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JW553 大若子ふたたび
【伊勢遷宮編】エピソード12 大若子ふたたび
第十一代天皇、垂仁天皇の御世。
紀元前4年、皇紀657年(垂仁天皇26)。
天照大神(以下、アマ)の鎮座地を求め、一行は、ある野原に辿り着いた。
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ワッコ「何と素晴らしい野原じゃ。目弖野と名付けようぞ。」
おしん「こうして、皇女様が愛でられたので、目弖野と名付けられたんだべ。」
くにお「愛野とも書くぞ。」
市主「ところで、二千年後の何処になりまするか?」
くにお「分からぬ。」
市主「えっ?」
くにお「まあ、前回紹介された、園相神社が鎮座する、三重県伊勢市津村町の周辺であろうな。」
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アララ「あらら・・・。そういうことになっちゃった。」
ワッコ「それだけでなく、円らな小山も有るな・・・。山の周辺は、都不良と名付けようぞ。」
カーケ「こうして、都不良が訛って、津村となったんだぜ。津村町の語源なんだぜ。」
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カット「では、愛野も津村町の可能性が高いのですな?」
カーケ「そういうことなんだぜ。」
更に一行は進んでいった。
すると・・・。
乙若「ん? また、野原が現れましたぞ。」
オーカ「此度の野原は、沢の中に道が通じてますなぁ。」
ワッコ「では、この野原は、沢道の小野と名付けましょうぞ。」
カーケ「ところで『ワッコ』? 沢の道とは、陸の道かね? それとも川の道かね?」
ワッコ「大伯父上は、如何思われまする?」
カーケ「それがしは、川の道だと思うんだぜ。」
ちね「なんでです?」
カーケ「なぜなら、あそこに船が見えるからなんだぜ。」
インカ「あっ! 船が近付いて来ますぞ!」
武日「見覚えのある船やじ。」
くにお「見覚えがあるどころではないぞ。あれは、拙者たちが乗っていた船ではないか?」
オーカ「たしかに、よく見ると・・・。」
市主「ん? なにやら、声が・・・。」
ワッコ「如何致した?」
市主「船から、声が聞こえませぬか?」
一行が耳をそばだてると、たしかに、声が聞こえる。
そして、よく見てみると、船の上で誰かが叫んでいる。
誰か「おぉぉい! おぉぉい! 僕だよぉぉ!」
ワッコ「だ・・・誰じゃ?」
乙若「あれは『ワクワクさん』ですぞ!」
ワッコ「なに?!」
ワクワク「そうだよぉぉ! 迎えに来たよぉぉ!」
大若子こと「ワクワク」の姿に、皆が歓喜の声を上げる。
一行「おぉぉい! 『ワクワクさぁぁん』!」×13
ワクワク「みんな! 久しぶりだね!」
ワッコ「良き宮処が見つかったのか?」
ワクワク「当たり前じゃないか。そうじゃなきゃ、こんなとこに来ないよ。」
ワッコ「そ・・・そうじゃな(;^_^A」
ワクワク「ところでさぁ。ここにも社を建てちゃったんだよね?」
ワッコ「えっ?」
ねな「その通りよ。その名も、川原神社よ。」
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カット「祭神は、月読命にござりまする。」
おしん「二千年後の地名で言うと、伊勢市佐八町に鎮座してるぞ。」
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インカ「そこが、沢道の小野というわけか・・・。」
おしん「んだ。そんでよぉ、『ワクワクさん』がやって来た川は、宮川なんだ。」
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武日「せっかく宮川を渡ったっちゅうのに、宮川に戻ってきたち、そういうコツか?」
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おしん「そういうことになるな。」
ワッコ「まあ、良いではないか。それより『ワクワクさん』。良き宮処とは、何処ぞ?」
ワクワク「その前に、伝えなきゃいけないことがあるんだよね。」
ワッコ「伝えねばならぬこと?」
ワクワク「大夫の十千根こと『ちね』様に・・・。」
ちね「ん? わてか? なんや?」
ワクワク「大王が、国中(現在の奈良盆地)に戻って来いって!」
ちね「はぁ? なんでや? そないなこと『倭姫命世記』には書かれてへんで?!」
ワクワク「いわゆる、作者の陰謀ってヤツだね。」
作者の陰謀とは・・・。
次回につづく