」
そこに、打猨が現れた。
打猨「勝てないと悟り、やって参りました。」
シロ「汝が、打猨か?」
打猨「はっ。我も、降りまする。」
シロ「ならん!」
打猨「えっ?」
シロ「許せ。『日本書紀』にて、我は、汝を許しておらぬのじゃ。」
打猨「さ・・・左様ならば、ごきげんよう!」
打猨は、叫ぶや否や、谷に身を投げて死んだ。
シロ「後味は悪いが、ともかく、土蜘蛛を平定したぞ。皆の者、ようやった!」
野見「こうして、大王が兵たちを労ったので、この地は、禰疑野と呼ばれるようになりもうした。」
ナッカ「二千年後の竹田市は今や菅生の辺りっすよ。」
ついに、土蜘蛛を平定した一行。
次に待ち受けるものは?
つづく