JW688 女石
【景行征西編】エピソード59 女石
第十二代天皇、景行天皇の御世。
西暦88年、皇紀748年(景行天皇18)5月。
ここは、長渚之浜。
二千年後の熊本県長洲町。
ここに、二人の女人が来訪していた。
大王の妃である、日向の御刀媛(以下、ハッカ)と、采女の「キャサリン」である。
ハッカ「御跡慕いて、参りましたが、大王は何処なのじゃ?」
キャサリン「どこにも見当たらないわね。」
するとそこに、男がやって来た。
男「あのう? 我は、朝勝見と申します。『かつみ』と、お呼びください。地元の漁夫です。」
ハッカ「そうか・・・。して『かつみ』とやら、ここにヤマトの大王は参られなかったか?」
かつみ「参りましたよ。前回、一緒に解説をしましたので・・・。」
キャサリン「あなた、大王と解説したの?」
かつみ「はい。そういう伝承が有ったんで・・・。」
ハッカ「では、大王が、次に向かった地を、知っておるのじゃな?」
かつみ「ま・・・まあ、知っていると言えば、知っておりますが・・・。」
キャサリン「何? 歯に何か挟んだような言い方ね?」
かつみ「熊本県玉名市に向かったとのことなんですが・・・。」
ハッカ「玉名市?」
かつみ「はい。ただ、玉名市が、何処にあるのかまでは・・・。」
キャサリン「なんで、わかんないのよ!?」
かつみ「我らの御世に、玉名市なんて存在しないんですよ? 無茶言わないでください。」
ハッカ「そ・・・そんな・・・ここまで参ったというに・・・(´;ω;`)ウッ…。」
キャサリン「ちょっと! 『かつみ』さん? 『ハッカ』様が泣いちゃったじゃないの! どうしてくれんの!?」
かつみ「どうすると言われましても、そもそも、我の登場は、作者の陰謀なんですよ?」
ハッカ「もう良い・・・。もう、ここまでじゃ。私は、長洲町の姫ヶ浦より、女官こと『キャサリン』と共に、海に身を投げる。」
キャサリン「そうするしかないのね。」
かつみ「えっ? なんで、そうなるんです?」
ハッカ「運命だからよ・・・(´;ω;`)ウッ…。」
かつみ「えっ?」
ハッカ「では『かつみ』殿・・・。本来の伝承では、ここに、汝は居りませぬが、大王への言伝を頼みます。」
かつみ「えっ?」
ハッカ「私は、海に沈み、石となりまする。」
キャサリン「その石は、前回紹介された、名石神社にて祀られているそうなのよ。」
かつみ「鎮座地は、長洲町の上沖洲と言っておりましたね。」
ハッカ「その通りです。そして、石は、女石と呼ばれているそうです。」
キャサリン「そういうわけで、名石神社の祭神は、景行天皇こと『シロ』様と、その妃である『ハッカ』様・・・。そして、二人の間に産まれた、豊国別皇子こと『豊国』様なのよ。」
かつみ「なっ!? 前回、祭神についての解説が無かったのは、そういう理由があったからなんですね?」
キャサリン「そういうことよ。」
ハッカ「では、さようなら・・・。とぉう!」
ドボンッ!
かつみ「嗚呼・・・『ハッカ』様・・・(´;ω;`)ウッ…。」
キャサリン「二回目の飛び込みともなると、余裕が出てくるみたい・・・。あらよ!」
ドボンッ!
かつみ「うう・・・『キャサリン』・・・(´;ω;`)ウゥゥ。」
こうして「ハッカ」は石となったのであった。
一方、そのころ、熊本県玉名市では、一行が、解説をおこなっていた。
シロ「疋野神社を篤く祀ったのじゃ。」
えっさん「祭神は、波比岐神にあらしゃいます。」
リトル(7)「どういう神様なのだ?」
えっさん「製鉄の神にあらしゃいます。」
夏花「して、鎮座地は?」
えっさん「熊本県玉名市の立願寺にあらしゃいます。」
舟木「ところで、なにゆえ、地元の神を祀っておられるのですか?」
シロ「討たねばならぬ、悪しき賊が、おるのじゃ。」
舟木「賊? 土蜘蛛にござりまするか?」
シロ「うむ。その名を津頬という。」
百足「では『ツラ』と呼ぶことに致しましょうぞ。」
シロ「諾なり。」
そのとき、一人の男が近寄ってきた。
男とは?
次回につづく
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