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JW707 四つの碇
【景行征西編】エピソード78 四つの碇
第十二代天皇、景行天皇の御世。
西暦88年、皇紀748年(景行天皇18)7月。
景行天皇こと、大足彦忍代別尊(以下、シロ)の一行は、琴木の岡を造営した。
佐賀県神埼市の千代田町餘江に鎮座する、香椎神社といわれる。
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水沼県主の猿大海(以下、ルオ)も解説に加わる中、そこに、多くの舟がやって来たのであった。
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シロ「何じゃ?!」
ルオ「この川は、三根川にござる。二千年後の城原川と思われまする。」
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シロ「そ・・・そうか。」
地元民(に)「大王は、何処ぞ!?」
地元民(ほ)「大王ぃぃ! 参りましたぞぉぉ!」
シロ「呼んだ覚えはないぞ。」
地元民(に)「はい。勝手に参りました。」
地元民(ほ)「御供させてくださいませ。」
シロ「諾なり。」
地元民(に)(ほ)「やったぁぁ!」×2
小左「こうして、彼らが御供したことにより、この地は、船帆の郷と呼ばれるようになったのじゃ。」
モロキ「前回の蒲田の郷と宮処の郷の間くらいか?」
小左「そうだと思われまする。」
ルオ「三根川こと城原川の流域と思われまする。」
たっちゃん「二千年後の地名で申せば?」
ルオ「詳らかなことは、定かならず・・・。」
たっちゃん「そうか・・・。」
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地元民(に)「そして『肥前国風土記』が編纂された奈良時代、あるモノが残っておりましたぞ。」
シロ「あるモノ?」
地元民(ほ)「大王の碇が残っておったのです。」
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リトル(7)「その口ぶりからすると、二千年後は、残っておらぬのだな?」
地元民(に)「ぎくっ!」
いっくん「大事に残してなかったんかい!」
地元民(ほ)「せ・・・戦乱の所為だと思います。うん。きっと、そうだと思います。」
シロ「まあ、良いではないか。たかが、碇であろう?」
いっくん「まあ、そうなんですけどね。」
地元民(に)「ちなみに、碇なんですが、四つも現存していたと『風土記』に書かれてるんです。」
もち「四つも有ったのに、失くすやなんて・・・。」
地元民(ほ)「ち・・・ちなみに、一つは、高さが六尺、180㎝。直径が五尺、150㎝だったんですよ。」
ワオン「一つずつ、大きさが異なるのか?」
地元民(に)「ちょっとだけですが、違うんですよ。」
地元民(ほ)「二つ目は、高さが八尺、240㎝。直径が五尺、150㎝なんですが、子のない女が、一つ目と二つ目の碇の近くで祈れば、必ず子が授かると言われていたそうです。」
野見「そのほかの碇は?」
地元民(に)「一つ目が、高さが四尺、120㎝。直径が五尺、150㎝で、二つ目が、高さが三尺、90㎝。直径が四尺、120㎝なんですが・・・。」
百足「こっちの二つの碇の近くで祈った時も、何かあるのじゃな?」
地元民(に)「その通りです。日照りの時に、雨乞いして祈れば、必ず雨が降ると言われていたそうです。」
シロ「やはり、失くしたのは、惜しいのう。」
地元民(ほ)「と・・・とりあえず、三根川を遡って参りましょうぞ。」
シロ「うむ。そうしようぞ。」
こうして、一行は、三根川こと城原川を遡っていった。
シロ「日も沈み始めた。今日は、この邑に泊まろうぞ。」
地元民(に)「ようこそ! 我らの邑に!」
えっさん「汝たちの邑にあらしゃいましたか?」
地元民(ほ)「紙面の都合で、そういうことになりました。」
タケ「作者の陰謀ということか・・・。」
とにもかくにも、一泊した一行。
そして、翌朝・・・。
シロ「昨日は、よく眠れたぞ。」
リトル(7)「これが、安眠と言うのだな? 父上?」
シロ「うむ。そうじゃのう。」
朝を迎えた一行。
何が待ち受けるのか。
次回につづく