インドのスパイス粥「キチュリ(khichidi)」のレシピ
毎日食べたいくらいおいしい、奥の深〜〜〜〜いインド伝統のスパイス粥をご紹介します!
スパイスと聞くと「刺激物」というイメージがあるかもしれませんが、むしろ「癒し・アロマ」に近い感じ。弱った身体にやさしい、香り高いおかゆです。
ざっくりとした作り方は「豆と米をおかゆにして、スパイス入りのオイルを混ぜる」。
世界三大伝統医学「アーユルヴェーダ」の肝とも言えるお料理が、「このキチュリ(khichidi)」です。ターメリック(うこん)とともに煮込み、最後にスパイスで香りづけしたオイルを混ぜ込むのが特徴です。
キチュリは、病気の時の養生食、断食明けの食事に良いとされるほど、消化がよく、栄養価の高い、身体にうれしいおかゆです。
辛味はなく、カレーっぽいのは見た目だけです。むしろ、カレーなどのおかず的なお料理と一緒に食べることが多いようで。個人的には、これだけでもじゅうぶんごちそう感がありました。華やかな香りで癒されますし、じんわりじんわりお腹が温まる感じも最高に幸せです。
インドのスパイス粥「キチュリ(khichidi)」
材料を揃えるのが手間ですが、調理自体は簡単です。お米の浸水時間も含めるとだいたい1時間〜1時間20分ほどかかります。
記事の後半では写真とともに詳しい作り方をご説明いたします!
【 材料 】(2人前)
*「バスマティ米」は日本米、
「ギー」はバターorオリーブオイルで代用可能です◎
<おかゆの材料>
▶︎ バスマティ米 ・・・80g
▶︎ イエロームングダール ・・・40g
▶︎ 水 ・・・600ml
▶︎ ターメリックパウダー・・・小さじ1/2
▶︎ 塩 ・・・小さじ1/2
<スパイスオイルの材料>
▶︎ ギー ・・・大さじ1
▶︎ クミンシード ・・・小さじ1
あれば
▷ にんにくみじん切り ・・・1かけ分
▷ 黒胡椒 ・・・少々
食材については「食材紹介」の項で詳しくご紹介します!
【 レシピ 】
①米とイエロームングをさっと洗い、鍋に入れる。水600mlを入れ、30分ほど浸しておく。
②中火にかける。ふつふつと煮立ったら、弱火にする。ターメリック、塩を入れ、ゆっくりとかきまぜる。鍋にお箸を渡してフタをした状態で、30分弱火にかける。
*途中で水分が足りなくなったら水(分量外)を足す。
③おかゆが柔らかくなったころ、スパイスオイルをつくる。別鍋にスパイスオイルの材料を全て入れ、香りがたつまで弱火にかける。
④スパイスオイルをおかゆの鍋に入れ混ぜ込む。塩(分量外)で味を整えたら、完成!
【 つくりかた (写真つき)】
ここからは写真とともに詳しい作り方を解説いたします!
①準備
バスマティライス(80g)とイエロームング(40g)をさっと洗い、鍋に入れます。
いつもの「研ぐ」ほどゴシゴシ洗わなくて大丈夫です。シャラシャラシャラ〜とかき混ぜる感じで、表面の汚れを流します。
水600mlを入れ、30分ほど浸しておきます。
ちなみに今回使用する "ターメリック" は草木染めに使われるほど、色うつりのしやすい食材です。お鍋やおたまなどの調理器具は、カレーを作る時のものをご使用いただけるとちょうど良いかと思います。
②中火→弱火
30分吸水をさせたら、中火にかけます。
ふつふつと煮立ったら、弱火にします。ターメリック(小さじ1/2)、塩(小さじ1/2)を入れ、ゆっくりとかきまぜます。
鍋にお箸を渡してフタをした状態で、30分弱火にかけます。
15〜20分煮込んだあたりから、食べられる固さになります。味見をしてみて、このくらいの固さが好きかも?と思ったら、そこで煮込み完了としてしまって大丈夫です◎
*途中で水分が足りなくなったら水(分量外)を足します。
わたしの場合、100mlを2回、追加しました。火加減や鍋によっても変わるので、様子をみながら調節をしてください。
③スパイスオイルをつくる
おかゆがほぼ完成したころ、別のお鍋でスパイスオイルをつくります。
別鍋にスパイスオイルの材料を全て入れ、香りがたち、にんにくが茶色になるまで弱火にかけます。
この作業を「タルカ」と言います。(「テンパリング」と言うこともあります)クミンがパチパチと音を鳴らします。
<スパイスオイルの材料>
▶︎ ギー ・・・大さじ1
▶︎ クミンシード ・・・小さじ1
あれば
▷ にんにくみじん切り ・・・1かけ分
▷ 黒胡椒 ・・・少々
ギーは夏は液体ですが、寒い季節はバターのように固まっています。火にかけるとオイルになります。見た目が違くてもご安心ください。
④仕上
スパイスオイルをおかゆの鍋に入れ混ぜ込みます。塩(分量外)で味を整えたら、完成です!
鮮やか!日本の料理では見かけない、華やかな黄色です。ターメリックが染めてくれたのですね〜。
一見ピラフっぽくも見えますが、ちゃ〜んと、おかゆです。
食欲をかきたてる香りで、パクパク食べちゃう感じです。めっっちゃおいしい!
そもそも、スパイスオイルを作っている時から暴力的に良い香りで……
お腹がぎゅるぎゅるぎゅる〜…となるような、こんなん絶対おいしいやつやん!とツッコミたくなる香りです。
完成してからお写真を撮るときに、いつも夫を「待て」状態にしているわけですが、この日ばかりは「お腹すいたな……」「おいしそうだな……」とボソボソと早く食べたいアピールをしてきました。いただきますのそのあとは、「おいしい………おいしい…!」と、すごい勢いで食べていました。ごめんね。笑
辛味はゼロで、カレーっぽいのも見た目だけ。むしろカレーが欲しくなる感じで、夫は「無印のカレーをかけるのもいいかも」と言っていました。
病み上がりの食欲が落ちている時にも食べたい感じです。実際、インドの一部地域では赤ちゃんがはじめて食べる固形物がこの「キチュリ」だそうです。なるほど優しいお味なわけだ。
インドのおかゆにハマりそうです……
食材紹介
さて、今回「キチュリ(khichidi)」に使った食材たちをご紹介します。
バスマティ米
「バスマティライス」。インドやパキスタンで主流のお米です。
バスマティライスの香りを表現する言葉がどうしても浮かばず…インド料理屋さんの香り……新大久保の香り………う〜ん…。途端にお店っぽくなるのは確かです。本格的なインド料理のベースにある香りです。
ジャスミンライスはタイ、バスマティライスはインド・パキスタン。どちらも細長い粒で、香り米の一種ですが、香りが全く違います。赤ワインと白ワインくらい違うかも。なかなか売っていないので、ネットで買う方が早いかもしれません。
粘り気が出てしまいますが、日本米で代用してもOKです。
イエロームングダール
「イエロームング豆」「皮むき緑豆」も同じものです。
緑豆という小粒のお豆の皮をむいたものです。緑豆はもやしの原料となるお豆です。「緑豆もやし」と書かれているアレです。
イエロームングは煮込むと柔らかくなって、マッシュポテト的な柔らかさを出してくれます。こちらもネットで買うのが近道かもしれません。
ギー
スパイスオイルのベースとなる、バターオイル「ギー」。
バターコーヒーの時に流行りましたよね!ミルクっぽいもの、チーズっぽいものなど、種類が色々あります。こちらはバター飴のような発酵バター系。こってり感が出てキチュリにも合ってる感じがしました。
普通のスーパーではあまり見かけませんが、こだわり食品系、健康食品系のお店には置いてあることが多いです。結構高いです(1500円〜!)。無塩バターからつくることもできるそうなので、興味のある方は「ギー 作り方」で検索してみてください。
香りが落ちますが、オリーブオイルで代用できます。代用するならバターの方が味は近くなるかもしれません。
ターメリックパウダー
ターメリックとは「うこん」のこと。
スパイスカレーで必ずと言って良いほど登場するスパイスです。ターメリック自体は苦くておいしくないのに、お料理に使うと途端に味に深みを出してくれます。最近だと、七味のような瓶に入って、100円ショップにも売っているそうです。かなり入手しやすいと思います。
クミンシード
「クミンホール」と記載されていることもあります。
香りを嗅ぐと「あ〜〜〜!これか〜!」となる香りです。THE インド料理の香り。
サイゼリヤの「ラムの串焼き」のスパイスが超おいしい!と話題になりましたよね。
あの特製スパイスのメイン食材がこの「クミン」です。
クミン "パウダー" はスーパーのスパイスコーナーにも並んでいますが、クミン "シード" はちょっぴり入手難易度が上がるかもしれません。カルディなどのこだわり食品系のお店にはあるかな?
参考書籍
今回のレシピは以下の書籍を参考に、作りやすい分量・手順にアレンジさせていただきました!
『アーユルヴェーダ食事法 理論とレシピ』香取 薫 ・佐藤 真紀子、2012年、径書房
教科書のようにアーユルヴェーダの知識全体が網羅。(表紙がキチュリ!)
『ゆるレシピでからだクリーニング』水野 香織・大越 郷子 、2018年、小学館
前半は和食、後半はアーユルヴェーダ。取り入れやすい知識が満載で、読みやすかったです。
『はじめてのインド家庭料理』香取 薫、2012年、講談社
写真がたくさん!作ってみたいお料理が満載でした。スパイスの解説も詳細で勉強になりました。
『世界の味をおうちで楽しむ 旅するスープ』荻野 恭子 、2019年、ナツメ社
素敵です、旅するスープ!眺めているだけで幸せになれました〜…。
奥の深〜いインド料理の世界に触れられて、わくわくしました!
ありがとうございました。
今日も長〜いレシピを読んでくださってありがとうございました。
明日もおいしいおかゆを作ります。ごちそうさまでした!