JW596 得彦と阿彦
【垂仁経綸編】エピソード18 得彦と阿彦
第十一代天皇、垂仁天皇の御世。
そんなある日のこと・・・。
高志国(現在の北陸地方)で暴れる、賊の阿彦を討伐するため、国中(奈良盆地)より軍勢が出発した。
率いる将軍は、大若子(以下、ワクワク)。
付き従うのは、能登国造(現在の石川県北部)、大入杵(以下、リキ)。
垂仁天皇の皇子、五十瓊敷入彦(以下、ニッシー)である。
そして、一行が進軍していると、一人の男が近寄ってきたのであった。
男「リキ様! お会いしとうござりました!」
リキ「ん? 誰や?」
ニッシー「あっ! 大叔父上じゃないですか!」
ワクワクさん「ん? これは、どういうこと?」
リキ「『ニッシー』の大叔父上っちゅうことは、わてから見たら、叔父上になるっちゅうことやな? せやけど、こないな若い叔父を持った覚えは、無いでぇ。」
男「覚えておられぬのも、尤もなこと・・・。あの頃は、乳飲み児にござりましたゆえ・・・。」
リキ「えっ? 乳飲み児?」
ニッシー「この御方は、難波の吉士の得彦殿だよ!」
ワクワク「だから、どういうこと?」
リキ「えっ? 得彦? おまえ、得彦かぁ?!!」
得彦「左様にござりまする。義父上より、常々、話は聞いておりました。ようやく、お会い出来、感無量にござりまする・・・(´;ω;`)ウッ…。」
リキ「そうかぁ。そうかぁ。大きゅうなったなぁ・・・(´;ω;`)ウッ…。」
ニッシー「えっ? 昔、何か、あったの?」
リキ「エピソード318で、大彦伯父が、赤子を拾ったんや。それが、得彦や。」
ニッシー「ええぇぇ!! そうだったの!? 僕は、てっきり、得彦叔父上は、大彦命の御子息だと・・・。」
得彦「隠していたわけではありませぬぞ。我も、赤子だったゆえ、何も覚えておらず・・・。それに、我にとっては、父上は、御一人じゃ。」
リキ「うんうん。それで、ええんや。それで・・・。わてが、エピソード318で解説した通り、宿禰(夜の警護役)をやってんのか?」
得彦「はい。大王を守る務めに就いておりまする。」
リキ「うんうん。そうかぁ・・・(´;ω;`)ウッ…。」
ワクワク「あのう・・・。感動の再会のところ、申し訳ないんだけど、そろそろ行かないと・・・。」
リキ「せやったな・・・(´;ω;`)ウッ…。ほな、得彦、達者でな!」
得彦「リキ様も! お達者でぇ!」
こうして、作者による演出の後、一行は、高志国に到達したのであった。
ワクワク「・・・ということで、高志国の何処にやって来たの?」
リキ「それが、よう分からんのや。」
ニッシー「えっ? 詳しいことは、書かれてないの?」
リキ「せやっ。討伐したとしか、書かれてへんねん。」
するとそこに、阿彦が、やって来た。
阿彦「紙面の都合で、出て来てやったぞ!」
ワクワク「よし! それじゃあ、旗をたくさん掲げて、大軍に見せかけるんだ!」
ニッシー「オッケー!」
阿彦「なっ!? なんや!? 大軍?!」
リキ「その通りやでぇ!」
阿彦「うわぁ! もうダメだ! 逃げるんや!」
ワクワク「そうは、させないよ! 覚悟ぉぉ!」
ザシュッ!
阿彦「む・・・無念・・・グフッ。」
こうして、反乱は平定されたのであった。
ワクワク「それじゃあ、阿彦を祀ってあげよう!」
ニッシー「なんで?」
ワクワク「そう書かれてるからだよ!」
リキ「それが、魚沼神社や。エピソード324で解説してるんやけどなぁ、創建は、わての『おとん』(崇神天皇のこと)の御世やで。」
ニッシー「えっ? 今回の阿彦討伐で建てられたんじゃないの?」
ワクワク「あんなヤツのために、わざわざ建てたりしないよ! 合祀という形で、祀ったんだ!」
ニッシー「ちょっと、阿彦さんが、可哀そうな気も・・・。」
ワクワク「ちなみに、鎮座地は、新潟県小千谷市の土川だよ!」
リキ「他にも『ワクワクさん』は、高志で、やらかしてるみたいやなぁ?」
ワクワク「そうだよ! せっかく来たんだから、やらかさないとね!」
ニッシー「やらかすって、どういうこと?」
どういうことであろうか?
次回につづく
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